日銀も地域金融機関の再編の背中を押す
日銀は10日、地方銀行など地域金融機関の経営基盤強化に向けた取り組みを後押しするため、特別制度を導入すると発表した。経営統合で収益力強化に取り組むことなどを条件に、日銀に預けている当座預金に0.1%の金利を上乗せする。2020年度末までの時限措置となる。
地銀を巡っては、菅首相が9月の自民党総裁選で「数が多すぎる」と発言。就任直後には麻生太郎金融担当相に再編の促進を含めた環境整備を進めるよう指示しており、政権の主要政策に浮上している(10日付毎日新聞)。
この決定は定期的に開催される通常の金融政策決定会合で決められた。0.1%の付利で、それでは再編しますとはならないと思うものの、再編の背中を押す格好となるのか。
日銀が公表した「地域金融強化のための特別当座預金制度」の導入について、では直接、マイナス金利の弊害については言及はしていないが、それも意識されているであろうことも確か出来なかろうか。下記のような指摘があった。
「もっとも、やや長い目でみると、金融機関の国内預貸業務の収益性は低下を続けている。これは、極めて低い金利環境の継続に加えて、人口の減少・高齢化や成長期待の低下、企業部門の貯蓄超過などの構造要因による面が大きい。」
極めて低い金利環境の継続は直接的に地域金融機関の収益に影響を与えていることも確かである。地域金融機関の経営基盤強化の手段として、経営統合というものがある。これを菅政権も推し進めようとしていることで、日銀もそれに手を貸すような格好か。
日銀の金融政策としてマイナス金利政策がある。ECBもマイナス金利政策を導入している。これをイングランド銀行やFRBも導入するのではないかとの観測もあり、実際に会合でもそれを検討していたようである。しかし、マイナス金利政策が金融機関に与える影響を考慮するとなかなか踏み込めないような状況となっている。
新型コロナウイルスの感染拡大とそれを防止するためのロックダウンなどは経済にブレーキを掛けることになる。これによって金融機関にも負の影響を与える。これも今回の日銀の取り組みを決定した背景にあったとみられる。