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1月に都銀は国債を大量買い越し、海外投資家は2014年6月以来の売り越しに

久保田博幸金融アナリスト
日本証券業協会のデータを基に作成

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 2月20日に発表された1月の公社債投資家別売買高によると短期債を除いた数値で、都銀は2兆3756億円の買い越しと2兆円を超す大幅買い越しとなっていた。これは5年10か月ぶりの水準となるとか。国債の投資家別売買高をみると都銀は中期と長期をそれぞれ9562億円、9641億円買い越し、超長期も3844億円の買い越しとなっていた。1月は米債安などを受けて円債も下落トレンドとなっており、この過程で都銀は押し目買いを入れてきた格好となる。

 これに対して海外投資家は1月は2377億円の「売り越し」となっていた。海外投資家の短期債を除いたものとしての売り越しは2014年6月の715億円の売り越し以来となる。海外投資家は長期を7590億円、超長期を828億円売り越し、中期は5032億円の買い越しとなっていた。ちなみに海外投資家が直近で最も買い越し額が少なかったのは2016年5月の680億円の買い越し。

 「その他」は2兆2640億円と2兆円を超す大幅売り越しとなっていた。12月は1兆8917億円と11月の2兆5746億円の売り越しに続いて、大量売り越しが継続。今回も中期と超長期をそれぞれ1兆円以上売り越している。「その他」は主に政府関係機関であり、ゆうちょ銀行やかんぽ生命も含まれており、金額からみて、ゆうちょ銀行による売り越しとみられる。

 1月は海外が買いの勢いにブレーキが掛かり、「その他」が大量に売り越していたものを都銀がカバーした格好。結果的に債券相場は1月の下落基調から、2月は回復基調となっている。

 公社債投資家別売買状況の下記データは、全体の数字と短期債の数字となっているため、短期債を除く債券のデータについて全体から短期債を引いた。ここには国債入札で購入した分や日銀の国債買入分は入っていない。

公社債投資家別差し引き売買高

()内は国債の投資家別売買高の超長期・長期・中期別

都市銀行 -23756(-3844、-9641、-9562)

地方銀行 -4356(-252、-2757、50)

信託銀行 -4605(-1450、-7058、3743)

農林系金融機関 -5965(-4543、-170、10)

第二地銀協加盟行 -751(-146、-486、200)

信用金庫 -3987(-1043、-1570、27)

その他金融機関 -1214(-416、-234、553)

生保・損保 -3432(-3572、108、312)

投資信託 95(77、-492、612)

官公庁共済組合 -299(-151、4、0)

事業法人 -610(12、-241、0)

その他法人 -548(-64、-57、0)

外国人 2377(828、7590、-5032)

個人 165(1、17、3)

その他 22640(10601、2812、13465)

債券ディーラー -592(-385、-305、102)

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金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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