で、結局、なんでハロウィンなの? とどまるところを知らないブーム、意外な立役者とは?

(写真:ロイター/アフロ)

盛り上がりのピークは金曜日の「ハロウィンイブ」か

今、街はハロウィン一色。見渡す限り、オレンジ色と紫色のハロウィンカラーに、カボチャとお化けのグラフィック。しかも今年は、31日当日が土曜日で、30日の「ハロウィンイブ」が金曜日という、お祭り騒ぎをするにはこれ以上ない当たり年です。金曜の夜や土曜の夜は、浮かれた大人たちが街を徘徊し、土曜は子ども達が仮装に身を包み、週末のSNSはハロウィン一色になることでしょう。

「週末ハロウィン」、ついにバレンタイン超え

つまり今年2015年は、ハロウィンが日本に完全定着してから初めて迎える「週末ハロウィン」の年。その市場規模も約1220億円に膨れ、バレンタインデー市場を上回ったことが報じられました。

ハロウィンソングも定着

JPOP界もすかさずこの流行を後押し。AKB48が9月18日に「ハロウィン・ナイト」を発売したときには、「いくらなんでも早すぎるだろう……」と呆れもしたのですが、その後、きゃりーぱみゅぱみゅも「Crazy Party Night~ぱんぷきんの逆襲~」を発売。どちらも、初の本格的なハロウィンソングということで、ブームを加速させています(クリスマスソングならぬハロウィンソングなんてものが誕生するなんて、かつては夢にも思いませんでした。深夜テレビ「久保みねヒャダ こじらせナイト」では昨年、いち早く「おれとおまえのHELLO WIN-WIN」を作成していましたが、慧眼というべきでしょう)。

結局のところ、誰が? 何のために?

とはいえ、「なんでハロウィン?」「どうしてこんなに定着したの?」「誰がやってるの?」という疑問がすっきりと解決しているかといえば、そうでもありません。多くの人がいまだにちょっとした違和感を感じながら、駅や街の飾り付けを眺めているはず。バレンタインデーやクリスマスのように、恋のイベントという大義名分があるわけではないハロウィン。いったいどのような人が、どのような目的で、ハロウィンを楽しんでいるのでしょうか?

【騒げればなんでもいい、リア充パーティ派】

まず挙げられるのが、とにかくパーティーがしたいリア充ピーポー。彼らは、バーや、パーティースペースを貸し切って、コスプレのパーティーを楽しみます。そして、たくさんの楽しそうな写真を撮り、パーティー後にはSNSにアップロードすることを欠かしません。こうした人々は、クリスマスにもパーティー、誕生日にもパーティーを楽しむ人々。「ハロウィンである」ということが重要なのではなく、「騒げる口実が一つ増えた」ぐらいの感覚でしょう。

【帰国子女に多い、懐かしい思い出派】

次に考えられるのは、アメリカやヨーロッパの雰囲気を楽しみたい帰国子女や留学生。外国に住んだことがある彼らにとって、ハロウィンというのは参加することが当たり前のごく身近なイベント。日本流にアレンジされたハロウィンを楽しむのではなく、なるべく現地のハロウィンの参加の仕方に近い形で参加することで、懐かしの故郷や第二の故郷に思いを馳せています。

【せっかくだからの、コスプレ派】

三つ目は、コスプレに言い訳がほしい人々。彼らはハロウィンだからと、お化けやかぼちゃのようなハロウィン的な仮装をするにとどまらず、時には全く関係のないコスプレをしています。

違う自分になりたい、何かになりきりたいというコスプレ願望を持つ人は少なくありませんが、本職のコスプレイヤーならいざ知らず、なかなかハードルが高いもの。日常ではなかなかチャレンジすることができません。コスプレをしたいけど、なかなかできないという思いを抱える人々にとって、ハロウィンというのは、絶好のコスプレの言い訳。おとぎ話の格好、メイド服、ナース服、ひいては単に露出の多い服などなどに身を包み、つかの間の夢を見ます。これは、せっかく海に来たんだから水着を着よう、と同じような意識と言えるでしょう。

【花見や忘年会と変わらない、単なる親睦会派】

四つ目は、仲間との親睦を深めたい人々。彼らは、学校内や、会社内、または仲間内で飲み会を企画します。仮装は控えめで、参加のハードルを低く設定し、あくまで仲間内の親睦を深める機会として利用します。というのも、春には歓迎会や花見、夏にはBBQや海水浴、冬には忘年会、新年会、送迎会と、親睦を深めるイベントが目白押しであるのに加え、秋にはあまりそうしたイベントがありません。学生ならば文化祭がありますが、社会人になると、秋には親睦を深める機会がなかなかないのです。そこで白羽の矢がたったのがハロウィン。クリスマスなどとちがい、恋人のイベントという定義がないぶん、みんなで分け隔てなく楽しめる雰囲気があるので、人が集まりやすく、大人数で楽しみやすいというわけです。

【お父さん・お母さんがうれしい、地域密着の子ども会派】

最後に、日本のハロウィン文化の定着にダメを押したのが、子どもの存在でしょう。地域の学童保育や、保育園・幼稚園のイベントして、子どもが主役でそれぞれが思い思いの格好に扮装できる機会はぴったり。もちろん本来ハロウィンは、仮装した子どもたちが、街の家々を「Trick or Treat」と練り歩く風習。前述の「親睦会ニーズ」とも関連しますが、家庭や地域社会の「なにかしら秋のイベントの口実が欲しい」という思いにとって、この「子どもが喜ぶ」「子どもが主役」という要素は、現代の少子化・子ども中心社会に、うまくはまったと言えます。実際、街中の公民館などでは「ハロウィンパーティ」の手作りポスターなどを見かけることができます。

Facebookでのリア充アピール、コスプレ文化の隆盛、渋谷のセンター街に代表される「ゆるいコミュニティ」作りのテクニックが、昨年までのハロウィンブームの3要素でしたが、今年はついに、日本のハロウィン文化が爛熟期を迎え、さまざまな人によるさまざまな楽しみ方ができてきた様子です。

子ども、仲間、ライブ……。恋愛イベントを上回るのは必然

その昔、トレンドをリードした「恋愛文化」はここ数年で一気に衰退。代わっていま消費を担うキーワードが「子ども」「仲間=SNS」「ライブ=生のイベント」「クールジャパン=カワイイ」……。

これらの要素を一身に背負うことが可能な「奇跡の受け皿」、それがハロウィンだったのです。ですからそろそろ「ペット」に仮装させる流れが加速するのでは、ともにらんでいます。

ハロウィンはラーメン?

となれば、ハロウィンが来年以降もブームを拡大していくのは、間違いのないところ。ラーメンしかりクリスマスしかり、海外からの風習や文化をやすやすと受け入れ、自分たちなりに勝手にアレンジしてまうニッポンの国民性、ついにハロウィンにて極まれりといったところでしょうか。