Yahoo!ニュース

日銀短観が景気や株価の目先のピークアウトを示す

久保田博幸金融アナリスト
(写真:アフロ)

 2日に発表された日銀短観ではヘッドラインとして注目される大企業製造業DIがプラス24となり、前回の2017年12月調査のプラス26から悪化した。悪化したのは8四半期ぶりとなる。先行きについてもプラス20とさらなる悪化を見込んでいる。

 大企業非製造業DIもプラス23と前回のプラス25から悪化し、先行きもプラス20とさらなる悪化を見込んでいる。

 素材業種を中心に原料高が押し下げ要因となったと指摘されている。

 過去の動きをみると、日銀短観の大企業製造業DIのトレンド変化と日経平均のトレンド変化が重なることが多い。

 今回の日銀短観をみると大企業製造業DIがいったんピークアウトした格好となった。日経平均の動きをみると今年の1月23日を目先のピークとして、2月に入っての米国株式市場の大幅調整もあり、すでに目先のピークアウトを迎えている。

 これは米国株式市場の影響が大きく、外的要因によるものとみられていたが、今回の短観を見る限り、国内経済についてもこの期間中にいったんピークアウトしていたとの見方ができるかもしれない。そうなると日経平均が、なかなか戻り切れないのも企業の景況感の変化も影響している可能性がある。

 また、事業計画の前提となっている想定為替レート(大企業・製造業)が2018年度のドル円で109円66銭と、足元の106円近辺あたりからは円安に想定されていることも、不透明要因となっているのかもしれない。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

牛さん熊さんの本日の債券

税込1,100円/月初月無料投稿頻度:月20回程度(不定期)

「牛さん熊さんの本日の債券」では毎営業日の朝と引け後に、当日の債券市場を中心とした金融市場の動きを牛さんと熊さんの会話形式にてお伝えします。昼には金融に絡んだコラムも配信します。国債を中心とした債券のこと、日銀の動きなど、市場関係者のみならず、個人投資家の方、金融に関心ある一般の方からも、さらっと読めてしっかりわかるとの評判をいただいております。

※すでに購入済みの方はログインしてください。

※ご購入や初月無料の適用には条件がございます。購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。

久保田博幸の最近の記事