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スバルの意味は、”すべる”にあり。

河口まなぶ自動車ジャーナリスト

2017年4月1日より、それまでの富士重工業株式会社から「株式会社SUBARU」へと社名を変更したスバル。いま、その社名を変更した大きな理由は、以下のオーサーの国沢光宏さんの記事にも記されている。

吉永社長曰く「航空機関係の仕事でアメリカに入って名刺を出すと反応はほとんどありません。けれどスバルを作ってる会社ですというと、途端に“あのスバルか!”となるんです」。今やアメリカに於けるスバルのブランドイメージは、驚くほど高い。いや、世界的に見てもスバルなのだった。

出典:オートックワン

こうした背景があり、グローバルに成長していくブランドとしての決意を込めて「株式会社SUBARU」へと社名が変更されたのだった。

もともとは富士重工業のブランド名だった”スバル”であるが、これはご存知のようにプレアデス星団の日本名である「昴」に由来している。ではなぜ、昴に由来しているかといえば、富士重工業はそもそも旧・中島飛行機系5社を吸収合併する形で生まれたからである。つまり富士重工業+5社=6社である。そう、昴は日本では古くから六連星(むつらぼし)と呼ばれており、ここにルーツを求めたというわけだ。

そしてここがキモになるわけだが、昴という言葉には、6つの会社を統べる(すべる)という意味が込められている。空に輝く六連星を統べて昴と呼ぶように、スバルはスバルというブランド名を最初のクルマであるスバル1500に用い、その後大ヒット車となるスバル360に用いたことで、世の中に広く知られるようになった。

現在でも自動車だけでなく、航空機産業や産業機器などの事業を発展させている富士重工業だが、冒頭で記したようにその名は決してグローバルなものではなかった。引用の通り、特に海外ではスバルの名が広く知られていることを考えると、今回の社名変更はむしろ自動車事業以上に航空機産業や産業機器事業にメリットをもたらすといえる。

また自動車に関しても、世の中的にはスバルはスバルという会社が作っている、という認識の方が強いわけで、その点でも富士重工業株式会社から株式会社SUBARUへの変更は、しっくり来るといえる。

そうして創立から100周年を迎える今年、ついに社名が変更された。

だがこの会社の成り立ちを考えれば、100年が経って当初の意味になったわけだ。

昨日まではスバルというブランドを、富士重工業という会社が持っていた。しかしそもそも富士重工業が、6つの会社をすべることで出来上がった存在だったわけで、この会社の意味(=すべる=昴=スバル)は、これまで自らが用いてきたブランド名そのものだった。

そうして今日からは改めて、会社名とブランド名を”統べる”ことで、株式会社SUBARUとなったのである。

自動車ジャーナリスト

1970年5月9日茨城県生まれAB型。日大芸術学部文芸学科卒業後、自動車雑誌アルバイトを経てフリーの自動車ジャーナリストに。日本自動車ジャーナリスト協会会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。YouTubeで独自の動画チャンネル「LOVECARS!TV!」(登録者数50万人)を持つ。

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