日本はさておき欧米では景況感が急回復、物価にも反映か
1日に発表された日銀短観では、大企業製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)はプラス5と前回の2020年12月調査から15ポイント上昇した。これは事前予想を上回る数字でもあった。大企業製造業DIのトレンドは株式市場のトレンドとも重なることも多く、ここにきての東京株式市場の上昇基調と整合性がある。
1日に米国の供給管理協会(ISM)が発表した3月の製造業景気指数は64.7と、1983年12月以来、37年超ぶりの高水準を付けていた。新規受注と生産がそれぞれ17年ぶりの高水準となり、全体の指数を押し上げた。
さらに、IHSマークイットが発表した3月のユーロ圏の製造業購買担当者景気指数(PMI)改定値は62.5となり、1997年6月の調査開始以降で最高となった。
上記の経済指数はいずれも景況感をヒアリングして結果をまとめたものであるが、日銀短観はそれほどではなかったものの、米国や欧州では景況感が急速に改善していることがうかがえる。
ただし、欧州では新型コロナウイルスの感染の再拡大を受けて、フランスなどでは3度目となる全土でのロックダウンが開始されている。このためサービス業などでの悪化は予想されるが、それ以上に製造業の回復度合いも大きいようである。
100年前のスペイン風邪の際も景気そのものの落ち込みはそれほど大きくはなく、むしろ実体経済はしっかりしていた。日銀短観をみても業種によって回復しているところと落ち込んでいるところがはっきり分かれてはいるものの、総じて観れば景気は回復基調にあるといえる。
それが欧米では景況感そのものが急回復しているところにも注意する必要がある。これが物価指数に反映されるまでタイムラグがあるかもしれないが、いずれ物価にも反映されることが予想され、それを読んで長期金利がさらに上昇してくることも予想される。