値上げラッシュが止まらず、オロナミンCも値上げ。円安もあり物価上昇圧力は相当なものに。
大塚製薬は23日、11月1日出荷分から「オロナミンCドリンク」などの小瓶ドリンクを値上げすると発表した。原材料価格やエネルギーコストの高騰などが背景。資材の中では特にガラス瓶の高騰が響いていると思われる(23日付食品新聞)。
原材料価格やエネルギーコスト高騰は続いているが、ガラス瓶の高騰というのは新たな要因とみられる。
オロナミンCドリンクはスーパーの特売品となるなど、ある意味、デフレを象徴するような商品のひとつでもあった。それも値上げとなると、やはり物価上昇圧力は相当なものと言わざるを得ない。
今年は秋に入っても食品の値上げラッシュの猛威が収まらず、9月以降には約8000品目が値上げされる予定で、年内累計は2万品目を超える勢いだという(帝国データバンク)。
今年5月までは小麦など原材料価格の高騰が値上げの主な理由だったが、現在は原油高による輸入・物流コストの上昇、さらに円安にともなう輸入コストの上昇へと変化している。原油についてはWTI先物が100ドルを割り込むなどいったんピークアウトしている。
しかし、欧州での天然ガス価格の上昇がアジアにも波及している上、今度はパナマ運河の通航料の値上げも影響してくるようである。
パナマ運河庁が7月、主に太平洋と大西洋を結ぶパナマ運河の通航料を2023年から段階的に引き上げると決めた。LPG船の通航料は25年に、現行に比べ約9割値上がりする(23日付日本経済新聞)。
すでに欧州ではエネルギー危機と呼ばれるように、天然ガスの値上がりによって物価が高騰しており、ドイツ連邦統計庁が19日に発表した7月の生産者物価指数(PPI)は前年同月比37.2%、前月比5.3%上昇し、いずれも1949年の統計開始以来最大の伸びとなった。
原材料価格の高騰がいったん収まったとしても、エネルギー価格の上昇による輸入・物流コストの上昇は今後も継続されよう。すでに欧州の状況は他人事ではない。さらにここにきて再び円安が進んでおり、ドル円が再び140円に向かうことも十分考えられる。
欧米の物価の上昇にブレーキが掛からず、FRBやECB、イングランド銀行などは積極的な利上げを行わざるを得ない。それに対して日銀は頑として、非常時対応の緩和策を緩める姿勢はまったく見せていない。これでは円安が進行してもおかしくはない。その円安がさらなる物価高騰を招きかねない。
日銀は物価の上昇は一過性のものとの認識のようだが、現在の状況を見る限り、さらに日本でも物価が上昇圧力を強めかねない状況にある。これに対する現在の日銀の姿勢は本当に正しいものであるのか。国民生活を考えれば、円安にブレーキを掛け、物価上昇を少しでも抑えるため、物価に見合った利子を付けることなど、金利を上げる方向に戻すことも必要だと考える。