株価や原油価格の反発はコロナ後を見据えているのか
米国の代表的な株価指数であるダウ平均は2月12日に29568.57ドルをつけて、ここが最高値となった。ここから下落し、3月23日に18213.65ドルという安値をつけた。ここからの半値戻しは23891.11ドルとなっていたが、これは5月5日に上回ったことで、いわゆる半値戻しを達成した。
ナスダック総合指数のザラ場中の過去最高値は今年2月19日につけた9838.37であり、そこから下落し3月23日に6631.42まで下落した。その後、回復基調になり、5月8日に9000ポイントも抜いてきた。半値戻しは8234.89となり、これは4月14日に達成した。そこからさらに上昇基調を辿り、過去最高値も視野に入りつつある。
4月30日の東京株式市場でも日経平均は2万円台を回復し、1月の高値から3月の安値までの下落幅の半分を戻す、いわゆる半値戻しをこちらも達成していた。
果たして半値戻しは全値戻しとなるのか。その可能性は十分にあると思われる。とは言うものの、新型コロナウイルスの感染拡大とそれを防止するためのロックダウンなどによる経済活動の制限措置は、世界経済に大きな影響を与える。それが経済指標にもあらわれている。
それでも先行きについては、景気回復の可能性もみておく必要があるのではなかろうか。そのひとつの目安に原油先物価格の動きがある。
4月20日の原油先物市場では史上初というる事態が発生した。WTI先物5月限が一時マイナスに転じ、マイナス40.32ドルを記録したのである。これは原油の供給そのものも過多となっていたところに、新型コロナの影響で石油そのものの需要が大きく後退した。先行きの需要もみえなくなっていた。
そのタイミングで21日がWTI5月限の取引最終日となり、貯蔵施設がほぼ満タンの状況下、原油先物の買い方が現引きを恐れて、投げ売ったことが要因とみられた。
しかしその後、原油の減産の実施や中国での需要の回復もあって、原油先物は30ドル台を回復した。WTI先物6月限の取引最終日は5月19日であったが、前日18日には先月のようなパニック的な動きはないどころか、大きく上昇していた。
今後はよほどのことがない限り、原油先物がマイナスとなる事態は避けられるのではないかとみられる。WTIのチャートからは目先40ドルあたりまでの戻りもあるか。
この株価と原油価格の反発の動きをみる限り、市場はコロナ後を次第に見据えているともみえる。たしかに、株価は実態を反映していない、異常な過剰流動性相場だとの見方もできなくはないが、この株価の戻りも素直に見る必要があるのではないかと思われる。