日本でのQRコード決済の普及を阻んでいるものとは

(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

 ここにきて日本でのQRコード決済が果然注目を集め出した。その火を付けたのが、ソフトバンクとヤフーの合弁会社が始めた電子決済サービス「PayPay(ペイペイ)」であった。

 PayPayの「100億円あげちゃうキャンペーン」が12月4日に始まり、2019年3月末まで行う予定だったが、利用者が殺到したことで、10日間で還元額が100億円に到達して終了したようである。

 アクセス障害が起きたり、クレジットカードが不正利用されたという事態が発生したと報じられたが、とにかくもQRコード決済が注目されたことは確かであり、一定の利用者を獲得したことも確かであると思われる。

 これに対抗してかLINE Payもあらたなキャンペーンを行っているようである。これらのキャンペーンによって利用できる店舗も増加する可能性はあるものの、中国のように一気にQR決済が日本で拡大することは現状は考えにくい。

 政府もキャッシュレス化に向けていろいろと画策しているようである。費増税対策として、キャッシュレス決済するとポイント還元も行う。また、政府の国家戦略特区諮問会議は17日、現行法で認められていない電子マネーによる給与支払いを解禁する方針を決めたとか。

 これらの動きはそもそも日本では海外に比べてキャッシュレス化が遅れているため、というのが前提となっている。しかしその前提にも疑問がある。ある意味、日本はキャッシュレス化においては先進国ともいえるのではなかろうか。給与の銀行振り込みなどは早くから普及しており、電車の利用もほぼキャッシュレスとなっている。買い物もアマゾンだけでなく、スーパーやコンビニでもキャッシュレス決済が進んでいる。

 確かに中国などで普及したQRコード決済の普及は遅れているかもしれない。しかし、いまそれを使う必要性は感じられず、QRコード決済を拡張するには何かしら利用者のインセンティブが必要となるのではなかろうか。それがPayPayのキャンペーンであったかもしれないが、これにより一般への普及が高まるかと言えば、一時的なものとなる可能性があるため、やや疑問が残ろう。

 個人的にはQRコード決済を普及させるには、スウェーデン方式のように直接銀行口座に紐付けした上での利用が望まれる。途中にクレジットカードなどを挟むと手数料等の問題もあるが、利用しづらい。ただし、その銀行そのものが関連会社によるクレジットカードなどによる手数料収入も大きいとみられ、銀行がそれほど積極的ではなさそうなのが、日本のQRコード決済の普及を阻んでいるようにも思われるのである。

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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