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アルファロメオのスーパースポーツ、4Cを駆る。【動画あり】

河口まなぶ自動車ジャーナリスト

スーパースポーツ、といえばその多くはカーボンやアルミのボディを用い、シート後方に最高出力が500psを優に超えたエンジンを搭載する、というような、完全に趣味のためのクルマである。価格も1000万円を遥かに超えるものがほとんどで、一般的には現実味のない存在である。

しかしアルファロメオが送り出す4Cは、まさにスーパースポーツといえる内容ながらも現実に踏み止まれる、夢や憧れを現実にしてくれそうな1台である。

アルファロメオ4Cは、他のスーパースポーツ同様にカーボンモノコック製のボディが与えられている。その成り立ちはまさに、スーパースポーツの条件を満たすものだ。

そしてエンジンが搭載される位置もシート後方。いわゆるミッドシップと呼ばれる方式を採用している。

ただし、エンジンそのものは他のスーパースポーツからすれば可愛らしい。1750ccの排気量を持つ直列4気筒ターボ・エンジンであり、最高出力は240ps、最大トルクは350Nm(35.7kgm)を発生する。トランスミッションは2ペダルのデュアルクラッチタイプだ。

いまや500ps超えが珍しくないスーパースポーツからすると、エンジンの数字は小さい。しかしアルファロメオ4Cは非常にコンパクトなボディをカーボンモノコックで作っているため、車両重量は1100kgを切るほど軽量だ。それだけに、240psの直4ターボ・エンジンでも、十分以上に刺激的な走りが実現できる。0−100km/h加速は、この排気量からすると他に類をみない4.5秒を実現し、最高速も258km/hに達するという。

そのコンパクトなボディとエンジンからすると、相当に高い動力性能を実現できているのは何よりボディが軽いからに他ならない。

実際に乗った印象は動画に譲るとして、ドアを開けた瞬間からまさにスーパースポーツの世界が広がる。

車高はわずか1185mmなので極めて低く、地面にへばりつくようにさえ見える。そこに乗り込む様はまさに、本格スポーツのそれだ。

さらにエンジンをかけると、車内にはかなりのボリュームでサウンドが響き渡ると同時に、振動も強めに伝わってくる。レーシングカーのような雰囲気すら感じるほどだ。

そうして走らせると、低速ではハンドルが異様に重いことに気づく。このモデルは、いまどきパワーステアリングを備えていない。ただ、それがゆえに速度が乗ってハンドル操作をすると、最近では感じたことのないリアルな感触をドライバーは覚えるだろう。

走行モード切り替えを「ダイナミック」にすると、エンジンサウンドは一際高まり、高回転まで回るようになる。またトランスミッションの制御も変わってよりダイレクトな感覚となっていく。

動画内でも言っているように、正直毎日乗るのはキツい。ただ趣味として週末の楽しみ、という風に割り切った時には、この上ない快感のドライビングを提供してくれる1台になると報告できる。

価格はノーマル・モデルが806万7600円、様々なパッケージが組み込まれたローンチエディションが891万円となる。

当然安くはない。が、スーパースポーツのテイストを存分に味あわせてくれると考えると、夢と憧れがギリギリ実現できそうな価格、ともいえるだろう。

アルファロメオ4CのWebサイトはこちら→http://www.alfaromeo-jp.com/4c/

自動車ジャーナリスト

1970年5月9日茨城県生まれAB型。日大芸術学部文芸学科卒業後、自動車雑誌アルバイトを経てフリーの自動車ジャーナリストに。日本自動車ジャーナリスト協会会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。YouTubeで独自の動画チャンネル「LOVECARS!TV!」(登録者数50万人)を持つ。

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