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2020年度の国債発行計画

久保田博幸金融アナリスト
(写真:Natsuki Sakai/アフロ)

 12月20日に2020年度予算が閣議決定され、それとともに2020年度の国債発行計画も発表された。2020年度の新規国債(建設国債と赤字国債)の発行額は今年度当初と比べて1043億円減の32兆5562億円となる。国債依存度は31.7%と今年度の32.2%から低下した。

 新規国債32兆5562億円の内訳は、建設国債が7兆1100億円、特例国債(赤字国債)が25兆4462億円となる。今年度当初に比べて建設国債は1580億円増となるが、特例国債は2623億円減となる。

 復興債の発行は9241億円(今年度当初比43億円減)、財投債が12兆円(同変わらず)、借換債は107兆9818億円(同4兆8414億円増)となる。これによりトータルの国債発行総額は153兆4621億円となり、今年度当初の148兆7293億円からは4兆7328億円の増額となった。新規国債は減額となったが、借換債が増加したことでトータルでは6年ぶりの増額に。

 個人向け販売分は4兆8000億円(今年度当初比1000億円増)、公的部門(日銀乗換)が2兆2000億円(同変わらず)となり、この分を差し引くと国債の市中発行分は146兆4621億円(同4兆6328億円増)となる。さらに第2非価格競争入札等分の7兆9884億円(同5756億円減)、前倒し発行などによる年度間調整分が9兆6737億円(同5兆8084億円増)あり、カレンダーベースでの市中発行額は128兆8000億円と今年度当初の129兆4000億円に比べて、6000億円減となる。

 カレンダーベースでの市中発行額は40年債が3兆円(5000億円が6回)と今年度の2兆4000億円から6000億円増額される。30年債(7000億円12回)、20年債(9000億円12回)、10年債(2兆1000億円12回)、5年債(1兆9000億円12回)、2年債(2兆円12回)の発行額は変わらず。割引短期国債もトータル21兆6000億円と変わらず。流動性供給入札が11兆4000億円と今年度の12兆6000億円から1兆2000億円減額されることにより、都合6000億円の減額となる。

 カレンダーベースの平均償還年限は9年2か月と今年度の9年1か月から1か月延びた。また来年度の前倒債の発行限度額は43兆円となり、今年度の53兆円から減額された。

 カレンダーベースでの市中発行額については、ほぼ予想通りであり、この発表を受けての市場への影響はほとんどなかった。それでも年間の国債発行額は150兆円台となり、新規財源債も減額はされたとはいえ32兆円台にあることも確かである。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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