日米欧の長期金利が上昇局面入りか
9月3日に発表された8月のISM製造業景況指数が予想以上に低下したことから、米景気減速の懸念が強まった。この日の米10年債利回りは9月3日に一時1.42%まで低下し、過去最低の1.31%に接近した。
その後、米中が10月初めに閣僚級の貿易協議をワシントンで開くことで合意したこともあり、リスク回避の巻き戻しの動きから、米債利回りは上昇基調となる。欧州の国債利回りもドイツなどを主体に上昇してきた。
12日のECB理事会では包括的な金融緩和策を決定した。
13日に日本国債は急落した。これも何かしら市場の流れの変化を示唆するようなものとなった。このタイミングで日欧米の長期金利は再び低下基調となったのである。
16日にはサウジの石油施設が攻撃を受けて原油価格が急騰し、中東の地政学的リスクも意識されて16日の欧米の国債利回りは低下した
18日のFOMCでは予想された通り、政策金利を0.25%引き下げた。
20日に日銀は国債買入で3本ともに減額した。これを受けて日本の国債はいったん売られるが、欧米の国債は10月初旬にむけて低下基調となり、日本の国債利回りもその後、それに合わせるように低下した。
25日に日本の債券先物は155円48銭まで上昇して、過去最高値を更新してきた。この日、トランプ大統領は中国との貿易協議が想定より早く決着するだろうと述べていた。
29日には米中の閣僚級協議を10月第2週に開くことを明らかに。これらを受けて米中対立への過度な懸念が後退してきた。しかし、1日発表の9月のISM製造業景況感指数が10年ぶりの低水準となったことなどから米国債の利回りはまだ低下していた。10月3日の米10年債利回りは1.53%に低下した。
7日に中国は米国との通商協議では可能な部分で合意を取りまとめるとの観測から、米中の協議が進展するとの見方が強まり、このあたりから米国債の利回りはあらためて上昇基調となった。英国の合意なきEUからの離脱も回避されるとの見方も出てきたことから、欧州の国債利回りも上昇基調となってきたのである。
28日にはS&P500種株価指数は3か月ぶりに過去最高値を更新。この日の米10年債利回りは一時1.86%まで上昇し、1.9%が視野に入ってきた。9月上旬にマイナス0.7%台に低下していたドイツの10年債利回りも10月28日にはマイナス0.3%台に上昇してきた。
その後、米10年債利回りは一時1.7%割れとなったが、4日に10年債利回りは1.77%に上昇してきた。
米国とドイツの10年債利回りのチャートをみると下向きのトレンドラインから上抜けてきた格好となっている。いわゆるダブルボトムを形成してきた。この動きから予想されるのは、さらなる国債利回りの上昇となる。これは日本の10年債利回りの動きからみても同様のことが言える。