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【総選挙2014 争点の現場・原発問題】 “原発銀座”から聞こえる有権者の失望

堀潤ジャーナリスト
福井県敦賀市にある敦賀原発は1号機、2号機が停止。3、4号機の新設計画は進まず。

■日本の原発の4分の1が集中する「原発銀座」福井県で聞いた

明日14日に投開票日を迎える第47回衆院選挙。

政権与党、自民党は選挙の最大の争点として「アベノミクスの是非」を掲げ、2012年暮れの政権奪取以降の自らの経済政策の成果を強調している。一方で、国の重要施策でありながら争点としてなかなか論戦が深まらない「原発再稼働問題」。大都市圏のみならず、原発立地地域でさえも議論は低調だという声が聞こえてくる。

いま、立地自治体の有権者達は今回の選挙とどう向き合っているのか。原発銀座と呼ばれ、日本の原発の4分の1が集中する福井県を訪ねた。

今回は現場でのインタビューを全て文字に起こした。動画が既に公開されているが、動画でのインタビューはカットされ3分の1程度に圧縮されている。全文に目を通していただければ、今、原発立地自治体の住民の皆さんがどのような思いを抱いているのか、その一端が垣間見える。再稼働の賛否の議論にとどまらないより具体的な実行策を求める現場の声が切実だ。

■地元出身タクシー乗務員の声

(堀)取材で選挙の争点、エネルギーもあるので賛成反対それぞれあると思いますけど、聞いて回っていて。

(運転手さん)敦賀からオバマ、大飯というのは原発ばっかりですからね。北とは温度差がありますね。もう何十年も、原発中心でやってきた中小、零細が多いですからね。苦しいでしょうね。1つには飲み屋さんに、そういった関係の人がでていっちゃったんで、飲み屋さんはだいぶ苦しいでしょうね。タクシーも週末になればそこそこですが、それ以外はあまり動きませんね。震災以降で、いわゆる地質の調査、あれがあって。

(堀)断層の問題が?

(運転手さん)それがあるということで、もう止まっちゃいましたからね。それまでは3、4号機の計画が順調に進んでいまして、逆に増設という形で活気があったんですけどね。頓挫しちゃって。市としても当然、財政が潤いますしね、関連の企業の方が入ってきますから、それを見込んで駅前のホテルをオープンさせたというか、新たに建設しましたからね。今から向かいます、原発地域の民宿も、これは定期検査の方が泊まる民宿ですが増設の話をうけて増築したり、改築したりしたんですが、回収できないよという声が出てますよね。

(堀)皆さん、どうされているんですか?

(運転手さん)そういう民宿さんは、ごくわずかな原電の関係者が泊まられるだけで、基本的に少ないですよね。夏場とか。民宿に聞かないとわからないですが、観光客の方はあまり当てになりませんしね。観光は日本三大松原の1つがあるんですが。結構ね、つりや海水浴で夏場は賑わうんですけどそれを外しちゃうと、観光の方はあまりお見えにならないみたいで。減っているでしょうね。

(堀)運転手さんも地元ですか?

(運転手さん)地元です。人の行き来というのは直結しますね。特に夜はね。昼はお年寄りとか定期的な方がいるんですが、夜は違いますね。震災前とは大違いです。

(堀)地元としては、動かしたいという人が多い?

(運転手さん)やっぱり死活問題だと思いますよ。思いますよ、というか、やっぱり実感しますよ。夜は少なくなりますよね。飲み屋さんに繰り出す人が少なくなると、減りますよ。保守の地域なんですが、敦賀いうか自民以外の方はまれでしたね。今、1人息子さんが、辻さんという方が出ていますが、社会党だったのかな、昔の。その人が一回なったきりで、ずっと自民ですね。

(堀)アベノミクスの恩恵はありますか?

(運転手さん)あはは。個人的には恩恵はないですよ。まだまだ、地域におよぶのがだいぶ遅いですし、サービス業は一番遅いですね。建設業や工業がきて、次に商店がきて、私たちは最後でしょうね。

(堀)敦賀原発の下で見つかった断層の問題の影響はいかがですか?

(運転手さん)市長なんかは慎重にやってほしいといっていますが、原発は賛成じゃないですかね。全国立地市町村協議会の会長をやっていますからね。推進派なんですよね。

(堀)その辺は地元のみなさんの反応は?

(運転手さん)経済としてはまわしてもらったほうがいいでしょうね。

(堀)安全は?

