乾の招集外をどう読み解く?”0014 catorce”論客によるサッカー日本代表メンバー考察

15日に欧州遠征メンバーを発表した日本代表のヴァイッド・ハリルホジッチ監督(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

■乾招集外の驚き

中西哲生  それでは日本代表のメンバーを見ていきましょう。今回選ばれたメンバーをこちら(戦術ボード)に挙げていますが、まず怪我人が酒井宏樹、遠藤(航)が途中から合流しますがやれるかどうかわからない状況です。今回のメンバーを見て多少なりとも驚きというものはありましたよね?

戸田和幸  ありましたね。外れた方でまず、驚きが自分にはありました。

中西  まずは乾(貴士)だと思います。ラ・リーガではコンスタントに出場している状況の中で、今回外れたということはどうですかね。何か意図はありますか?

戸田  直前にレアル・マドリーとも試合をしてかなり良い活躍をしていましたから、びっくりしました。

中西  素直にびっくりしましたね。でも、もしかしたら今回調子の良い宇佐美(貴史)、新しく呼んだ中島翔哉を試したいがために、同じポジショニングの乾はもう力量がわかっているから外したという見方もなくはない?

小澤一郎  一般的にはそう見られているんじゃないですか?でも、時間がない中で、大事な招集機会で、確定メンバーを外すのかなという疑問は逆にあります。

今回の論客、左から中西哲生、戸田和幸、小澤一郎 (写真提供:0014 catorce)
今回の論客、左から中西哲生、戸田和幸、小澤一郎 (写真提供:0014 catorce)

戸田  そういう時期でもないですし。今までの代表の活動の中で乾が「このポジションでと」いう立場になっていたかというと、そこまででもない可能性もまだあります。リーガでの活躍とはまた別にして。そう考えると、それぞれの所属クラブで活躍をしている、「=点を取っている」とか。「(今回選んだ選手は)ゴールを決めている」というコメントも出ていたようなので。

中西  そうすると結果は出ているけれども、ゴール、アシストといったところで評価されていない可能性もあると?

戸田  ポジション的には中島、宇佐美が被ります。

中西  宇佐美は4試合連続ゴールですし。中島も得点もアシストもかなりしていると。

戸田  原口もそこに来ると思うので。

■ベティスとの仮契約によって干される可能性も!?

中西  ただその乾で気になるのはこの後です。もしかするとチームで出場機会が減る可能性がある?

小澤  今季でエイバルとの契約が満了になってエイバルは冬前から契約延長オファーを出していましたが、このタイミングで最終的にベティスと仮契約をしたのではないかという報道が出ています。特にセビージャ側のメディアを見てもそれは事実のようなのと、実際にその報道があった直後の先週末のレバンテ戦では先発を外れています。それによって干されるんじゃないかというのも現地メディアでは出ています。今の状況、風向きは厳しいんじゃないか、というのは思っていますね。

戸田  メンディリバル監督もコメント出していませんでした?「チームのために働けない選手は……」といったことが。

小澤  日本での記事は見ましたが、現地での記事は確認していません。

中西  要するに(今回は)選ばれていませんけれど、代表から戻ったこの後出場機会を奪われる可能性がベティス移籍の可能性がある限りはあると?

小澤  そうですね。もしクラブの強化部から監督にそういう指示が入っていて、今後先発落ちになってくるとコンディション面、特にハリルホジッチ監督もそういうところ、先発してプレーしているかどうかを見ていると思うのでもしかすると今後厳しいかもしれないですね。

中西  あとは前回外れていた本田(圭佑)、岡崎(慎司)、香川(真司)、本田は戻りましたけれども香川は怪我をしていると。岡崎は怪我上がりということで招集がなかった可能性があります。本田に関してはここで良いパフォーマンスをしないと厳しい状況ですか?

