国立国際医療研究センターから日本人の新型コロナ後遺症に関する調査結果が発表されました。

日本国内では過去最大規模、最長追跡期間の報告です。

この研究の内容についてご紹介します。

国内の新型コロナ後遺症に関する過去最大規模・最長の追跡調査

10月8日、国立国際医療研究センターから新型コロナウイルス感染症の後遺症に関するプレスリリースが発表されました。

また、この研究は査読前ですがmedRxivに掲載されています。

ムムッ、著者の中にはSatoshi Kutsunaという謎の人物も加わっていますね・・・。

この研究は、新型コロナから回復した方へのアンケートによる調査結果を解析したものであり、457人の回復者から回答が得られました。

この457人の背景については、

・年齢の中央値は47歳

・231名(50.5%)が女性、226人(49.5%)が男性

・急性期の重症度は軽症が378名(84.4%)、中等症が57名(12.7%)、重症が13名(2.9%)

・発症日からアンケート調査日までの期間の中央値は248.5日

ということで、軽症者が大半を占める、実際の感染者の割合に近い集団と言えます。

急性期の症状は半年後までにはほとんどの人で消失する

発症からの日数と急性期症状が続いている頻度(https://doi.org/10.1101/2021.09.22.21263998を元に筆者作成)
発症からの日数と急性期症状が続いている頻度(https://doi.org/10.1101/2021.09.22.21263998を元に筆者作成)

まず、新型コロナを発症したときにみられる急性期症状(だるさ、咳、息切れ、嗅覚障害、味覚障害)は半年後にはほとんどの人で改善していました。

12ヶ月後には、これらの症状がある人は5%未満となっており、これらの急性期症状は時間とともに改善し1年後にはほとんどの人で改善することがわかります。

記憶力低下・集中力低下は長期間持続しやすい

発症からの日数と後から出現する症状が続いている頻度(https://doi.org/10.1101/2021.09.22.21263998を元に筆者作成)
発症からの日数と後から出現する症状が続いている頻度(https://doi.org/10.1101/2021.09.22.21263998を元に筆者作成)

一方で、新型コロナと診断されたときには目立たない、後から現れる症状として記憶力低下、集中力低下、抑うつ、脱毛などの症状があります。

特に記憶力低下、集中力低下、抑うつの3つの症状については6ヶ月後も約1割の人が、12ヶ月後も約20人に1人がまだ症状が残っていました。

これは、急性期にみられた咳やだるさ、嗅覚障害などの症状よりも高い頻度ということになります。

半年後も4人に1人が何らかの症状が続いている

発症からの日数と、少なくとも1つ以上の症状が続いている頻度(https://doi.org/10.1101/2021.09.22.21263998を元に筆者作成)
発症からの日数と、少なくとも1つ以上の症状が続いている頻度(https://doi.org/10.1101/2021.09.22.21263998を元に筆者作成)

発症時もしくは診断時から6カ月経過時点で26.3%、12ヶ月経過時点で8.8%の人で少なくとも1つ以上の症状が残っていました。

つまり、半年後も4人に1人が、1年後も11人に1人が何らかの症状に悩んでいるということになります。

世界で最初に新型コロナが流行した中国の武漢市からの報告では、少なくとも1つの後遺症の症状がある人の割合は、6ヵ月後で68%、12ヵ月後で49%となっています。

この違いは、武漢市からの報告では全員が入院患者であり、今回の国立国際医療研究センターからの報告では84%が軽症であることから、重症度の違いが最も関係しているものと考えられます。

女性、重症者は後遺症がみられやすい

この研究では、どういった人が後遺症がみられやすいのかについても解析を行っています。

後遺症がみられやすいのは、

・女性

・診断時に重症だった人

でした。

また、女性は男性よりも倦怠感、味覚・嗅覚障害、脱毛が出現しやすく、味覚障害が遷延しやすいことが分かりました。女性の方が後遺症がみられやすいというのは、海外からの報告でも指摘されています。

この他、若い人や痩せている人は味覚・嗅覚障害が出現しやすいことも分かりました。大阪府が設置しているコロナ後遺症の相談センターでも若い人では味覚・嗅覚障害の相談が多くなっています。

男性は女性よりも、高齢者は若い人はよりも、太っている人は痩せている人よりも新型コロナが重症化しやすいことが分かっていますが、逆に女性、若年者、痩せている人で後遺症が残りやすいということになります。

つまり、どんな人も新型コロナには感染しない方が良いということになります。

なお今回の研究は、アンケート調査によるものですので、回答者の記憶に頼ったものになりますので、症状の有無は主観的になってしまうという点に注意が必要になります。

また、追跡期間は中央値で248日ですので、1年後まで追跡できていない人も多いので1年後の症状については過小評価されている可能性があります。

新型コロナ後遺症を予防するためには?

新型コロナワクチン接種が開始されてからの後遺症についても調査が行われています。

新型コロナワクチンを2回接種した人では、発症から28日時点でも症状が続いている人の割合が減少していた、と海外から報告されています。

新型コロナワクチンを接種しても感染してしまうことはありますが、後遺症が起こるリスクを下げることができます。

また、新型コロナ後遺症を確実に回避するには、新型コロナに感染しないようにするしかありません。

緊急事態宣言は解除され、感染者は減少していますが、

・屋内ではマスクを装着する

・3密を避ける

・こまめに手洗いをする

といった基本的な感染対策は続けていきましょう。

手洗い啓発ポスター(羽海野チカ先生作成)
手洗い啓発ポスター(羽海野チカ先生作成)