日銀短観のピークアウトで日経平均もピークアウト?
日銀が1日に発表した9月の全国企業短期経済観測調査(日銀短観)で、大企業製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)はプラス18と前回の6月調査のプラス14から4ポイント改善した。改善は5四半期連続となる。大企業非製造業の同DIはプラス2で小幅改善となった。
今回の調査は8月26日~9月30日に実施されていたことで、この間の東京など19都道府県は緊急事態宣言が発令中となっていた。
その緊急事態宣言は解除されたが、日銀短観での先行きの予測については、大企業製造業DIは14となり、今回から減速するとの予測となっている。
大企業製造業DIが、もし予測通りに減速となれば、東京株式市場の日経平均のトレンドが変化してくる可能性がある。大企業製造業DIのトレンド変化時と日経平均のトレンド変化が重なることが過去に度々あったためである。
昨年6月の日銀短観では、大企業製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)がマイナス34と、リーマン危機後の2009年6月調査以来11年ぶりの低水準になった。悪化幅はリーマンショック翌年の3月に次ぐ過去2番目の大きな落ち込みとなっていた。
昨年9月の日銀短観では、大企業製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)がマイナス27となった。改善は2017年12月以来2年9カ月ぶりとなった。ここから5期連続での回復となる。
日経平均のチャートをみると昨年3月に16000円台まで下落、そこから回復基調となっている。この際の日銀短観と日経平均のトレンド変化はほぼ重なっていた。
その後、日経平均は上昇トレンドを形成し9月に入り31年ぶりの高値を付けて3万円台を回復した。しかし、そこからは米株の下落もあり、調整局面入りしている。
もし短観での大企業製造業DIが予測通りに落ち込むことになれば、目先、日経平均もピークアウトしてくる可能性がある。ここにきての株価も、それを示しているかのような動きとなっている。
自民党総裁選もあり、トップが変わるとなれば新しい風を期待するような動きが出てもおかしくはない。これまでの閉塞感が打ち破られるとの期待も出てくると思われたが、そのような動きは一時的なものであった。実際にトップが変わっても低迷している株価は、景況感そのものの変化が背景にあるのかもしれない。