清宮の未来のライバル?米国代表選手たちは、高3進級前に、進学先を決めている。

(写真:岡沢克郎/アフロ)

 今月、カナダのサンダーベイで開催されたU18(18歳以下)の野球のワールドカップで、日本代表チームの主将を務めた早実の清宮が、進路についての記者会見を開くという。

 同大会で優勝した米国チームは、この9月から12年生(高3)に進級したばかりの選手を中心に編成された。しかし、U18米国代表の広報担当によると、12年生(高3)になる前の時点で、全選手の進学先の大学が決定しているそうだ。

 大会3本塁打、日本戦でも本塁打を放った一塁手のトリストン・カサスはマイアミ大学。今年の高校生ナンバーワン投手とも評価されているクマー・ロッカーはヴァンダービルト大学。日本との試合で、ロングリリーフで好投したライアン・ウェザースもヴァンダービルト大学。高校生有望選手ランキング1位の遊撃手、ブライス・チュラングはルイジアナ州立大学。二塁を守っていたカーター・ヤングは2001年1月生まれで、高校を卒業するのは2019年6月だが、彼もヴァンダービルト大学への進学を表明している。

 もう、進学先が決まっているというのは、どういうことなのか。

 米国では強豪大学の運動部は、高校生だけでなく、有望な中学生までも調査している。そして、ぜひとも入部して欲しい選手には「奨学金を出すので、ぜひ我が大学へ」と、オファーする。

 当然のことだが、とても優れた選手には、複数の大学からオファーがある。そこで、選手たちは、どの大学に進学をするのかを早目に表明する。そうすると、他の大学は無駄なリクルート活動をしなくて済むし、選手も他の大学のスカウトに煩わされずに済むというメリットがある。

 これは大学からのバーバル・オファー、つまり口頭によるオファーであって正式な書面をもってのオファーではない。選手側にとっても同様で、バーバル・コミットメントと称され、口頭で「奨学金を受け取り、入学、入部すること」を表明しただけだ。

 次年度、どの大学から奨学金を得るのかについて、大学と高校生が、正式な書面のやりとりをする期間は決まっている。今年度は、2017年11月8-15日までと、2018年4月11日から8月1日までの2つの期間に分かれている。

 最近では、強豪大学のアメリカンフットボール部などが中学生にまで奨学金の提供を口頭でオファーしていることが、時々、ニュースになっている。ずば抜けた才能を持ち、本人の第一志望の大学ならば、他の大学のスカウトに煩わされず、スポーツと学業に集中できるというメリットもあるだろう。しかし、まだまだ気持ちの揺れ動く時期の中学生を、大学が青田買いすることへの批判は米国内にもある。

 話を戻そう。U18米国代表の全選手は、どの大学に進学するかを表明している。しかし、これは、高校卒業後にプロには行かず、大学に進学することを意味しているのではない。

 高校卒業時の来年6月のドラフトで指名された時に、彼らは改めてプロ入りか、大学かを考える時間を持つ。ドラフト順位や契約金の金額が、プロか進学かの決断材料になることが多いようだ。ドラフトの順位が高ければ、球団内でもトッププロスペクトとして扱われ、メジャーリーガーになるためのチャンスをつかみやすい。上位で指名されることで、より高い契約金を得ることもできる。たとえ、メジャーリーガーとして大成できなくても、高額な契約金があれば、その後の人生設計を描くこともできる。

 ドラフト後にプロに行くと決めれば、大学と交わした「奨学金を得て、入学し、野球部に入部する」という約束はオプトアウト、自ら選んで破棄する。

 12年生(高3)になったばかりのU18米国代表の「進学先」は決まっているが、「進学かプロか」は2018年6月のメジャーリーグのドラフト後に明らかになる。