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米地銀ファースト・リパブリック・バンクが経営破綻、市場への影響は限定的か

久保田博幸金融アナリスト
(写真:ロイター/アフロ)

 米連邦預金保険公社(FDIC)は1日、米地銀ファースト・リパブリック・バンク(FRC)が経営破綻し、公的管理下に置いたと発表した。同時に米銀最大手JPモルガン・チェースがFRCの預金と資産を買収するとも発表した(5月1日付日本経済新聞)。

 3月の米地銀シリコンバレーバンク(SVB)の破綻後、財務が脆弱だったファースト・リパブリック・バンク(FRC)の預金も急減。3月の預金流出の規模が1000億ドル規模に達していたことが分かり、経営不安が再燃していた。ファースト・リパブリック銀の株価も大きく下落。金融不安が起きる前と比べると株価が20分の1となっていた。

 このためファースト・リパブリック銀行の救済策が検討されており、JPモルガン・チェース、PNCフィナンシャル・サービシズ、シチズンズ・ファイナンシャル・グループなどが提案を出しており、JPモルガン・チェースがFRCの預金と資産を買収することになった模様。

 2008年のリーマン・ショック以降、銀行では米国で最大の経営破綻となるが、ファースト・リパブリック銀行に対し救済策を検討と報じられていたこともあり、ファースト・リパブリック・バンクの経営破綻はすでに織り込み済みとみられる。

 これによる市場への影響は限定的となっていた。東京時間の米10年債利回りは3.46%と28日の3.43%からむしろ上昇していた。ドル円は137円が目先の心理的な壁となっているが、リスク回避の円買いとはなっていない。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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