豪雨災害10万人予約キャンセルで岡山県が5千円クーポン NHK岡山局出身の私が勧めたい特級の観光名所

800年続く公衆混浴露天風呂「砂湯」がシンボルの岡山県真庭市湯原温泉も万全

■岡山県10万人キャンセルの衝撃と5千円クーポン

岡山県は、西日本豪雨の影響で7月6日から18日までの間で約10万人の宿泊キャンセルが発生したと発表しました。

水害や土砂崩れなどの直接的な被害を免れた観光地も苦境に立たされています。宿泊・交通費や食事代など、いわゆる観光消費の損失は約24億円に膨らんでいます。

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岡山県は瀬戸内海に浮かぶ島々から北部山あいの温泉地など自然に恵まれた観光資源に加え、桃太郎伝説発祥の神秘的な遺跡や歴史的建造物などを各地に有する、旅行者を楽しませるのにはもってこいの懐の深い県でもあります。

豪雨災害からの復旧・復興のエンジンとして観光業が元気でいることはとても大切ですが、白壁の街並みが美しい倉敷市の美観地区でさえ観光バスの乗降場利用台数が半減するなど、かなり厳しい状況が続いたこの1ヶ月でした。

そうした中、今週、岡山県は国の復興対策に先立って、当面の8月・9月の観光需要を喚起するため、県独自で、民間の宿泊予約サイトで使用できる「宿泊クーポン」の発行を公表しました。「楽天トラベル」と「じゃらんnet」で利用できるこのクーポンは、県内の施設で大人2人以上の宿泊費用が1万円以上になる場合に、5千円が割引されるというものです。1組1回のみの利用になります。2000枚を発行し、4000人以上の利用者数を見込んでいます。「楽天トラベル」では3日から、「じゃらんnet」では9日からそれぞれ発行が始まります。

岡山県は、熊本地震の際に復興支援策として実施された「九州ふっこう割」のような制度を広島県や愛媛県と共に国に対し要望していますが、今回のクーポン配布はそれに先立っての独自の施策です。

■NHK岡山放送局勤務だったからこそ伝えたい、あの観光地

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私は、2001年から2006年までの5年間、NHK岡山放送局に勤務していました。夕方の情報・報道番組のリポーター、キャスターをしていたこともあり、岡山県内全市区町村を取材してまわりました。ちょうど平成の大合併がはじまった頃、地域の魅力を全国にPRするのはNHKローカル局の大きな使命。各地域の地元の方々に支えていただきながら、県民さえ知らない県内の魅力を発信し続けてきた自負があります。

15年来の付き合いが続く温泉宿の女将さんが、「キャンセルが続いています。今こそオール岡山で頑張りたいです」とお話しされているのを聞いて、胸が張り裂けそうな思いに駆られ、今週、現場を訪ねました。

そこで今回は、NHK岡山局出身の私が、皆さんがすぐにでも行けるとっておきのお勧め観光スポットを2ヶ所紹介します。動画取材の映像も文末にありますのでぜひご覧ください。TwitterやFacebookで先んじて発信したところ「ここを紹介するとは!岡山愛に満ちている!」と岡山出身の方に褒めていただいたのがとても嬉しかったです。

■公衆の混浴露天風呂がシンボル「湯原温泉」 ダムを望む絶景も魅力

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写真は約800年の歴史を持つ公共の混浴露天風呂「砂湯」がシンボルの真庭市の湯原温泉です。

「砂湯」は露天風呂番付の西の横綱。歴史は古く、起源は弥生時代にまで遡るといいます。川底から砂を噴きながら温泉が湧いていることから砂噴き湯「砂湯」の名称で呼ばれるようになりました。今となっては珍しい公共の混浴露天風呂。川のせせらぎを聞きながら巨大なダムを望む露天風呂の魅力は言葉を失うほどです。春は桜、夏は緑、秋は紅葉、冬は雪化粧と、どの季節も絶景に次ぐ絶景です。豪雨によるダムの放流で被害を受けましたが、地域の皆さんの懸命な復旧作業で先月17日から通常通り利用ができるようになりました。

