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バロテッリにメモリアルゴールの好機? 「2020年代最初の得点者」なら10年前に続く快挙

中村大晃カルチョ・ライター
2019年10月29日、セリエAインテル戦でのバロテッリ(写真:ロイター/アフロ)

まもなく、2020年のセリエAが始まる。

2010年からの10年間は、インテルがイタリア勢初の3冠を達成して栄華を極め、ミランが現状で最後のスクデットを獲得し、以降はユヴェントスが圧倒的な地位を築いた。

絶対王者の覇権は続くのか。それとも、今季の折り返し地点を目前に首位で並ぶインテルが復活を遂げ、新たな時代が訪れるのか。2020年の最初から目が離せない。

◆再び10年間の幕開けとなるゴール?

新たな10年間の幕開けとなる最初の試合で対戦するのは、現在18位と降格圏で苦しむブレッシァと、3位の好調ラツィオだ。この一戦で先制点を決めた選手は、セリエAにおける「2020年代初のスコアラー」となる。

10年前、「2010年代初のスコアラー」となったのは、当時インテルでプレーしていたマリオ・バロテッリだ。そして、現在ブレッシァに所属する背番号45には、ラツィオ戦で再びメモリアルゴールを決めるチャンスがある。『スポーツ・メディアセット』は「バロテッリが“10年チャレンジ”」と伝えた。

◆実現すれば厳しい目標達成の弾み

この10年、バロテッリは波乱万丈な人生を送ってきた。

インテルで3冠メンバーとなるも、サポーターと衝突するなどして退団。マンチェスター・シティでは歴史的なプレミアリーグ優勝を経験したが、恩師ロベルト・マンチーニとケンカしたこともあった。ファンだったミランへの移籍を果たし、リヴァプールではかつてないスランプに苦しんだ。フランスの地で復調し、昨年、愛する故郷に戻ってきた。

残念ながら、インテルでデビューしたころに期待された選手にはなれていない。イタリア代表でも、チェーザレ・プランデッリ監督の下で臨んだ2012年のEUROこそ活躍したが、続くブラジル・ワールドカップでは戦犯のひとりと叩かれた。以降は代表から遠ざかり、恩師マンチーニが就任した一昨年に一度復帰を果たしたが、その後は再び縁遠くなっている。

鳴り物入りで故郷のクラブに加わった今季も、苦しい戦いが続く。リーグ戦12試合出場で4得点。バロテッリがゴールでブレッシァにもたらした勝ち点は、4ポイントにとどまっている。大きく話題となるのは、人種差別を巡る社会的な問題か、年明けの交通事故のようなピッチ外のニュースだ。

EURO出場を目指すのであれば、バロテッリはシーズン後半戦で大幅な巻き返しが必要となる。メモリアルゴールで幸先よく2020年を始めることができれば、その弾みとなるかもしれない。

リーグ得点王のチーロ・インモービレを擁するラツィオを相手に、バロテッリは「2020年代初のスコアラー」となれるか。キックオフは、もうすぐだ。

なお、過去10シーズンの年明け最初のスコアラーは以下のとおり。(『スカイ・スポーツ』『スポーツ・メディアセット』参照)

  • 2010年 マリオ・バロテッリ(インテル)
  • 2011年 セバスティアン・ジョヴィンコ(パルマ)
  • 2012年 マッティア・デストロ(シエナ)
  • 2013年 マルコ・サウ(カリアリ)
  • 2014年 ゴンサロ・ロドリゲス(フィオレンティーナ)
  • 2015年 マルコ・パローロ(ラツィオ)
  • 2016年 ロベルト・ソリアーノ(サンプドリア)
  • 2017年 マッシモ・マッカローネ(エンポリ)
  • 2018年 イヴァン・ラドヴァノビッチ(キエーヴォ)
  • 2019年 ニコロ・ザニオーロ(ローマ)
カルチョ・ライター

東京都出身。2004年に渡伊、翌年からミランとインテルの本拠地サン・シーロで全試合取材。06年のカルチョーポリ・W杯優勝などを経て、08年に帰国。約10年にわたり、『GOAL』の日本での礎を築く。『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿。現在は大阪在住。

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