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香川真司に告ぐ 無意味な試合なんて存在しない 自ら課題を設定する力を身に付けよ

村上アシシプロサポーター・著述家・ビジネスコンサルタント
8月のオーストラリア戦でW杯出場を決めた後、監督とハイタッチをする香川真司(写真:なかしまだいすけ/アフロ)

サッカー日本代表は10月6日、キリンチャレンジカップでニュージーランドと対戦し、2-1で勝利した。

先発メンバーとして出場し、後半15分に途中交代した香川真司は試合後の取材で以下のような発言をしている。

とりあえず最低限、勝ち切れたことは良かったですけれど、まあ果たしてこれがW杯という意味では正直、何の意味のある試合なのかというのは……。評価しづらいゲームになりましたけれどね。

出典:スポーツナビ

ワールドカップ本番のレベルを考えると、FIFAランク113位のニュージーランドが対戦相手だったことに、香川本人は意味を見い出せなかったようだ。

10月の日程を考慮するとニュージーランドは最良の対戦相手

まず、10月の国際Aマッチデーにおける各国の状況を整理しておきたい。

ヨーロッパ、北中米、南米、アフリカは最終予選が行われており、これらの大陸の強豪国と日本代表が10月に親善試合を組むことは、物理的に不可能だ。そういった制約条件の中では、オセアニア王者のニュージーランドとマッチメイクを組めたのは、最良の結果と言えよう。

ちなみに11月の国際Aマッチデーでは、FIFAランク2位のブラジル、5位のベルギーとヨーロッパで2連戦を予定している。JFAのマッチメイク担当はよくやっていると個人的には評価している。

そもそもニュージーランドが「格下」かというと、そんなことはない。FIFAランクが低いのは、オセアニア予選での対戦相手が弱小国ばかりで、FIFAランクを上げられない背景もある。

今年6月に開催されたコンフェデレーションズカップでは、北中米王者のメキシコ相手に1-2と敗れはしたが、接戦を演じているのだ。

更に来月、ニュージーランドはワールドカップ出場権をかけた大陸間プレーオフ(対戦相手は南米5位の国)を控えているため、モチベーションが非常に高く、フレンドリーマッチにしては意欲的に戦ってくれたと思う。

物事に対する「意味付け」は自ら行うもの

仮に対戦相手が格下だったとしても、国際Aマッチデーで試合をする以上、FIFAランクに影響する。

ロシアワールドカップの組み合わせ抽選会は12月に行われるが、その際にFIFAランク順にポット分けが行われるため、国際Aマッチで負けてFIFAランクを落とすことは、ワールドカップ本番の組み合わせの良し悪しに直結するのだ。

ワールドカップを9カ月後に控える今、意味のない試合なんて存在しえない。

たとえ無意味に感じたとしても、自ら課題を設定し、90分の真剣勝負の中でトライ&エラーを繰り返し、更に高みを目指すのが真のプロフェッショナルではないだろうか。

敢えて辛辣な言葉を投げかけてみたが、日本代表の背番号10を背負うエースに対する期待の裏返しだ。香川真司にはロシアワールドカップ本番に向けて、更なる飛躍を遂げてほしいと願うばかりだ。

プロサポーター・著述家・ビジネスコンサルタント

1977年札幌生まれ。2000年アクセンチュア入社。2006年に退社し、ビジネスコンサルタントとして独立して以降、「半年仕事・半年旅人」という独自のライフスタイルを継続。2019年にパパデビューし、「半年仕事・半年育児」のライフスタイルにシフト。南アW杯では出場32カ国を歴訪する「世界一蹴の旅」を完遂し、同名の書籍を出版。2017年にはビジネス書「半年だけ働く。」を上梓。Jリーグでは北海道コンサドーレ札幌のサポーター兼個人スポンサー。2016年以降、サポーターに対するサポート活動で生計を立てているため、「プロサポーター」を自称。カタール現地観戦コミュニティ主宰(詳細は公式サイトURLで)。

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