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女子W杯ベスト8進出国をデータで総括 準々決勝で日本が対戦するオーストラリアの特徴とは?

村上アシシプロサポーター・著述家・ビジネスコンサルタント
なでしこジャパンはラウンド16でオランダを2-1で下して準々決勝進出を決めた

カナダで開催されている女子ワールドカップはベスト8が出揃った。ラウンド16の8試合のうち、FIFAランキングで下位の国が上位の国を負かしたのは、ブラジル対オーストラリアの1試合のみだった。それ以外はFIFAランキングが上位の国が勝ち上がり、概ね順当な結果となった。

ラウンド16の結果と、準々決勝の組み合わせは以下の通りである。国名の後の括弧内は最新のFIFAランキングを示している。

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ここで、FIFAの公式サイトが出している各試合のスタッツを集計して、ベスト8進出国の計4試合の戦いぶりを総括する。

準々決勝で日本が対戦するオーストラリアはポゼッション率が8カ国中最下位

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まずはポゼッション率のデータを見てみよう。

上位がFIFAランキング上位国でしめられているが、ひとつ気になるデータは、日本が準々決勝で対戦するオーストラリアのポゼッション率だ。8カ国中最下位の47.8%となっている。

今まで対戦してきた相手がアメリカやスウェーデン、ブラジルなど強豪国ばかりである点を考慮に入れる必要があるが、それでも4試合平均が50%を切るベスト8進出国というのは、特徴的なデータと言えるだろう。

シュート数平均でもオーストラリアは8カ国中最下位に沈んでいる

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続いてシュート数のデータでは、相変わらずドイツが1試合平均29.3本という驚異的な数字を叩き出し、ぶっちぎりの1位となっている。

更に、ここでもオーストラリアがシュート数、枠内シュート数共に8カ国中最下位に沈んでいるのが興味深い。ボール支配を相手に譲り、数少ないシュートチャンスをものにして勝ち上がってきたことが、このデータから読み取れるだろう。

ちなみに日本はシュート数が8カ国中3位と健闘しているが、枠内シュート数がオーストラリアと並んで、最下位となっている。

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最後に被シュート数(打たれたシュート数)を見てみよう。ポゼッション率が1位のフランスと2位のドイツの被シュート数が際立って低くなっているのは当然の結果と言える。

オーストラリアは8カ国中3番目に多い12.3本、枠内の被シュート数だとイングランドと同数で最も多い4.5本となっている。日本の被シュート数・被枠内シュート数ともに、中位となっている。

オーストラリア戦におけるなでしこジャパンの課題とは

これらのデータの傾向から判断すると、ラウンド16のオランダ戦同様、なでしこジャパンはポゼッション率を高めて、流れるようなパスワークでいかにオーストラリアの守備を崩し切るかが、準々決勝の課題と言えよう。

特にこの4試合は全て前半の良い時間帯に先取点が取れており、先制して逃げ切るのがなでしこジャパンの戦い方の定石となっている。早めに先制ゴールを奪って、いつもの戦い方に持ち込めるかどうかがカギとなりそうだ。

準々決勝・オーストラリア戦は、日本時間で6月28日(日)午前5時キックオフだ。週末も早起きして、是非テレビ越しに声援を送っていただきたい。連覇まで後3勝――。筆者もスタジアムのゴール裏から全力で応援するつもりだ。

プロサポーター・著述家・ビジネスコンサルタント

1977年札幌生まれ。2000年アクセンチュア入社。2006年に退社し、ビジネスコンサルタントとして独立して以降、「半年仕事・半年旅人」という独自のライフスタイルを継続。2019年にパパデビューし、「半年仕事・半年育児」のライフスタイルにシフト。南アW杯では出場32カ国を歴訪する「世界一蹴の旅」を完遂し、同名の書籍を出版。2017年にはビジネス書「半年だけ働く。」を上梓。Jリーグでは北海道コンサドーレ札幌のサポーター兼個人スポンサー。2016年以降、サポーターに対するサポート活動で生計を立てているため、「プロサポーター」を自称。カタール現地観戦コミュニティ主宰(詳細は公式サイトURLで)。

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