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W杯コロンビア戦直前現地レポート 日本代表サポーターの逡巡と決意

村上アシシプロサポーター・著述家・ビジネスコンサルタント
モスクワの赤の広場にて記念撮影をするコロンビアサポーター

筆者は6月17日に空路でモスクワ入りした。日本戦を中心に7月15日のファイナルまでYahoo!個人にて現地レポートを書いていく予定だ。

6月18日はモスクワの観光名所である赤の広場に繰り出してみた。世界中から集まった各国のサポーターが陽気に応援歌を歌いながら、4年に1度のフェスティバルの雰囲気を楽しんでいる。

コロンビアサポーターの多さにとにかく驚くばかりだ。日本対コロンビアの試合はモスクワから東に600km離れたサランスクで翌日開催されるが、6月18日深夜にモスクワを出発するサポーター向けの無料の寝台列車に多くのサポーターが乗るのだろう。

これだけ多くのコロンビアサポーターがサランスクに乗り込むので、日本時間で6月19日21時キックオフの日本対コロンビアは、きっと日本代表にとって圧倒的なアウェイの雰囲気で行われることになるはずだ。筆者もこの後、同じ寝台列車に乗ってサランスク入りする予定だ。

監督解任劇に納得がいっていないサポーターが多い

6大会連続でワールドカップに出場している日本代表だが、このロシア大会は日本代表サポーターにとって、今までとは一味違う形で初戦を迎えようとしている。

というのも、4月にハリルホジッチ監督が解任された出来事に、いまだに納得のいっていないサポーターが多いからだ。日本サッカー協会(JFA)の田嶋会長は解任の理由を「コミュニケーション不足」と説明しているが、これで説明責任を果たしたと思っているサポーターなどほとんどいない。

仮にそれが本当の解任の理由ならば、監督と選手間のコミュニケーションをサポートする役目を持つ技術委員会に問題があったはずだし、当時その技術委員会のトップだった西野朗氏が後任の監督に就任したなんて言語道断だ。

この監督解任劇に対する抗議の意味で、新しい日本代表ユニフォームを購入していない日本代表サポーターも一定数いる。

筆者はFacebookで【サッカー日本代表】海外アウェイ現地参戦組という1,600人が参加するコミュニティを運営しているが、そこで6月7日にアンケートを取ったところ以下のような回答が得られた。

アンケート結果(筆者作成)
アンケート結果(筆者作成)

サッカー日本代表の海外で行われる試合に足を運ぶほどロイヤルティの高い層において、アディダスの新しいユニフォームを買っていない割合が過半数を占めているのだ。更に「買わない理由」において、「JFAに対する不信感のため」と回答したのは買っていない層の40%を超えるという結果を得た。

今までのワールドカップはまさに自分たちの姿を代表選手らに投影して自分事のように応援できていたが、今大会はJFAと選手、サポーターが一枚岩になれていない事情がある。

日本代表サポーターの逡巡と決意

とはいえ、ロシアに入ったサポーターは田嶋会長に対する批判的な意見と日本代表を応援する気持ちを別物としてとらえ、気持ちを切り替えている人が非常に多い印象だ。

筆者も西野ジャパンを応援することが本当に日本サッカー界のためになるのだろうか・・・とこの2カ月間、ひたすら悩んだ。ハリルホジッチ氏の4月の会見に参加して、「僕らサポーターはどうすればいいのか?」と行き場のない思いを質問したりもした。

そうやって迷いの感情を抱えたままロシア入りしたが、現地独特の高揚感がネガティブな感情を吹き飛ばしつつある。

「ワールドカップに出場する32カ国全てが勝者である」という格言がある。こんな内輪の揉め事でテンションを下げていたら、ワールドカップに出場できなかった国々のサポーターに失礼とも言える。

色々とごたごたはあったが、日の丸を背負って当事者として参戦できる喜びを噛み締めながら、「世紀の祭典」を思う存分楽しもうと思う。

モスクワは深夜23時50分。これから寝台列車に乗って、決戦の地サランスクへ向かう。決意を新たにして、運命の試合に挑むつもりだ。

【この記事は、Yahoo!ニュース個人の企画支援記事です。オーサーが発案した企画について、編集部が一定の基準に基づく審査の上、取材費などを一部負担しているものです。この活動は個人の発信者をサポート・応援する目的で行っています】

プロサポーター・著述家・ビジネスコンサルタント

1977年札幌生まれ。2000年アクセンチュア入社。2006年に退社し、ビジネスコンサルタントとして独立して以降、「半年仕事・半年旅人」という独自のライフスタイルを継続。2019年にパパデビューし、「半年仕事・半年育児」のライフスタイルにシフト。南アW杯では出場32カ国を歴訪する「世界一蹴の旅」を完遂し、同名の書籍を出版。2017年にはビジネス書「半年だけ働く。」を上梓。Jリーグでは北海道コンサドーレ札幌のサポーター兼個人スポンサー。2016年以降、サポーターに対するサポート活動で生計を立てているため、「プロサポーター」を自称。カタール現地観戦コミュニティ主宰(詳細は公式サイトURLで)。

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