戸田  ちゃんと把握はできていないですけど、メキシコリーグの方は。ただ、試合にコンスタントに出ているようなので、その中で十分戦力になるということで戻したのではないかと思います。

■冬にスペイン2部移籍も苦しい状況に置かれる井手口の現在

中西  こういう動きの中でこの2人(浅野拓磨、井手口陽介)がかなり出ていたのに、「(クラブでの)試合に出ていないから」ということで外れました。ここはこの後どうですかね?

戸田  所属クラブで試合に出場しているというのは一つ選考の基準になっているはずなので。「はずなので」となぜ言ったかというと、柴崎(岳)の場合は、最近(先発で)出られていないので。

小澤  今4試合連続途中交代で、ほぼ80分とか結構ギリギリに出てきています。

戸田  「はずなので」と言ったのはそういう選手もいるということだと思うんですけれど。ただ、全く出られていないに近い、井手口も最初の頃は出ていましたが、やっぱり試合を見てきた中でフィットはできなかったなと。残留争いをしているチームにおいて、監督さんも結構戦術的なところを求めている人らしいので、言葉ができない、(ポジションが)真ん中なので。感覚的に出て行って奪うといったことは得意な選手ですけど、逆に言うとしっかりとポジショニングを取って、守備と連動、連携して、プレーしなければいけないとなると、だいぶノッキングしている感じがありましたから。ローンプレーヤー(=レンタル移籍中の選手)に、馴染ませるための時間を与えるほどの余裕はないはずなので。

小澤  チーム事情として今完全に降格圏内(19位/22チーム)に入っていて、なかなかそこから抜け出られていない中で、井手口を使うというのは厳しいし、最近はベンチにも入らない試合が多いですから。

戸田  確実に(リーズ・ユナイテッドに)戻っていく選手なので。という意味では、確かに試合の出場機会が減るのは相当難しいと思いますけど、今現在何試合出られていないとしてこのタイミングで別に呼んでもいいと思いますけど。いろんな意味でチェックもできると思いますし。

小澤  逆に信頼している選手であればそういうタイミングでも呼ぶというのは他の代表だとあります。スペイン代表でも昨年イスコ(レアル・マドリー)が出れていない時にロペテギ監督が呼んでいました。軸として考えているのであれば呼んでいたのでしょうね。

戸田  だから違うのかな、というところは感じましたよね。

中西  試合に今回呼ばれた選手で中島は今回初めてでしたが、彼に対しての戸田さんの評価はいかがですか?

戸田  Jでプレーしている時も自分に自信を持って局面を動かすんだというところでプレーを仕掛けていました。逆に言うとそういうメンタリティがないと、確かに欧州で自分の立場を確立するのは難しいと思っていました。そういう意味ではすごくいい形でキャリアは積めてきていると思うので。当然呼んでみたい選手なのは間違いないと思いますから、どこまで試合に出せるのかというのは期待したいですね。

■Jから推したい青木(名古屋)、久保(FC東京)、江坂(柏)

中西  あとは比較的われわれの予想できた範疇で呼ばれていますけれど、それ以外でこの選手ラストだけれど、もしかしたら将来的なことを含めてJからでも呼んだ方が良かったな、という選手は希望を含めて誰かいますか?

戸田  個人的には昨シーズンから見てきた中だと名古屋の青木(亮太)。

中西  今シーズンもグランパスが結果を出している中で、昨シーズンも彼は素晴らしかったですね。

戸田  素晴らしかったです。

中西  昨シーズンはJ2でしたけれど。J1に来てもやれている。

戸田  違いは出せていますよ。

中西  彼の良さはどういうところですか?

戸田  どこまでロジカルにということは僕も接したことがないのでわからないですが、局面においての空間の認知、どこで何をみたいなところは正確にジャッジできていると思います。両足が使えて動きながらボールが扱えて、判断を下すのは普通の選手よりもギリギリまで待てます。

中西  そうですよね、ギリギリに判断を変えられる持ち方もしているし、身体からボールが離れないドリブルもできる。そこは大きいですよね。

戸田  すごくフィジカルが逞しい、スピードがあるわけではないですけど。

中西  将来的にもチャンスがある可能性はありますね。小澤さんは誰かいますか?

