第三次補正予算に関わる国債増発は慎重にすべき
政府は年末に向け、追加の経済対策を盛り込んだ2020年度第三次補正予算案を検討している。問題となるのはその規模である。
下村政務調査会長は、今年度の第3次補正予算案は、20兆円を上回る規模が必要だという認識を示した。7~9月GDPの需給ギャップが34兆円となったことを踏まえ、その程度まで上乗せしなければならないのではないかとも指摘していたとか。ただし、このギャップを一般歳出ですべて埋める必要性はない。
二次補正で計上した10兆円の予備費はまだ7兆円以上残っているとされている。しかし、新規感染者数の最多記録更新が続く状況を受けて増額論が強まっている。
債券市場で注目されるのは、第三補正予算の編成により、国債の増発があるのか。あるとすればどの程度の規模になるのかである。
26日に開催された国債市場特別参加者会合では、国債発行計画等については、過去最大の増額となった利付債の更なる増額については慎重となるべき、という意見が聞かれたようである(財務省のサイトの議事の要点より)。
同日に開催された国債投資家懇談会でも、来年度の発行計画に関して、今年度の第三次補正の状況にもよるが、大きく増額しないのがベストだと考えるとの指摘があった。
そもそもの7~9月GDPの需給ギャップの原因は、新型コロナウイルスの感染拡大による急激な景気の落ち込みからの回復が鈍かったことにある。ここにきて新型コロナウイルスの感染が再拡大しており、感染拡大防止策を採らざるを得ない。それによる景気への悪影響は財政政策で賄う必要があるが、それはまさに予備費で行うべきものであろう。
景気にブレーキを掛けなければならないタイミングで、景気刺激策を講じても、それによる効果は当然限られたものとなってしまうというか逆効果にもなりかねない。
これまでになかったような景気の変動もあり、今年度については税収も当初の見込みを大きく下回ることも予想される。それも考慮すれば、大型の経済対策を今、採るのではなく、新型コロナウイルス感染拡大防止とそれに影響を受けるところの保護策を中心にすべきで、規模ばかりに目を向けるべきではない。
債券市場参加者も、さすがにこれ以上の国債の増発については慎重にみていることも考慮すべきではないかと思う。