ラツィオ、メッシとスアレスの「トリックPK」を計画? 夢のスクデット逃し、狙うは個人賞2冠

1月18日、セリエAサンプドリア戦でのインモービレとL・アルベルト(写真:ロイター/アフロ)

ラツィオは、新型コロナウイルスの影響によるシーズン中断のあおりを最も受けたチームのひとつだ。絶対王者ユヴェントスの覇権に終止符を打ち、20年ぶりのタイトルを獲得する好機を失った。

中断まで首位に勝ち点1差だった勢いをそがれ、チャンピオンズリーグ(CL)も戦うユーヴェに対してセリエAに集中できる日程上のアドバンテージも消滅。むしろ、再開前からの負傷者続出で人員不足に陥った。

結果、再開初戦でアタランタに屈したラツィオは、その後2連勝したが、以降の5試合で1分け4敗と惨たんたる成績に。クラブ史上3回目となるスクデット(優勝)の夢は、夢のままに終わった。

◆国内外で得点王に近づくエース

それでも、直近の2試合で連勝したラツィオは、13年ぶりとなる来季のCL出場権を獲得した(ナポリとローマが今季のCLとヨーロッパリーグを制した場合を除く)。

チームが次に狙うのは、躍進に貢献した選手たちへの報いだ。チーロ・インモービレの得点王とルイス・アルベルトのアシスト王、個人賞の2冠達成を目指している。

7月26日の前節エラス・ヴェローナ戦は、大きな弾みとなった。インモービレがハットトリックを達成したからだ。2試合を残し、インモービレはタイトルを競うクリスティアーノ・ロナウドと3ゴール差。自身3度目となる得点王のタイトルが近づいている。

これでインモービレはイタリア人のセリエA年間最多得点記録を更新。さらにラツィオでリーグ通算100得点の大台を突破した。シルヴィオ・ピオラ、ジュゼッペ・シニョーリに続く3人目の偉業だ。

加えて、34得点は2015-16シーズンのゴンサロ・イグアイン(36得点)、1949-50シーズンのグンナー・ノルダール(35得点)に続く歴代3位の数字。残り2試合でイグアインの記録を更新することも期待されている。

欧州の得点王「ゴールデンシュー」のタイトルにも大きく前進した。バイエルン・ミュンヘンのロベルト・レバンドフスキのゴール数に並んだからだ。あと1得点を挙げ、C・ロナウドの追撃を抑えれば、インモービレは2005-06シーズンのフランチェスコ・トッティ以来となるイタリア人欧州得点王となる。

◆PKキッカー変更の謎

そんなインモービレだが、ヴェローナ戦のアディショナルタイムにPKを獲得したとき、最初にキッカーを務めようとしたのはL・アルベルトだった。結局、PKを獲得したインモービレと交代し、ハットトリックを達成してから、エースは笑顔で背番号10と抱き合っている。

なぜ、L・アルベルトが先にペナルティースポットに立ち、なぜ、キッカーの座を譲ったのだろうか。

試合後のインタビューで、インモービレは「彼にも目標があり、一緒にやるのが正しい」と話した。そのうえで、得点王やゴールデンシューまでわずかとあり、「僕らは考えを変えた」と述べている。

『Sky Sport』によると、インモービレとL・アルベルトは、トリックPKを計画していたのかもしれない。かつてバルセロナのリオネル・メッシとルイス・スアレスが見せた“間接PK”だ。

プランどおりにいけば、L・アルベルトのアシストでインモービレがゴールを記録する。得点王を目指すインモービレだけでなく、アタランタのアレハンドロ・ゴメスと1差(36節終了時)でアシスト王のタイトルを競うL・アルベルトにとってもうまみのある、一挙両得のPKだ。

ただ、トリックPKにリスクはつきものだ。それゆえ、最終的に両選手は確実にインモービレがゴール数を増やすことを選んだという。インモービレの「考えを変えた」という言葉は、このことを示しているのだろうか。

◆ケーキの上のサクランボなるか

いずれにしても、重要なのは、PKを決めた直後にインモービレとL・アルベルトが真っ先に抱擁をかわしたことだ。両選手の間に調和があることがうかがえる。

残り2試合の相手は、ブレッシァとナポリ。特に、すでに降格が決まり、リーグワースト2位の失点を記録しているブレッシァとの一戦は、インモービレとL・アルベルトが数字を伸ばす好機だ。

スクデットの夢は、現実にならなかった。だが、CL出場権にエースと背番号10の個人賞2冠も加われば、いわゆる「ケーキの上のサクランボ」となる。堂々のシーズンの最後に花を添えることができるだろうか。