6月はメガバンクの国債売買高が急減
日本証券業協会は7月22日に6月の公社債投資家別売買高を発表した。6月の債券相場は4月、5月の債券相場とは打って変わり、比較的落ち着いた動きとなり、長期金利は一時0.795%と一時0.8%を割り込む場面はあったが、ほぼ0.8%台での推移が続いていた。
4月と5月に1兆円を超える売り越しとなっていた都市銀行は6月も1兆144億円と1兆円以上の売り越しとなっていた。国債の投資家別売買高でみると中期債を9090億円売り越していた。
売り越しが3か月連続で1兆円を超えていただけではなく、都銀の売買高そのものが6月は急減していた。6月は利付き国債の償還月であったにも関わらずである。国債の投資家別売買高(一覧)からデータの残る2004年4月以降の都銀の国債売買高を集計してみたところ、2013年6月は3兆5165億円と2004年4月以降では最低となっていた。その間の最高の売買高は2012年4月の70兆1079億円であったことで、そのピークに比べると約20分の1に落ち込む計算となる。
都銀というかメガバンクは日本の債券市場でもメインプレーヤーのひとつであり、メガが動くと債券相場が変化するなどの影響力を保持していた。その債券のメインプレーヤーはこれを見る限り、いったん一線から退いた格好となっている。メガが動かないとなれば、6月の債券の変動幅が限られていたのも頷ける。ちなみに全体の国債売買高で見る限り、6月は5月より減少していたが、都銀ほどの落ち込みとはなってはいなかった。それでも債券の流動性に大きく寄与していたとみられる都銀の売買高の減少は、債券の流通市場にも少なからぬ影響を与えているものと思われる。
ほかの投資家の売買状況を確認すると、買い越しの最大手は信託銀行となり、1兆7024億円の買い越し。主に中期債主体の買い越しとなっていた。続いて生保の8122億円の買い越し。こちらは超長期債主体の買い越しに。続いて信用金庫の4724億円の買い越し、農林系金融機関の4226億円の買い越しとなっていた。外国人は1578億円の買い越し。こちらは長期債を9386億円の売り越し、中期債は9593億円の買い越しとなっていた。
今後の債券相場を占う上では、急激に残高を落とすと共に売買も控えてきている都銀の動きがキーとなりそうである。アベノミクスによる異次元緩和、さらにはFRBの量的緩和縮小の動き等を見越しての都銀の動きと思われるが、果たしてこのままじっとしているのであろうか。