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砂湯を見下ろす高台にある温泉宿「八景」の女将、上塩浩子さんは団体客からの「こんな時に岡山に行くのは申し訳ないので」というキャンセル理由が忘れられないといいます。湯原をはじめ、湯郷、奥津など各温泉郷は健在なのに、それが伝わっていないもどかしさ。発信の大切さを再認識したと言います。今回のクーポン発行は客足を呼び戻すチャンスだとして、呼びかけを強化していくつもりです。

「災害でお客さんが減ってしまったことを逆に宿の魅力を磨いていくチャンスとしたいのです。こういう時期だからこそ、派手なプロモーションに頼るのではなく、お一人お一人のお客様への丁寧な接客で評判を呼び込んでいきたいと思います」と上塩さんは前を向きます。

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「八景」の料理は女将さんと二人三脚で宿を支えてきた正原聖也料理長の自慢の一品が並びます。岡山の山の幸、地物の野菜にこだわった料理が絶品。かつて、フジテレビで一世を風靡した職人たちの対決番組「料理の鉄人」で、和の鉄人を4対0で破った強者です。苦境に立たされても、笑顔とユーモアと、前進を忘れない姿には力をもらいます。

ぜひこの夏休みに湯原温泉に。岡山空港からレンタカーで約1時間です。

■「八つ墓村」や「三菱」ゆかりの桃源郷 吹屋ふるさと村 美しいベンガラの街並みが癒される

「岡山お勧め観光地は?」と聞かたら間髪入れず答える町の一つは高梁市成羽町吹屋ふるさと村です。

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江戸後期から鉱山や紅色の染料、ベンガラの産地として豪商が活躍した歴史的保存地区。財閥を率いた岩崎弥太郎ゆかりの地で、彼が寄進した神社の鳥居には三菱のマークが刻まれています。今回の豪雨災害で観光客が普段の5分の1に減ったといいますが、町は被害も免れとても元気です。

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溜息が出るほど美しいベンガラ色に彩られた歴史保存地区には素敵な人々と好奇心を掻き立てるモダンな小物が満載。ベンガラを使った染物や焼き物も素敵です。さらに、探偵金田一耕助が活躍する横溝正史原作の映画「八つ墓村」の舞台になった広兼邸も必見です。山間にあり木陰に入ると清々しいそよ風を感じます。避暑地としても最適な場所です。

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9月には灯籠に照らされた古い町並みで地域に残る伝統的な踊り、「備中松山踊り」が披露されるお祭りも開催されます。

さらに、吹屋では古い町家をリノベーションし一軒丸々貸し出す新たな試みも準備中です。まだプレス発表前ということでしたが特別に内覧させてもらいました。思わず感嘆の声が漏れる、お洒落な空間に仕上がっていました。

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支配人は15年前に今は廃校になった歴史的な木造校舎が魅力の吹屋小学校の取材でお世話になった、戸田誠さん。当時は学校の先生をされていましたが、定年を迎え第2の人生をスタート。地域の発展のため会社を立ち上げ、町家の運営に邁進します。本来は今月5日のオープンでしたが、豪雨災害により延期になりました。戸田さんは「お客様をもてなすための準備期間が増えたと、前向きに考えたいです。町家を残していくための取り組みで、地域の雇用の創出にもうまくいけば貢献できます。ぜひ皆さんに見守っていただきたいです」と、語っていました。

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苦境の中にも可能性を見出しチャレンジを続ける経営者たちがいます。

多くの旅行者が各観光地で直にそうした方々の触れ合ってもらえることを願ってやみません。今回紹介した2ヶ所以外にもまだまだみなさんにお勧めしたい場所が沢山あります。

みなさん、ぜひぜひ岡山県に「おいでんせぇ」!