イタリアのジャンク級への格下げはひとまず回避
24日に予定されていたS&Pグローバル・レーティングによるイタリアの格付けの行方が注目されていた。
結局、S&Pはイタリアの信用格付けを投資適格級で下から2番目の「BBB」に据え置いた。これによりジャンク級への格下げは見送られた。また、見通しもネガティブ(弱含み)を維持した。
新型コロナウイルスの対策で各国の政府債務は拡大しつつあり、特に欧州の債務危機の際には巨額の公的債務を抱えるイタリアの国債利回りが大きく上昇し、欧州の危機的状況の象徴的な動きともなっていた。
もし24日のイタリアの格付けがジャンク級に引き下げられると再び危機的状況が再燃するのではとの危惧も多少なりあったようだが、それはひとまず回避された。
しかし、5月8日には今度はムーディーズによるイタリアの格付け見直しの発表が予定されている。こちらも現在「Baa3」と投資適格級で最も低い格付けとなっているため、ムーディーズの発表にも注意する必要がある。
S&Pは24日、英国の格付け見直しの発表を行ったが、こちらの長期外貨建て債務格付けも「AA」に据え置いている。
現状ではとにかく新型コロナウイルスの感染拡大を抑え込むことが急務になっている。これはヒトとモノの動きを封じてしまうことで、そのための財政による支援策が必要となる。
いずれ新型コロナウイルスの感染拡大を抑制した際には、経済活動を本格的に再開させなければならないものの、そのための財政支援策も必要になろう。経済活動そのものが停止してしまったような状況となったことで、国の税収が大きく落ち込むことも予想される。これはイタリアなど巨額の公的債務を抱える国の債務をさらに悪化させることになる。これは巨額の公的債務を抱える日本も例外ではない。