なぜV6は紅白に出場できたのか。~NHKとの蜜月。苦節20年目の初栄誉におじさんたちも共感~

なぜ今さら?

第65回紅白歌合戦がいよいよ明日に迫りました。

個人的には「紅白ってどうでもいい」派なのですが、今年はある出場歌手に注目しています。デビュー20年目にして紅白初出場を飾ったV6です。

デビューは1995年

V6のデビューは1995年。当時話題となっていたバレーボールの「Vリーグ」にちなんだユニットとしてデビュー。当時、そのネーミングセンスに仰天したものです。

その後、順調に人気者となった彼ら。全員で出演していた「学校へ行こう!」(TBS)が中高生の間で爆発的に流行し、メンバーの一人である三宅健が出演した「伊藤家の食卓」(日本テレビ)も高視聴率を獲得するなど、ジャニーズの中でも群を抜く存在感を誇りました。

まさに「SMAP、TOKIOの次はV6だな」と誰もが認める空気ができていたのです。

嵐の台頭

ところがその間、数々のヒットソングがあったにもかかわらず紅白歌合戦への出場はなく、2007年に「伊藤家の食卓」、2008年に「学校へ行こう!」が、相次いで終了。それに伴って存在感も徐々に薄れていきました。

それを追い抜くような形で、後輩にあたる嵐(1999年デビュー)が大ブレイク。V6の印象は徐々にかすんでいきました。

たまにテレビでメンバーそれぞれを見ることはあっても、基本的には「V6って、何やってるんだろう?」というイメージになってしまっていたわけです。

再ブレイクの2枚エース。井ノ原快彦と「あさイチ」

ところが2014年、彼らに強い追い風が吹きます。再ブレイクを担ったのは、いまや2枚エースとなった井ノ原快彦と岡田准一。

井ノ原快彦は、NHKの朝のニュース番組「あさイチ」で名MCぶりを披露。朝のNHKにピッタリな清潔感と物腰柔らかな姿勢や言動が大好評となりました。

さらには、セクハラ問題に関する理知的なコメントも話題に。10月15日放送の「知られざる“セクハラ”」がテーマの回で、彼は以下のようにコメント。

「有働アナが返しが上手くて何か言うと面白くしてくれるからって、縁結びとかそういうネタの時に全部有働さんに振るのも、俺はどうかと思うよ。この番組でも結構思うこと多いよ」

普段なんとなく「いじられて」いる有働アナウンサーを気遣うこの発言は、ネット上で話題に。彼の繊細さと侠気、さらには番組上できちんと指摘する姿勢が、特に女性から高く評価されました。

再ブレイクの2枚エース。岡田准一と「軍師官兵衛」

2枚エースのもう片方、岡田准一も大活躍。V6の中でも、数々のドラマ・映画で主演俳優としてキャリアを積んでいた彼は、ついに今年大河ドラマの主演に抜擢。演技だけでなく殺陣や所作などの振る舞いを徹底的に極めるストイックさも話題になりました。

12月21日には最終回が放送され、全回を通じての平均視聴率は3年ぶりに平均視聴率15%を超えるなど、数字・質とも、大成功となったわけです。

紅白はNHKの納会。今回の出場は特別功労賞?

NHK紅白歌合戦は、年に一度の歌の祭典であるだけでなく、当然ですが、NHKというテレビ局にとっての一大セレモニーでもあります。言ってみれば、企業の納会。

NHKの大河ドラマと朝のニュース番組という大看板をそれぞれ背負って活躍し、世間からの高い評価を獲得した2人には、総合司会を任せるのでは?という噂もあったほど。

そのほかにも、長野博は「晴れ、ときどきファーム!」(NHK BSプレミアム)に出演し、三宅健も「みんなの手話」(NHK Eテレ)のナビゲーターに起用など、NHKへの貢献度は文句なし。

そこでついに、NHKが「紅白出場」の切符でV6に報いたというのが真相。言わば、今回のV6の出場は「特別功労賞」であって、昨年「あまちゃんオールスターズ」として、小泉今日子・薬師丸ひろ子が出演したのと同じような位置づけかもしれません。

ジャニーズ枠が過去最多の6枠に

紅白歌合戦とジャニーズの関係については、「ジャニーズ枠が用意されている」とか「枠の関係で、歌は売れてるのに●●が出られない」などとまことしやかにささやかれてきました。

今年は実に、司会の嵐を含めて、SMAP、TOKIO、V6、関ジャニ∞、そしてSexy Zoneの6組が出場することに。6枠は過去最多のものとなっています。

メンバーも「冥土の土産」と

記者会見などで「もうないと思ってた」「冥土の土産」など、興奮を隠せないでいたV6のメンバーたち。「初出場にして最後」となってしまうのか、堂々と枠をキープし続けるのかは来年の活躍にかかっています(ちなみに、ここ数年もシングルを発表し続け、きちんとセールを記録しているのは立派)。

「新・中年の星」に

上はつっかえている、下からの突き上げはすごい。景気のいい年もあったけれど、いまでは後輩に追い抜かれる日々。そんな中ついに晴れの舞台に立てることに……。

こうしてみると、いまのV6の姿はいろいろなストーリーを想起させます。

・入社20年目。地道な努力が実を結び、ようやく社長賞をもらうことができた営業マン

・実力はあるのになかなか賞をとれなかったお笑い芸人が、ついに「無冠の帝王」を返上

・最近はベンチを温めることの多かった野球選手が、再ブレイクしてオールスターに初出場

そのどれも、多くの中年男性の共感を誘うものでしょう。本番では、1997年のヒットソング「WAになっておどろう」を歌うV6。あれから17年。この歌をライブで聴いていた中高生も、アラサー・アラフォーになっています(メンバー最年長の坂本昌行の年齢は、実に43歳)。

ここへきて、がぜん「中年の星」として急浮上してきたV6。例年は紅白を見ない僕(41歳)ですら「ちょっと見てみようかな」という気持ちになっているのですから、NHK、お上手です。

●関連記事

話題の「おっさん女子」、その正体と戦略性を探る。~90年代の「オヤジギャル」とは何が違うのか?~

西島秀俊ショックとは、結局、何だったのか? ~独身女性「裏切られた思い」の正体~

大江アナ結婚に私たちが感じるモヤモヤ