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どうする新型コロナ 美容室からの不安の声 ヘアライターの佐藤友美さんがアドバイス

堀潤ジャーナリスト
美容室を取材する佐藤友美さん TOKYOMX「モーニングCROSS」より 

新型コロナウイルスでの悩みや不安に専門家が答えていく企画「知恵の和 beyond the COVID-19」。

NPOや社会的企業でつくる団体「新公益連盟」の皆さんと協力して、SNS上で公開している堀の LINE に寄せられた様々な声をもとにみなさんの不安を和らげるような知恵を発信しています。

第一回は妊娠中の女性たち、第二回はフリーランスとして働く人たちの不安に対して専門家たちがすぐに使える「知恵」をシェアしてきました。

今回は、美容師の皆さんから寄せられた様々な不安の声を取り上げます。

一緒に考えてくれたのは、海外から国内まで世界中の美容業界の取材をしている佐藤友美(ゆみ)さん。どのように経営を維持すれば良いのか、税理士さんへの取材をもとにアドバイスをもらいました。

TOKYOMX「モーニングCROSS」より
TOKYOMX「モーニングCROSS」より

TOKYOMX「モーニングCROSS」と共に製作をした動画もぜひご覧ください。ノーカット版も公開しています。

●都内のヘアサロン勤務の美容師の悩み

ヘアサロン勤務の女性からの不安。

「オーナがお店を存続続させるためにサロンを開き続けま す。そこで働いている私たちは不安でしょうがないんです。お客様が減る中、現在でも朝9時から夜7時までの長時間労働。お客様がサロンにいなくても拘束されます」

TOKYOMX「モーニングCROSS」より
TOKYOMX「モーニングCROSS」より

他にも「仕事柄お客との間隔を2メートル以上あけることができないため感染する恐れもあり、一時的でも休業して欲しい。しかし、一方で働かないと収入が無くなり生活ができなくなる」など、切実な声が従業員や経営者の方々から寄せられています。

美容業界が直面している大きな問題の原因は行政の対応にもあります。

(佐藤さん)

「今はまさに営業するのも地獄ですし休業するのも地獄という感じで、みなさんどちらの決断をとっても苦しい状態かなと思います。特に美容業界に関しては、国と都の意見が分れたことにすごく巻き込まれてしまった業界だなと感じます」

ヘアサロンなどの美容室は、緊急事態宣言が発令された際、東京都では休業要請の対象に入っていましたが、国と都の話し合いで対象から外れたため、 都から出されるはずの協力金を受け取ることができなくなりました。今後も、十分な補償が受け取れるかどうか分からない状況で、 美容室はどのような経営をすればいいのか、佐藤さんはこうアドバイスしています。

(佐藤さん)

「融資というのは お金をこれから新規で借り入れるもの。今は特に利息が免除されたり無料のものも出ていますので、それを使って当面の資金をキープする。もう1つに助成金という考え方があります」

融資と雇用調整助成金 TOKYOMX「モーニングCROSS」より
融資と雇用調整助成金 TOKYOMX「モーニングCROSS」より

今回の場合、スタッフなどを休ませるための休業手当に対し助成金がでる「雇用調整助成金」など、今の時点で受けられる融資や助成金を有効に活用することが大切だと言います。

また、佐藤さんは手元に資金を確保するため事前に3つのポイントをチェックをして欲しいと言います。

3つのポイント TOKYOMX「モーニングCROSS」より
3つのポイント TOKYOMX「モーニングCROSS」より

(佐藤さん)

「当座の資金にできるものが何かを考える。これは手持ちの現金だけではなく、今、手放せるものはないか、それから換金できるものはないかをまず考えます。次に減らせるキャッシュアウトがないかどうか 交渉できるような猶予のものがないかを考える。そして今後、必要な資金がいくらなのか、最低でも3か月、できれば半年分、これがいくらなのかというのを計算します。融資をもらうにしても、これから事業を存続させるにはいくら必要なのかを示す必要があります。この3つを整理することが大事です。

(堀)

「入ってくるお金を増やして出ていくお金を減らしましょうという提言をされていますよね。どういう工夫をすれば入ってくるものが現状より増えるのでしょうか?」

(佐藤さん)

「例えば、会社にかけている生命保険などがある場合には、解約の返金の範囲内では借りれが出来たりします」

(堀)

