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個人の金融資産額は2000兆円に接近、国債残高では海外や日銀の保有額が増加

久保田博幸金融アナリスト
(写真:cap10hk/イメージマート)

 日銀は12月20日に資金循環統計(2021年7~9月期速報値)を発表した。9月末の個人の金融資産額は1999兆8311億円となり、2000兆円に接近し過去最高を記録した。30年前から倍増となった。

 個人の金融資産の内訳は、現金・預金が前年比で3.7%増の約1072兆円。株式等は同28.6%増の約218兆円、投資信託は同24.0%増の約90兆円となっていた。前年同期に比べての株価の上昇も個人の金融資産の増加に寄与した。

 この資金循環統計を基に国債(短期債除く)の保有者別の内訳を算出してみた。

 残高トップの日銀の国債保有残高は513兆3836億円、48.1%のシェアとなった。前期比(速報値)からは4兆3450億円の増加となった。残高2位の保険・年金基金は248兆7294億円(23.3%)、3896億円増。残高3位は預金取扱機関(都銀や地銀など)で123兆4312億円(11.6%)、1兆4635億円減。残高4位が海外投資家で80兆9932億円(7.6%)、4兆6156億円増。残高5位が公的年金の44兆8029億円(4.2%)、2兆540億円増。残高6位が家計の13兆680億円(1.2%)、632億円減。その他が42兆6122億円(4.0%)、7289億円増となっていた。

 2021年6月末に比べ国債(短期債除く)の残高は10兆6064円増の1067兆205億円となった。(こちらの国債残高は時価ベース)。

 6月末に比べて海外と日銀が大きく残高を増加させたが、預金取扱機関、つまり銀行などが引き続き残高を減らしていた。

 短期債を含めた国債全体の数字でみると9月末の残高は約1219兆円。このうち日銀が約538兆円で44.1%のシェアに。海外勢の残高は約164兆円と短期債を含めると国債全体の13.4%のシェアとなっていた。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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