カナダの中央銀行はテーパリングを決定、ECBはテーパリングは時期尚早と表明。
カナダ銀行(中央銀行)は21日の金融政策決定会合で、国債の購入を減額することを決めた。想定以上に経済回復が進んでおり、主要国の中銀でいち早く金融緩和の正常化に動く(22日付日経新聞)。
国債の購入を減額すること、これはテーパリングとも呼ばれる。米国の中央銀行となるFRBも2014年にテーパリングを行っていた。それが終了後に利上げを進め、金融政策の正常化を進めた。
いまだ新型コロナウイルスの世界的な感染は拡大している。しかし、世界経済そのものはワクチン普及への期待もあり、急速な回復が予想されている。カナダ銀行のマックレム総裁も「コロナ感染に対する経済の耐久性へ自信を深めている」と発言していた。
FRBのパウエル議長は4月14日に、利上げにコミットする前に量的緩和策の縮小に踏み出すとの見解を示した。債券購入の段階的縮小が「利上げを検討する時期よりもかなり前になる可能性が高い」と語っている。
FRBも景気改善に伴い6月にも資産購入を段階的に減らす計画を示唆し始める可能性があるとの指摘が出ている。6月のFOMCもしくはジャクソンホールでテーパリングを示唆する可能性は十分にありうる。
つまりカナダ銀行に続き、FRBも正常化に向けて舵を切る可能性がある。
日銀はどうであろう。2%の物価目標という看板を下ろさない限り、緩和に前向きな姿勢は崩せないのかもしれないが、政策目標を量から金利に移したことにより、実質的なテーパリングは行っている。国債の買い入れに加え、ETFでも実質的にテーパリングを行っていると見ざるを得ない。しかし、FRBと同様に利上げには慎重であり、つまりそれはマイナス金利政策が維持されるということになる。
経済が正常化に向かうのであれば、非常時対応でもあるマイナス金利政策も止めるべきだとは思うが、引き締めに見えることには躊躇があるようである。これはECBも同様か。
22日のECB政策理事会では、大規模な量的緩和の維持を決定すると同時に、政策金利も現行水準に据え置くことを決定。ラガルド総裁はパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の段階的な縮小については「時期尚早」として、議論していないと表明した。