「保険が担保になるということですね。」

これらの保険や制度に関しては、 返済できない場合は解約もできます。さらに毎月かかる電気やガス料金などは9月まで支払いが猶予されていますし、納税の猶予の申請を行う事で支払うお金を今は減らしていけるといいます。

(佐藤さん)

「小規模企業共済や中小企業倒産防災制度に入っていれば、これも借り入れが出来ます。そして、あともう1つすごく重要なのはお金を融資してもらう際にも支払いを伸ばせるか最大限、交渉していくのは大事です。借りてもすぐ返さなきゃけなかったら、あまり意味がない。そこをなるべく長い期間に交渉することも忘れてはいけません」。

宮瀬茉祐子さん、堀潤で佐藤さんにインタビュー TOKYOMX「モーニングCROSS」より
宮瀬茉祐子さん、堀潤で佐藤さんにインタビュー TOKYOMX「モーニングCROSS」より

(宮瀬茉祐子さん)

「私たち、お客さんの方が何かできるようなこと取り組みは始まっているのでしょうか?」

(佐藤さん)

「前売りのチケットみたいな所をすでに販売されまして、当面の間の運転資金を確保できるように応援できるようなプランが始まっているようなサロンさんがあります。各お店のホームページで既に出ているようでしたら是非、次回の分を先に購入してあげるなどの支援の仕方もあるのかなと思います」

また自粛の中、美容室は、今、できるサービスも提供していると言います。

(佐藤さん)

〈リモートワーク始めました美容師〉というリモート美容師ですね。いろんなお客さんとお話ししているのですが中にはカット料金と同じ料金を払ってもいいから美容師さんにワンツーマンでスタイリング指導をして欲しいとかヘアケアアドバイスをして欲しい時間をしっかりとってマンツーマンの有料でお時間を買ってもらうというのは、これから爆発的に増えると思うんですね。みんな家にいる時間は、だんだんやることもルーティン化してだんだん飽きてきているところだと思うけど、そんなときに、普段なかなか予約がとれない美容師さんの予約をオンラインで、しかもマンツーで30分、1時間とってみようという取り組みがもっと増えていけばいいと思います」

ほかにも、新型コロナウイルスの影響で自宅待機を続けている4月入社の若いアシスタントや社員のために 作業工程を動画で配信して自宅で勉強してもらう取り組みも行っているところもあります。

●頑張っている美容師の声も聞いてほしい

一方で、対策を徹底してサロンを利用したい人たちを迎えている美容室も少なくありません。

渋谷の美容室「CLAN」では、サロン内の消毒や換気を徹底した上で、予約の受付を制限して、8面ある席数を半分に減らし「3密」を避ける工夫などでサービスを提供しています。

恵比寿のヘアサロン「hairHana」では、毎朝のスタッフの検温、マスクの着用、一人のお客が終わるたびのセット面や椅子の消毒を行うなど、状況に応じて対策を常に更新し続けてきました。

恵比寿のサロン「hairHana(ヘアーハナ )」のホームページより
恵比寿のサロン「hairHana(ヘアーハナ )」のホームページより

オーナーの中西トモミチさんは堀へのLINEにこんなメッセージをくれました。「お客様に安全と安心を約束するためにこれでもかというくらい対処を徹底しています。必死に対処している美容師の声を聞いてもらえませんか?頑張っている美容師もたくさんいます。よろしくお願いします」

普段、お世話になってきた美容室や理髪店の皆さんが現場で奮闘を続けています。今、何が出来るのか、利用者である私もしっかり考えていきたいです。

大切なお店ですからみんなで守りたい。

※参考リンク

佐藤友美さんの記事

【vol.4】営業継続、休業決定。それぞれのサロンがしていること(美容師が知っておきたい最新コロナ情報)

佐藤さんインタビューノーカット編

ジャーナリスト

NPO法人8bitNews代表理事/株式会社GARDEN代表。2001年NHK入局。「ニュースウォッチ9」リポーター、「Bizスポ」キャスター。2012年、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校で客員研究員。2013年、NHKを退局しNPO法人「8bitNews」代表に。2016年(株)GARDEN設立。現在、TOKYO MX「堀潤モーニングFLAG」キャスター、Amazon Music「JAM THE WORLD」、ABEMA「AbemaPrime」コメンテーター。2019年4月より早稲田大学グローバル科学知融合研究所招聘研究員。2020年3月映画「わたしは分断を許さない」公開。

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