小澤  Jだと二人います。今後を考えたらFC東京の久保健英を入れてほしい。FC東京を見ている人に怒られるかもしれないですけど、一番上手いですよね。FC東京の現チームの中で、選んでいる選択肢、見えている状況を踏まえて周りの選手が付いていけない局面も結構あるのでそういう選手を18歳にもなっていない段階で選ぶのはリスクがありますし、メディアがたかるのでそこのリスクは考えないといけないですけど。将来、ロシア大会以後を考えた時には選んで経験を積ませたい、ほしいなというのが一人。あとは直近のG大阪戦で点をとったというのもありますけれど、柏の江坂(任)。今から入るとなるとスタメンは厳しいので、交代で入った時に前線で、一人で踏ん張りながらもシュートに持っていって、フィニッシュを決めきるというと彼の能力はJリーグの中でも抜けているのではないかと思います。選んで使ってみてほしいというのはあります。

中西  G大阪戦もそうですけど、江坂もシューティングフォームに入ってから最後にキックフェイントで切り替えてからのゴールからの2つでした。あそこも判断を最後に変えていますよね。

小澤  変えていますもんね。あの切り返しも完全に相手のスライディングを見ながら左に持ち替えて入れていましたし。

戸田  ヘディングも結構高いというか上手ですね。

中西  ゴールを決めるようなクオリティは持っています。そういうことを考えて今の三人もそうですけど、最初のゲームスタートのところもそうですし、戸田さん、ゲームを決める要素として途中交代の選手でもありますよね?そこの準備というところも三ヶ月を切っている中で進めておかなければいけないですよね?

戸田  もちろんですね。

中西  誰をジョーカーに持っておく、もしくは勝っている時にシフトダウンさせる選手、上げる選手。

戸田  (乾を指して)ジョーカーでもね。

小澤  ジョーカーにします?というくらいの今季のパフォーマンスです。

■日本での流通イメージとは真逆の乾の現地評

中西  乾はディフェンスに関しても力を持っている選手じゃないですか?

戸田  すごく伸びましたし、エイバルの試合を見てもらえれば彼が一回でいくつのパスコースを消しているのかというのはよくわかると思うので。そういうハードワークをしながら、しっかりと攻撃の局面では仕掛けて違いは出しています。基本的に張ってプレーする局面が多いので、内側に入った時に何ができるのかというのはあったとしても、今現在見せているパフォーマンスレベルは相当高いはず。

中西  実際乾の現地の評価は、「守備もしっかりとできる」というものですか?

小澤  そうですし、1月にエイバルの強化部長に乾の評価を聞いた時には守備も当然できるし、フィジカル的にも肉体的な強さ、高さはないけれどもトランジションの中での強度が一番出せる選手で、「フィジカル(レベル)が高い選手」だと定義していましたから。日本で流通しているイメージと真逆の高い評価をしています。メンディリバル監督も日本人ながら「自分のプレーモデルを一番体現してくれる選手」だと絶賛しています。

戸田  一番切り替えも早いし、その瞬間にスプリントを使いながらやっている選手ですよ。

中西  あとは守備の時の中間ポジション。2つ見なければいけない、3つの中でどこかを見なければいけない、出たらすぐに行かなければいけない。

戸田  右のセンターバックと右のサイドバックを2人見ながら、縦のここのコースを消して、みたいなことを普通にやっていますから。

中西  最終的にはワールドカップのメンバーには選んでほしい選手ですね。

戸田  ほしいと思いますけどね。

中西  その他のメンバーも含めて、この後はマリ、そしてウクライナ戦の具体的なチームとしての戦い方、メンバーの組み方、(選手同士の)化学反応などをやっていきたいと思います。

(写真提供:0014 catorce)
(写真提供:0014 catorce)