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「冬の王者」はナポリも、最後はユーヴェが7連覇? 地元ファンが予想

中村大晃カルチョ・ライター
12月1日のナポリ対ユヴェントスは王者に軍配(写真:ロイター/アフロ)

マウリツィオ・サッリ体制になって3年目を迎え、欧州最高峰とも評されるほどのサッカーを披露するようになった。主将マレク・ハムシクも英雄ディエゴ・マラドーナの得点記録に肩を並べ、ナポリのファンは「今年こそ…」と、28年ぶりの悲願達成に期待を寄せている。

実際、セリエAの17節を終え、ナポリは2位ユヴェントスに勝ち点1差の首位。このまま「冬の王者」、つまり前半戦終了時の首位チームになるとみるサポーターは少なくない。しかし、最後にスクデットを掲げるのは、今季も王者だという声が大きくなってきた。

12月23日付のイタリア『ガゼッタ・デッロ・スポルト』のアンケート調査によると、イタリアのファンの55%が「冬の王者」にナポリを推している。だが、優勝チームは51%がユヴェントスと回答した。

2017年12月23日付ガゼッタ・デッロ・スポルト紙参照、筆者作成
2017年12月23日付ガゼッタ・デッロ・スポルト紙参照、筆者作成
2017年12月23日付ガゼッタ・デッロ・スポルト紙参照、筆者作成
2017年12月23日付ガゼッタ・デッロ・スポルト紙参照、筆者作成

興味深いのは、優勝候補にユーヴェを推す声が徐々に大きくなっている点だ。10月18日(38%)、12月5日(44%)のアンケートと比べ、着実に支持者を増やしている。

確かに、今季は失点の多さが指摘されていたが、さすが名将マッシミリアーノ・アッレグリ。最後に土をつけられたサンプドリア戦(11月19日)を最後に、公式戦7試合連続クリーンシートと立て直してきた。攻撃はリーグ最多の総得点44と以前から好調なだけに、王者が堅固な守備力を取り戻しつつあるのは、ライバルたちにとって大きな脅威だ。

さらに、ユーヴェには伸びしろがある。新戦力を少しずつチームに溶け込ませていく手腕に長けるアッレグリだけに、当初から“ヒット”だったブレーズ・マテュイディに加え、ドウグラス・コスタやフェデリコ・ベルナルデスキの飛躍が期待される。

また、序盤はゴンサロ・イグアイン、中盤からパウロ・ディバラと、チームの顔となる前線のアタッカーたちが、それぞれ順番に調子を崩していたことも忘れてはいけない。「HD」コンビがそろって好調となれば、ユーヴェの破壊力はさらにグッと増すはずだ。

サポーターの見方も同様だ。上位4チームのうち、ユーヴェに最も成長余地があるとみるファンは最多の30%。見事なスタイルを確立したものの、レギュラーと控えの戦力差が大きいと指摘されるナポリ(20%)との差が際立っている。

2017年12月23日付ガゼッタ・デッロ・スポルト紙参照、筆者作成
2017年12月23日付ガゼッタ・デッロ・スポルト紙参照、筆者作成

ジョゼップ・グアルディオラも称賛する美しいプレーは、サポーターも評価している。上位4チームの中でもナポリのプレーがベストという声は、61%と圧倒しているのだ。だが、戦力(74%/13%)や監督(36%/29%)、フロント(71%/10%)といった項目では、ユーヴェの後塵を拝している。ナポリを優勝候補に推す声は、10月18日のアンケートで46%だったが、今回の調査では28%だった。

アンケートの結果からは、「ナポリが素晴らしいプレーを披露しながら、今後も伸びが期待できるユーヴェが7連覇する」という展開が予想される。

だがもちろん、予想どおりにいかないことも少なくないのが現実だ。

その最たる例が、インテルの躍進だろう。アンケートでも50%のファンが、上位4チームの中でインテルに最も驚かされたと回答した。『ガゼッタ』によると、インテルサポーターのじつに83%が自分たちのチームを「サプライズ」に選んでいる。

2017年12月23日付ガゼッタ・デッロ・スポルト紙参照、筆者作成
2017年12月23日付ガゼッタ・デッロ・スポルト紙参照、筆者作成

今季はウィンターブレイクの時期が変更され、年末の30日に前半戦を終えるセリエA。まずは、ファンの予想どおりにナポリが首位で折り返せるのか注目だ。

カルチョ・ライター

東京都出身。2004年に渡伊、翌年からミランとインテルの本拠地サン・シーロで全試合取材。06年のカルチョーポリ・W杯優勝などを経て、08年に帰国。約10年にわたり、『GOAL』の日本での礎を築く。『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿。現在は大阪在住。

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