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パイレーツ・筒香、野茂氏の元同僚コーチが、ローテクでユニークな練習グッズを活用。

谷口輝世子スポーツライター
(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 メジャーリーグでは、最新の機器でさまざまなデータを取得し、それをフォームの改良や戦術に活用している。しかし、全てのトレーニングにおいて、高度なテクノロジーを用いているわけではない。リトルリーグの子どもから使用できる市販のローテクな練習用具を使っていることもある。

 パイレーツの筒香は、一塁の守備練習を試合前のルーティンとしている。ショートバウンドの捕球の練習をしたり、コーチからのノックを受けたりしていることが多い。

 この練習では、通常のボールだけでなく、やや柔らかいボールやソフトボールを使う。稀にラクロスボールも使うという。ここで使われている柔らかいボールは、スポンジボールよりは硬いが、指で押すと少しへこむ程度の柔らかさでナイロンで包まれたボールだ。(下に写真)

筆者撮影

 筒香にノックをするケリーコーチは「(柔らかいボールは)怪我の心配なしに、打球に対してよりよいリアクションをするための強い打球を打つことができる」と話す。また、野球以外のボールを使った守備練習の効果については「さまざまな感覚を与えてくれるので、そのことで手をやわらかく使える」と説明してくれた。

 また、ドジャースなどで活躍し、野茂氏と同僚だったこともあるレッズのデリーノ・デシールズコーチも、市販のユニークな練習グッズを積極的に取り入れている一人だ。一塁コーチのほか、内野守備も担当するデシールズコーチは、赤いラケットを持ち歩いている。

レッズのデシールズコーチ。筆者撮影

 これは野球のボールをノックするための専用ラケットで、テニスのラケットに比べると、かなり頑丈なストリングを使用しており、フレームも太い。打球をコントロールしやすく、主に近い距離からノックを打つときに使用している。

 また、イレギュラーバウンドを生み出す凸のついたマットも愛用している。

筆者撮影

 筆者はキャンプ中からこのコーチがラケットを使っているのは見ていたが、この凸マットは見かけなかった。

 デシールズコーチは「これ(凸マット)はシーズンに入ってから。練習に使えそうなものはないかなといつも探している。こういった用具によって一人の選手でも助けられたらよいと思ってやっている。使うかどうか選手の意見ももちろん聞いている」と話した。

 最先端機器の使用だけでなく、子どもも使える市販のユニークな用具も積極的に取り入れて、地道にトレーニングを重ねる姿も、メジャーリーグの一面である。

スポーツライター

デイリースポーツ紙で日本のプロ野球を担当。98年から米国に拠点を移しメジャーリーグを担当。2001年からフリーランスのスポーツライターに。現地に住んでいるからこそ見えてくる米国のプロスポーツ、学生スポーツ、子どものスポーツ事情をお伝えします。著書『なぜ、子どものスポーツを見ていると力が入るのかーー米国発スポーツペアレンティングのすすめ 』(生活書院)『帝国化するメジャーリーグ』(明石書店)分担執筆『21世紀スポーツ大事典』(大修館書店)分担執筆『運動部活動の理論と実践』(大修館書店) 連絡先kiyokotaniguchiアットマークhotmail.com

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