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初のクライメート・トランジション国債の発行

久保田博幸金融アナリスト
(写真:Natsuki Sakai/アフロ)

 財務省は14日、脱炭素資金を調達する「GX(グリーントランスフォーメーション)経済移行債」の10年債入札を初めて実施した。

 GX経済移行債は2050年の温暖化ガスの排出実質ゼロの実現に向け、政府が企業の脱炭素の取り組みを支援する資金を調達するため発行する新しい国債となる。

 国際公約と産業競争力強化・経済成長を同時に実現していくためには、今後10年間で150兆円を超える官民のGX投資が必要であるとされている。こうした巨額のGX投資の実現に向け、国として長期・複数年度にわたり投資促進策を講ずるために、「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律(GX推進法)」に基づき、20兆円規模の「脱炭素成長型経済構造移行債」(GX経済移行債)を発行していくこととなった(財務省のサイトより)。

 GX経済移行債は、これまでの国債(建設国債、特例国債、復興債等)と同様に同一の金融商品として統合発行することに限らず、調達する資金の使途やレポーティング方法等を示したフレームワークを策定したうえで、国際標準への準拠について評価機関からの認証(セカンド・パーティ・オピニオン)を取得した個別銘柄「クライメート・トランジション利付国債」として発行される。

 そして14日に初となる10年物のクライメート・トランジション利付国債の入札が実施された。27日には5年物のクライメート・トランジション利付国債が入札される予定となっている。

 入札においては、環境への貢献度の高さを重視して利回りが低くなる「グリーニアム」がどの程度発生するのかが、注目された。

 入札の結果、応募者利回りは0.740%となっていた。14日の前場引け時点での10年新発債の利回りが0.745%あたりであった。このため、グリーニアムは0.05%となっており、予想は0.06%となっていたようでそこには届かなかったようである。

 今回は発行規模が小さく、流動性の低下への懸念があったとの見方も出ていたが、まずまず順調な滑り出しとみてもおかしくはないかと思われる。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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