ポール・マッカートニー、音楽出版社ソニーATVと和解。ビートルズの著作権返還を要求

ポール・マッカートニー(写真:アフロ)

ポール・マッカートニーが、ソニーの子会社で世界最大の音楽出版社ソニーATVを相手取り、ビートルズの著作権所有の返還を要求する、歴史的な訴訟を起こしてから6カ月。ビートルズ267曲分の著作権が2018年10月からマッカートニー側へ与えられるよう、ソニーATVに要求するこの裁判は、6月29日にマンハッタン連邦地方裁判所に提出された協定で、両者が機密保持契約を結んだ上で、訴訟を取り消すことで決着となりました。

訴訟の取り下げは、両者を代表してポール・マッカートニーの弁護士によって行われました。

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この和解によってポール・マッカートニーが主張する著作権を、どちらのパーティーが2018年10月以降所有するのかは明らかにされていません。

この訴訟の直前となる2016年12月には、イギリスのロックバンド、デュラン・デュラン(Duran Duran)が同様の訴訟を音楽出版社に対して行い、訴えが却下されるという事件が起きています。

デュラン・デュランは、シングル「ハングリー・ライク・ザ・ウルフ」「リオ」「007 美しき獲物たち」 (A View To A Kill) などのヒット曲の著作権を返還するよう音楽出版社のGloucester Place Musicを訴えた裁判で、イギリス高等法院がバンドの主張を退けた判決を下したことは、ビジネス界隈で驚きをもって受け止められました。

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デュラン・デュランはアメリカの著作権法に則って、作品のリリースから35年後に著作権を所有できる権利があることを議論し、バンド初期のアルバム『デュラン・デュラン』『リオ』『セヴン&ザ・ラグド・タイガー』の権利を音楽出版社が破棄するように主張。しかし、Gloucester Place Musicはイギリスの著作権法で楽曲の権利を主張。結果的に裁判官は音楽出版社の主張を認めました。

Gloucester Place Musicという音楽出版社は、親会社がEMIミュージックパブリッシングで、2012年まで存在していたメジャーレーベルEMIが運営していた音楽出版社が保有しています。そして、EMIミュージックパブリッシングの親会社はと言えば、ポール・マッカートニーが訴えたソニーATVなのです。

イギリス人の著作権法がイギリス人アーティストや作曲家に対して不利な判決を下す要因となったことから、同じことがポール・マッカートニーにも下されるのではと、関心が高まっていました。

デュラン・デュランのキーボーディスト、ニック・ローズ(Nick Rhodes)は「私たちはイギリスの契約法が他地域におけるアーティストの権利を妨げたことに衝撃を受けている。もしこのまま何もしなければ、この判決は私たちと同じ時代に活動したソングライターたちにとって非常に悪質な前例となるだろう」と声明文を出し、判決に異議を唱えました。

ポール・マッカートニーが主張する著作権は、レノン=マッカートニー名義で1960年代から1970年代に作詞・作曲した曲が含まれ、その中には「イエスタデイ 」 「ヘイ・ジュード」「レット・イット・ビー」などが含まれます。

アメリカ合衆国著作権法 (Copyright Act of 1976) では、1978年以前の作品は最初の著作権が適応されてから56年目に創作者へ権利を返還する法的処置を定めており、ポール・マッカートニーとジョン・レノンが最初に作曲を初めた1962年からちょうど56年が経つのが2018年になるのです。

ソニーATVはビートルズの他に、ローリング・ストーンズやボブ・ディラン、スティング、クイーン、テイラー・スウィフト、エド・シーラン、カニエ・ウェストらの楽曲の著作権を管理する、音楽業界の最大手。

ポール・マッカートニーやデュラン・デュランのようなアーティストと利益問題で衝突する一方で、彼らもビジネスモデルの変化が求められる時期に入っており、他の企業と同様に、音楽ストリーミングサービスの影響をダイレクトに受けている事情は、業界横並びで同じです。

ソニーATVを束ねるCEOのマーティン・バンディエ(martin Bandier)は6月に行われたアメリカ音楽出版業界団体である音楽出版協会(NMPA)のイベントで、音楽ストリーミングサービスの価値を賞賛しながらも、これらのサービスはもっと作曲家たちを取り上げるようにするべきと改善を呼びかけるなど、音楽業界のリーダーの一人として、時代の変化を長い視野で見ながら変化を推進しています。

ソース

Paul McCartney Reaches Settlement With Sony/ATV in Beatles Rights Dispute (Hollywood Reporter)

Duran Duran ‘shocked’ after losing legal copyright battle (BBC)

Duran Duran lose High Court battle over US song rights in copyright test case (The Telegraph)

この記事は、デジタル音楽メディア「All Digital Music」で2017年7月3日に掲載された記事の転載です。