8月の日本の経常黒字は96%減の589億円と8月で最小に
財務省が11日発表した8月の国際収支統計(速報)によると、海外との貿易や投資収益の状況を表す経常収支は589億円の黒字だった。黒字額は前年同月から96.1%減り、8月としては比較可能な1985年以降で最小となった(11日付日本経済新聞)。
「令和4年8月中 国際収支状況(速報)の概要」(財務省) https://www.mof.go.jp/policy/international_policy/reference/balance_of_payments/preliminary/pg202208.htm
国際収支とは、海外との貿易や投資といった経済取引で生じた収支を示す経済指標である。モノの輸出から輸入を差し引いた貿易収支、旅行や特許使用料などのサービス収支、海外からの利子や配当を示す第1次所得収支、政府開発援助(ODA)などの第2次所得収支からなる。
経常収支が黒字幅を縮小させたのは、貿易収支の赤字幅拡大が主因となった。財務省によると、589億円というのは8月としては最も少ない黒字額となった。
貿易・サービス収支は3兆1065億円の赤字で、貿易収支単体では2兆4906億円の赤字となった。輸出入とも対前年同月比で増加したが、輸出が23.7%の増加に対して、輸入が52.9%増加となり、輸入の伸びが大きく、その結果、差し引きで赤字が拡大した。
商品別では、原粗油、石炭、液化天然ガス等が増加するなどエネルギー関連の輸入額が膨らんだ。ウクライナ情勢などもあり、原油価格などが上昇したことや、日銀と欧米の金融政策の方向性の違いによる円安が大きく影響した。
財務省の資料によると原油価格は円ベースで前年同月比87.5%の増加となっていた。
ドル円は昨年8月は110円近辺となっていたが、今年8月は130円台に上昇(円安ドル高)。円安は輸出産業にとってはプラス要因となるはずだが、製造業の多くはすでに海外に生産拠点を移すなどしており、輸出金額の増加よりも輸入金額増加による影響が大きくなっている。