欧州で天然ガス料金が過去最高値、日本の物価への影響も
21日の欧州エネルギー市場で天然ガスの値上がりが加速している。翌月物の取引価格は前日比で一時25%上げ、過去最高値を大幅に更新した(22日付日本経済新聞)。
その要因として、ロシア産ガスをドイツへ供給するパイプラインの流れが東向きに変わったことが指摘されている。
ロシア政府はこの動きに政治的な背景はないとしているが、西側諸国の政治家や産業界の専門家の一部は、ウクライナを巡る政治的緊張やノルドストリーム2の承認の遅れを理由に、ロシアが欧州へのガス供給を抑えていると非難が出ていた(22日付ロイター)。
フランスの多くの原子力発電所が閉鎖されて発電所の需要が高まっているなかで、ロシアからの供給不足の不安が解けないと、冬季の需給が逼迫するとの懸念が強まっている。
欧州の電力事情も心配ながら、天然ガスの値上がりが続くとなれば、日本でも物価上昇圧力となる。
天然ガスの高騰を受けて、国内の家庭の電気料金が値上がりを続けている。東京電力ホールディングスでは2022年2月の一般向けの料金も値上がりする見込みとなっている。このままでは3月以降も電力料金が高止まりすることが予想される。
電力料金は石油、LNG、石炭といった燃料価格の変動分が自動で転嫁される仕組みで、過去3か月の平均燃料価格が2か月先の料金に反映される。
来年4月には携帯電話料金引き下げの効果が剥落し、消費者物価指数の1.5%程度の押し上げ要因となる。ここに電力料金などの上昇、さらには円安による輸入物価の上昇、食料品の値上げなどが反映されるとなれば、2%に接近してくる可能性がないとはいえなくなる。