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みずほ、楽天証券に出資。ネット証券と古株の大手証券の組み合わせが進む

久保田博幸金融アナリスト
(写真:イメージマート)

 みずほフィナンシャルグループ(FG)は傘下のみずほ証券を通じて楽天証券に出資する方針を固めた。株式の約2割を取得して持ち分法適用会社とする。取得金額は800億円規模とみられる(5日付日本経済新聞)。

 6月に三井住友フィナンシャルグループ(FG)が、ネット証券最大手のSBIホールディングス(HD)に1割程度出資すると報じられていたが、それに続く動きともいえる。

 SBIHDの傘下で、ネット証券最大手のSBI証券は20~30代を主な顧客としており、2022年3月末時点の口座数は845万と野村証券や大和証券を上回る。SBIHDと組むことで若年層の顧客を拡大し、ネット証券で他のメガ銀に先行できる可能性がある(6月22日付日本経済新聞)。

 証券取引はすでにネットの時代となっている。ネット証券最大手のSBI証券は20~30代を主な顧客としているとしているが、40~60代あたりでも対面よりもネットで取引をしている人もすでに多いのではなかろうか。

 とはいうものの、現在でも対面での営業も証券会社にとっては、引き続き大きな収益源となっていることも確かである。特に金額の大きな取引、いわゆる大口顧客は高齢層を中心として対面の方が多いのかもしれない。また、企業との取引においても対面中心となっているのではなかろうか。

 今回のみずほフィナンシャルグループ(FG)は、傘下のみずほ証券を通じて楽天証券に出資するにあたり、楽天証券の顧客にみずほの対面サービスを紹介したり、みずほが引き受ける株式や債券を楽天証券で販売したりといった連携を視野に入れると日経新聞が報じていた。

 幅広い顧客層を取り入れるためには、ネット証券と旧来型の対面主体での取引も多い大手証券の融合というのは、証券会社の生き残りを賭けて必要になってくる。楽天証券など比較的参入が新しいネット証券にとって、古株の大手証券と組むことで信用力が増すことにもなる。

 すでに三菱UFJFGはauカブコム証券と連携しており、野村ホールディングスはLINEと組んでLINE証券を展開している。

 やや出遅れ感もあったことで、みずほは楽天証券と組む格好となったものとみられる。楽天証券は2022年6月には800万口座を超え、口座数で国内最大規模となり、みずほ証券と合わせた口座数は1000万規模になる見込みだとか。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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