Yahoo!ニュース

ホルムズ海峡で緊張が高まる、原油価格への影響は

久保田博幸金融アナリスト
(提供:Stena Bulk/ロイター/アフロ)

 ホルムズ海峡で19日、イランの革命防衛隊がイギリス船籍のタンカー「ステノ・インペロ」を拿捕した。これは4日にパナマ船籍のイランのタンカー「グレース1」が、EUの制裁に反してシリアに石油を運ぼうとしたとして英海軍に拿捕されたことへの報復ともされている。

 海軍ワスプ級強襲揚陸艦USS Boxerが、ホルムズ海峡でイラン軍が使用する無人機を無力化するのに、MADISと呼ばれる新技術を使用したとも報じられた。これについては米国もイランも正式には認めていないようだが、米国がMADISをテストしてきた可能性はある。

 いまのところ欧米諸国とイランが直接軍事行動に出てきた兆しはないものの、ホルムズ海峡を巡って緊張が高まっている。

 このようなタイミングで、英国の党首選の決選投票が行われている。ボリス・ジョンソン氏は今週中に英国首相となり、同国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)を主導するとされている。これはこれで混乱を招きかねないながら、ジョンソン氏はその前に中東を巡る問題に対処しなければならない。

 ホルムズ海峡を巡る欧米とイランの緊張の高まりを受けて、原油先物はいったん下げ止まりといった状況となっている。さらに中東で緊張が高まるようなことになれば、WTIが再び60ドル台を目指すようなことも考えられる。

 WTIの週足をみると三角持ち合いの頂点になりつつある。チャート上からは、ここからどちらかに大きな動きをみせる可能性がある。今後の原油価格に影響を与えるような出来事に注意を払う必要がありそうである。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

牛さん熊さんの本日の債券

税込1,100円/月初月無料投稿頻度:月20回程度(不定期)

「牛さん熊さんの本日の債券」では毎営業日の朝と引け後に、当日の債券市場を中心とした金融市場の動きを牛さんと熊さんの会話形式にてお伝えします。昼には金融に絡んだコラムも配信します。国債を中心とした債券のこと、日銀の動きなど、市場関係者のみならず、個人投資家の方、金融に関心ある一般の方からも、さらっと読めてしっかりわかるとの評判をいただいております。

※すでに購入済みの方はログインしてください。

※ご購入や初月無料の適用には条件がございます。購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。

久保田博幸の最近の記事