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ソニー/ATVとFacebookがライセンス契約に合意。ヒット曲は動画やInstagramへ

ジェイ・コウガミデジタル音楽ジャーナリスト
Facebook office(写真:ロイター/アフロ)

Facebookは世界最大の音楽出版社ソニー/ATVと複数年・マルチテリトリーに及ぶライセンス契約で合意したことを発表しました。これでFacebookは2017年末に締結したユニバーサルミュージック・グループとの契約に続き、FacebookとInstagram、Oculusで楽曲提供を合法で行い、ロイヤリティ収益を分配するクリエイターにとっても有益な音楽ビジネス確立への動きを強化させています。

ソニー/ATVは、エド・シーランやテイラー・スウィフト、ドレイク、BTS、ザ・チェインスモーカーズ、カニエ・ウェスト、ファレル・ウィリアムスから、マイケル・ジャクソン、ザ・ビートルズ、ボブ・ディランまで、300万曲以上の楽曲を管理する世界最大の音楽出版社です。

ユーザーはFacebookやInstagram、Oculusでソニー/ATVが著作権管理する楽曲を用いた動画投稿やコンテンツの共有が可能になり、ヒット曲や話題の曲を用いた投稿は、Facebookが注力する動画戦略の利用をさらに拡大すると見込まれます。

Facebookは投稿される動画やInstagramの投稿で使用された楽曲からのロイヤリティ収益は、作曲家やアーティス、レコード会社へ分配することを明らかにしています。

こうした動きは、近年Facebookが非難されてきた動画の著作権侵害問題を解決することとなります。Facebookではユーザーが勝手に投稿する動画が著作権に反した場合でも投稿を取り下げる「テイクダウン」の管理が弱いことを音楽業界やコンテンツ業界から指摘を受けてきたことから、ライセンス契約が決まらなかった理由の背景にあります。FacebookはYouTubeの「Content ID」と同様の権利者用コンテンツ管理システムを長年開発中とささやかれてきました。

Facebookはワーナーミュージックともライセンス契約で合意するだろうとVarietyはレポートしています。

ソース

Facebook and Sony/ATV Music Publishing Sign Licensing Agreement (Variety)

Sony/ATV and Facebook sign ground-breaking agreement

(この記事は、デジタル音楽ビジネスメディア「All Digital Music」で2018年1月9日に掲載された記事に加筆しています)

デジタル音楽ジャーナリスト

専門は「世界の音楽ビジネス、音楽業界xテクノロジー」の執筆・取材・リサーチ。音楽ビジネスメディア「All Digital Music」、音楽業界専門のマーケティング支援会社「Music Ally Japan」や、音楽ストリーミング・データ分析プラットフォーム「Chartmetric」日本事業展開も担当。グローバル音楽業界、レコード会社、ストリーミングサービスのビジネスモデル、トレンド分析、企業分析に関する記事執筆多数。

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