一層レンジローバーらしさを増した、新型イヴォークをギリシャで試乗【動画アリ】

写真は全て筆者撮影

 レンジローバーの最もコンパクトなモデルとして、イヴォークが登場したのは2010年のこと。その当時はSUVでありながらも、3ドアの衝撃的なクーペボディで発表されて大きな話題を呼んだ。イギリスの伝統的なブランドであるレンジローバーから、SUVにも関わらず3ドアであり、なおかつ極めてデザイン・コンシャスなモデルとして発表されたからである。

 イヴォークはそうして新時代に相応しいモデルとして登場しただけに、その位置付けもレンジローバーで最もコンパクトであると同時に、同社のラインナップの中では最もSUV的な存在だった。レンジローバーといえば硬派なクロカン4WDながらも、「砂漠のロールスロイス」と呼ばれるエレガンスを身につけた存在だったわけだが、イヴォークはそうしたイメージとは異なる、若々しくてイマドキな感覚の強いモデルだった。

 それから約9年を経て発表された2代目のイヴォークを、ギリシアのアテネ近郊で今回試乗してきた。そしてまる2日間、新型イヴォークとともに過ごして感じたのは、今回の新型は「より”レンジローバーらしさ”が増した」という結論だった。それはつまり、同社の上級モデルが持つレンジローバーならではの豊かで贅沢な乗り味走り味や、そこから生まれる独自の世界観を、新型イヴォークも手に入れつつある、ということだ。

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 デザイン・コンシャスな部分は新型でもしっかりと継承した。先に登場した新世代デザインをまとうヴェラールと共通のテイストを、新型イヴォークも採用する。結果、造形自体に深みや奥行きを感じるデザインとなった。イヴォークはこの新型で99%が新設計され、先代と共用したのはドアのヒンジのみという。基本骨格ではプレミアム・トランスバース・アーキテクチャ、通称PTAと呼ぶ新世代アーキテクチャを採用。従来に比べてボディ剛性アップや軽量化に寄与しつつ、最近のトレンドである電動化に対応したアーキテクチャなのも特徴だ。

 今回採用したMHEV(マイルドハイブリッド)や今後追加予定のPHEV(プラグインハイブリッド)に対応する骨格で、リチウムイオンバッテリーやその他のユニットを収納するスペースを確保した構造となる。このため床下にバッテリーを抱える構造を持ちながら、キャビンやトランク容量に影響が出ない構造とした。結果先代モデル比で3サイズは同じながら、ホイールベースは21mm拡大、ニールームも20mm広がった。

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 インテリアは先進的な感覚が強まった。他のレンジローバーと同様に、タッチプロデュオと呼ぶ大きな2つの液晶画面を備え、メーター内の液晶と合わせてデジタルなクルマだと感じさせる。しかし先進性を盛り込みつつもオーガニックな感覚があるのがレンジローバーならでは。マテリアルも従来のレザーのほかに、グレードによってKvadrat社のウール混紡やDinamica(R) スエードクロス、ユーカリ・テキスタイル、Ultrafabrics(TM)を用い、センスの良い家具を思わせる雰囲気さえある。

 結果新型イヴォークはこれまでのデザインの良さに加えて質の高さがプラスアルファされ、上級モデルの世界観を彷彿とさせる要素にもなっている。だから新型は相変わらず見た目の時点で魅力的だが、そこにレンジローバーらしさが増して加わったことで一層魅力的になったわけだ。

 とはいえ真骨頂は走りにある。今回試乗したのは、P250と呼ばれる2.0LガソリンターボとD240と呼ばれる2.0Lディーゼルターボの2種類。ともに48Vのマイルドハイブリッドで、11kwのベルト式インテグレーテッドスタータージェネレーターが組み合わせられるタイプだ。

 走りに関しては動画を参照いただければ幸いだが、最初に試乗したP240は最高出力は249ps、最大トルクは365Nmを発生する。そしてベルト式ISGが11kWを発生して発進時などをアシストする仕組みだが、メルセデス・ベンツCクラスのBSGのように明確にモーターの力が加わるという感覚は少ない。これは車両重量が1818kgと決して軽くないことも影響しているだろう。個人的にはもう少しパワフルな感覚が欲しいと思った。

 一方でディーゼルエンジン搭載のD240は最高出力が240ps、最大トルクは実に500Nmを発生する。このため車両重量は1880kgとガソリンモデルより重いにもかかわらず、ゆとりあるドライブが楽しめた。もっとも日本に導入されるのはもう少し出力の低いD180となるが、それでも最大トルクは430Nmを発生するから余裕ある走りをすることは間違いないだろう。

 先代のイヴォークはフラットな乗り味走り味が特徴だったが、それゆえに路面の凹凸に対してストロークが途中で止まるようなツンツンとした感触が出ることがあった。しかし今回は端的にサスペンションの動きに懐の深さが増した感覚があって、サスの動きが途中で止まるような感じがなくしっかりと入力を吸収してくれる感覚になったのも嬉しいところだ。

 また今回、新型イヴォークでオンロードを走って印象的だったのはコーナリングにおいて、他のレンジローバーのモデルと同様のフィーリングを感じさせてくれたこと。レンジローバーのコーナリングは、ハンドルを切っていくと豊かなロールが生まれ、最後に旋回外後輪がしっとりと深いストロークを伴って、決して踏ん張りすぎることなく沈み込んで気持ちよくコーナーを駆け抜けていく。そんなコーナリングが新型イヴォークにも見事に生まれていたわけで、先に記した「以前より遥かにストローク感の増した濃厚なサスの動き」がこれを実現していたわけだ。

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 こうした具合で、新型イヴォークはその走りにおいてもレンジローバーらしさをしっかりと手に入れた。これによって内外装と併せて、より上質なレンジローバーの世界観を手に入れたと感じたのだった。

 イヴォークには真正面から比較できるライバルがほとんど存在しない。ボディサイズ的にはボルボXC40やBMW M2辺りが妥当だが、価格帯で見るともう少し上に位置する。しかしBMW X3やメルセデス・ベンツGLCと比べると全長は短く、価格的にもそれらより下に位置する。クオリティや走りで見るとXC40やX2よりは1ランク上、X3やGLCに近いものがあるというボーダーレスな存在だ。つまりイヴォークは独自のデザインコンシャスな部分や、レンジローバーの世界観という唯一無二の部分に価値を感じて買うモデルだともいえる。

 気になる点としては、先代モデル同様、全幅が広いこと。今回ミラー込みの全幅が2100mmに達しており、日本の駐車場で苦戦しそうだ。

 日本への導入は夏頃が予定されている新型イヴォーク。上陸時にはいち早く試して日本の道路でどう感じるかのレポートもお届けしたい。

レンジローバー・イヴォークのオフィシャルページはこちら→https://www.landrover.co.jp/vehicles/new-range-rover-evoque/index.html