アメフトQBは見た目が9割?今年のスーパーボウルでも証明される?
米プロフットボールNFLの王座を決めるスーパーボウルが2月5日に開催される。今シーズンは、ニューイングランド・ペイトリオッツと、アトランタ・ファルコンズとの対戦。
ペイトリオッツのQB(クォーターバック)はトム・ブレイディ、ファルコンズのQBはマット・ライアン。2人ともかなりのイケメンだ。
米国には「アメリカンフットボールのQBは見た目の良い選手が多い」という話がある。
なぜなのか。うわさは、偶然か、必然か、何かの錯覚なのか。アメリカンフットボールを始める子どもたちのなかで、かっこいい少年がQBを任されやすいので、そのQBが成長してプロになるという説。テレビ中継のときに表情が映し出される回数が多いから、そのように感じるだけ、という説などがある。
This is your Brain on SPORTS (L. Jon Wertheim and Sam Sommers) という書籍が、これについてマジメに調査し、結果を掲載している。
この書籍の著者たちは、2014年開幕時のNFLの選手の顔写真から、ユニフォームなどが見えないように編集・加工し、彼らがNFLの選手と知らない人たちに、「魅力的な顔か」を質問。0-10までで評価してもらった。
QBと比較するために、DB(ディフェンシブバック)、WR(ワイドレシーバー)の顔についても同じように評価をしてもらった。
結果は今まで言われていたこととは逆で、DBの平均点が5.0、WRの平均点が4.7、QBは4.5。QBは3つのポジションのうち、最も平均点が低かった。
しかし、質問を「彼はリーダーシップを発揮できるか」という内容に変え、同じように顔写真を見てもらった。QBはチームのなかでリーダー的役割を担うポジションだと言える。写真から有能なリーダーであるかどうかを評価してもらったところ、全く異なる結果になったのだ。
最も高いポイントだったのはQBで、平均5.5。続いてDBで5.3、WRは5.2だった。
さらに著者たちは、今度はQBだけに絞って、顔写真を見てもらい、「リーダーシップ」「インテリジェンス」「信頼」「落ち着き」「ソーシャル・スキル」の5項目について評価してもらった。
このときの高得点ベスト5は以下のQBだ
1、E.J・マニュエル(バファロー・ビルズ)
2、マット・ライアン(アトランタ・ファルコンズ)
3、アレックス・スミス(カンザスシティー・チーフス)
4、トム・ブレイディ(ニューイングランド・ペイトリオッツ)
5、カーソン・パーマー(アリゾナ・カーディナルス)
今シーズンのスーパーボウルを戦うマット・ライアンと、トム・ブレイディが入っている。
これは偶然ではないらしい。
顔写真を見て、「リーダーシップ」「インテリジェンス」「信頼」「落ち着き」「ソーシャル・スキル」の5項目においての得点と、QBとしての実際の成績には相関があったという。外見から判断した5項目の得点が高いほど、実際の成績も良いということ。もちろん、全QBにあてはまることではなく、例外となっているケースもある。マニュエルは例外のケースだろう。
これはスポーツ界だけでなく、ビジネス界にも当てはまる。外見によって、リーダーとして成功できる人かどうかがある程度までは予測できるらしい。
人は、他人に対してどのような態度で接するべきかを瞬時に判断する必要に迫られるときがある。自分を襲ってくる人物かどうかをとっさに判断しなければ、命にかかわる時代もあったはずだ。人間には「外見」によって、ある程度の推測ができる能力があるのではないかと言われている。
データで選手の能力や貢献度を測定しようという時代だが、予備知識のない人が顔写真を見るだけで、実力あるQBを見分ける力を持っていることは驚きだ。ただし、それは完ぺきではない。同時に「見た目」で振り落とされている少年選手がいないか、にも注意を払う必要があるだろう。
参考文献のThis is your Brain on SPORTS (L. Jon Wertheim and Sam Sommers)は、他にも「名選手、名監督ならず」や「ライバル」、「ファン心理」 など興味深い事柄を取り上げて、さまざまな検証を試みている。