中国による米国債保有額が引き続き減少
米財務省が17日発表した4月の国際資本収支統計における米国債国別保有残高(MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES)によると、4月末時点の米国債保有国のトップは引き続き中国となっていた。保有額は1兆1130億ドルとなり、前月比で75億ドル減少していた。
国、米国債保有額、前月比(単位、10億ドル)
中国(China, Mainland) 1113.0-7.5
日本(Japan) 1064.0-14.1
ブラジル(Brazil) 306.7-5
英国(United Kingdom) 300.8-16.3
アイルランド(Ireland) 269.7-7.9
スイス(Switzerland) 226.9 +0.5
ルクセンブルク(Luxembourg) 223.7-6.5
ケイマン諸島(Cayman Islands) 217.2-2.3
香港(Hong Kong) 205.9-1.7
ベルギー(Belgium) 179.8-6.8
4月は米中の貿易交渉は継続中であり、これを睨んで意図的に中国が米国債の保有残高を落としていたわけではないとみられる。ちなみに4月末の中国の外貨準備高は前月末比で38億1000万ドル減少し、3兆950億ドルとなった。減少は6か月ぶりとなった。
今回の減額は外貨準備高の減少とともに中国の保有資産の分散化の一環とも考えられる。また、第二位となっている日本も3月に比べて4月は141億ドル減少していた。日本では年度が替わり、利益確定売りなどが入っていた可能性がある。
5月には米中の通商交渉がいったん物別れに終わったこともあり、米国の強硬姿勢に対抗するため、中国が今後、米国債の売却を急ぐ可能性も否定はできない。ただし、これを交渉の切り札にすることにもリスクがあり、ここにきてFRBの利下げ期待で堅調な動きとなっている米国債市場への影響も出てくることも考えられる。中国の米国債の保有高は多少減少しようと巨額であることにかわりはなく、中国による米国債の売却で米債の価格を下落させてしまうと自分で自分の首を絞めかねないことも事実であろう。
英国は前月比で163億ドル減少させていた。3月には2月に比べて333億ドルも米国債保有を増加させていた。英国のEU離脱に絡んだ動きの可能性もあったが、相場の動きなどをみての売買であった可能性もある。