世界的な暑さ。2085年までに夏季オリンピック・パラリンピックの開催可能都市が激減か

(写真:ロイター/アフロ)

 夏の甲子園、全国高校野球選手権大会が5日から始まった。主催の朝日新聞によると、初日から様々な暑さ対策が取られたという。

 100回大会を記念する開会式では、選手やプラカードを持つ生徒らが、飲み物の入ったペットボトルを持って入場行進。水分補給する時間が設けられた。観客にも、イニングの合間などに熱中症対策を呼びかけたという。

 大会本部によると5日に球場内の救護室には47人が訪れたという。47人の内訳は選手0人、観客32人、その他15人。また、熱中症や日射病の疑いは32人だったそうだ。

観客とボランティアが危ない

 1996年のオリンピック・パラリンピックは米国アトランタで行われた。オリンピックが開催されたのは7月19日から8月4日までの17日間だ。

 期間中の同年7月、8月のアトランタの気温を調べてみると、大会期間中の7月20日に摂氏36.1度(華氏97度)という日があった。8月に入って、最も気温が高かったのは、5日の摂氏33.3度(華氏91.9度)だった。7月の最高気温の平均は摂氏32.5度(華氏90.6度)、8月の最高気温の平均は摂氏31.7度(華氏89.1度)。

 今年7月の東京の最高気温の月間平均は摂氏で35.5度。1996年のアトランタも暑かっただろうが、今年の東京よりは3度ほど涼しいことになる。

 アトランタオリンピック期間中は、ひとつの大きな救護所と128の医療ステーションが設けられていた。どのような人が、どのような理由で医療サービスを利用したかの記録がある。Medical Care Delivery at the 1996 Olympic Games

 この記録によると、熱中症という理由で医療サービスを受けた人のうち、ボランティアと観客が88.9%を占めたという。選手、審判、オリンピック関係者で熱中症を訴えた人は少なかったと報告されている。アスリートが医療サービスを利用した理由は、ケガが最も多かったそうだ。

 アスリートは何年も前から暑さに備えてトレーニングをしてきている。また、試合会場でも万全の態勢で、選手本人だけでなく、スタッフらが細心の注意を払っている。

 しかし、観客は自分自身で熱中症対策をしなければいけない。さらに人が密集しているエリアでは、人間の体温や風通しの悪さから、周囲よりも幾分か気温が高くなるとされている。

2085年には開催可能都市が激減か

 1996年のアトランタも暑かったし、これまでにも気温の高いなかで競技が行われてきた。2020年東京も、暑さのなかで開催されることになるだろう。しかし、21世紀後半には、スポーツ大会のあり方が大きく変わっているかもしれない。

 気候変動によって気温が上がることで、2085年までにオリンピックを開催できる都市が大幅に減少するだろうという研究結果が発表されている。2016年に「ランセット」に掲載されたもので、気候変動による気温上昇のため、2085年までに北半球の大半の都市が夏のオリンピックの開催地に適さなくなると指摘した。極端な気候が発生する確率が10%程度でも、マラソンなどの屋外競技を実施するのが困難になると予測している。参考リンク Warming world may put most cities off-limits for summer Olympics

 巨額の放送料を支払う米国のテレビ局の意向でオリンピック・パラリンピックの大会期間がずらせないと言われている。しかし、暑さのために、スポーツする人だけでなく、大会を支える人、見る人の健康が脅かされる。暑さから健康を守るための対策や、熱中症の手当にも費用もかかる。

 夏の暑さはこれまでの暑さではない、という現象は、日本だけでなく世界的なものになっている。今年の夏の暑さが異常で、2020年の夏は、これよりも1-2度は涼しいかもしれない。そうだとしても、数十年かけて、地球規模で、じわりじわりと夏の暑さが厳しくなっていけば、世界各地で開催される夏のスポーツ大会のあり方も変化を迫られることになる。

 22世紀には、世界的にスポーツをテレビで視聴する人にも変化が起こり、米国のテレビ局が五輪を中継しなくなっているかもしれない。変化が好まれない高校野球の甲子園大会も、200回大会が開催される頃には、世界のスポーツ大会の変化に押されて、大きく変わっているかもしれない。100年後、日本の高校野球が全国大会を維持できているかどうかは分からないが。