Yahoo!ニュース

中国での新型肺炎の感染拡大への懸念から、金融市場ではリスク回避の動きを強め、株安円高、債券高となる

久保田博幸金融アナリスト
(写真:ロイター/アフロ)

 中国国務院は、春節休暇を当初の1月30日までだったものを、2月2日まで延長すると発表した。春節休暇は学校の休暇も追って通知があるまで延長される。

 読売新聞によると、26日に全国で新たに769人の感染が確認され、感染者は2744人に達した。

 中国での新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、米国務省は26日、旅客機を手配し、武漢に取り残された米国人の職員と民間人を避難させると発表した。

 安倍首相も26日夜、新型肺炎の発生地で、交通が遮断されている湖北省武漢市とその周辺に滞在する邦人のうち全ての希望者を帰国させる方針を示した(のちほど、これは延期されるとの発表も)。

 これらの報道を受け、27日の東京市場ではリスク回避の動きを強め、日経平均は500円を超す下げとなった。ドル円は一時109円を割り込んだ。

 債券先物は買いが先行、東京時間で米10年債利回りはさらに低下した。

 中国での新型コロナウイルスの感染拡大による世界経済への影響も懸念され、原油先物は下落した。リスク回避の動きから、金(ゴールド)は買い進まれた。

 27日の米国市場では、春節(旧正月)の連休が延長されることで、サプライチェーンへの影響なども危惧され、ダウ平均は453ドル安となった。欧米の国債は買い進まれ、原油先物は下落した。

 金融市場ではこのようにリスク回避の動きがさらに強まった格好となっている。中国での新型コロナウイルスの感染拡大が沈静化するようなことがなければ、なかなか不安は拭えず、さらにリスク回避の動きを強めることも予想される。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

牛さん熊さんの本日の債券

税込1,100円/月初月無料投稿頻度:月20回程度(不定期)

「牛さん熊さんの本日の債券」では毎営業日の朝と引け後に、当日の債券市場を中心とした金融市場の動きを牛さんと熊さんの会話形式にてお伝えします。昼には金融に絡んだコラムも配信します。国債を中心とした債券のこと、日銀の動きなど、市場関係者のみならず、個人投資家の方、金融に関心ある一般の方からも、さらっと読めてしっかりわかるとの評判をいただいております。

※すでに購入済みの方はログインしてください。

※ご購入や初月無料の適用には条件がございます。購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。

久保田博幸の最近の記事