(運転手さん)安全は一番ですが、何と言っても、まわしてもらわないと潤わないというか。地元の商工会議所も応援というか後押ししているみたいですね。商工業者、アンケートでみるとだいぶ響いていますね。僕が聞いた話ですが、今、何千人という方が敦賀から出て行っちゃって。新聞にのっていましたが、敦賀を見限ってよそにいってと出ていましたね。

(堀)元々は原発で働いていた人ですか?

(運転手さん)そうです、大きいですよ。下請けがあって、孫請けがあって、そこに工具を売る人があってと。関連してくる人がいるから、影響が大きいですね。タクシー業界も影響ありますからね。

(堀)中央ばかりで話がすすんでね。

(運転手さん)声が届いてるか、届いてるかわからないですけど。国も国で方針があるんでしょうね。安易にGoは出せないよと。昔からある産業としては繊維関係。これも大きいですね。これも関連する産業ですから。

※湾に沿って道路を北上

(運転手さん)ここからずっとこういう感じです。これ一本なんですわ、道としては。こういう感じでずっと原子力発電所まで続くんですよ。ここまでくると、見た通り、民宿と漁業しかないですもんね。

(堀)地震はあるんですか?

(運転手さん)敦賀はほとんど被害なんかないんです。たまによそであっても、こっちの方は「あれ?揺れたな」といった感じです。地震の被害は皆無ですよ。断層がわかったというのはびっくりしましたよね。本当に「え?」という感じですよ。「断層なんてあったの?」って。

(堀)山を下りて下ると原発という感じですか?

(運転手さん)そうですね。湾の内側をずっと一見、山を走っているようにみえて、敦賀半島の内側を走っているんですよ。

(堀)太平洋に直面した福島とは少し環境が違いますね。

(運転手さん)日本海のこっちの方は津波の直撃はないんですよね。

(堀)反対という人もいるんですか?

(運転手さん)いると思いますよ。あんまり聞かないですよね。僕の知る限り署名集めもないですね。面通しで反対運動、シュプレヒコールをあげる人もいるんですが、地元のひとじゃないですよね。他府県の方がバスでこられて、大きい集会所で抗議をやるぞと。あんまり地元の人を見たことがないですよね。いるのかもしれませんが、目立たないですよね。

(堀)逆に声をあげにくい?

(運転手さん)多くの人が関係していますからね。

(堀)あれは、養殖のいかだですか?

(運転手さん)養殖はふぐもやっていますからね。右の奥の方に色々白い建物あるでしょ。民宿とかね。

(堀)増改築したりとか?

(運転手さん)そうですね。どこがというのはわからないんですけどね。

(堀)これから冬のシーズンだから、余計に観光としては厳しいですか?

(運転手さん)蟹を食べにくるお客さんはいらっしゃいますけどね。夏を過ぎちゃうとね、しーんとしちゃうから。

(堀)選挙ポスターが張ってありますが、民主系の方ですか?

(運転手さん)下の高木つよしさんが、自民の前職。地元ですね。敦賀です。たぶんね、新しい選挙区にいって挨拶しているんちゃいますか?ここらは高木さんみんな知っていますからね。ここで第一声あげましたけど、逆にここにいたらまずいんちゃいますか?もう4期か5期やっているのと違いますか。

(堀)政治への期待というのは?

(運転手さん)そうですね。笑

(堀)急に選挙でしたね。

(運転手さん)そうですね。ぼくらも「えー!年末選挙って!」ってなりましたよ。せっかく忘年会あるのに、自粛しているところもありますし。やっぱり影響あるんですよ。普通ならもうっちょっと忙しいですけどね。やっぱり選挙となると色々ありますよ。自粛する理由は何かあるとは思いますけど。15日以降でしょうね、集中するのは。

(堀)あの島は?

(運転手さん)あれは無人島。水島いいまして、渡し船ここからでていますしね。夏終わっちゃうとあれですけど。

(堀)きれいな海ですね。

(運転手さん)そうなんですよ。この道路が一般しかないというのがね、地元の人も不便でしょうね。それこそ何かあったら逃げ場がないというか。

(堀)それはありますよね。実際福島でも往生したというか。

(運転手さん)これが典型的な道ですわ。トンネルをね掘っていたんですけど、中止になってしまいましたね。日本原電さんが寄付をしていたんですが、もう出せないということで。今年、つい最近ですよ。

(堀)公共工事もストップに?

(運転手さん)しましたね。

(堀)余計に止まったことの影響、大きいですね。

(運転手さん)そうですね。色んなところでね、影響がありますね。市の方も固定資産税がはいってきますからね。年々少なくなってきますから。3、4号機の新建設でなんとかと思っていたんでしょうけど、今はそれどころじゃないですよね。全部とまっちゃいましたからね。

(堀)左の敷地は?

(運転手さん)全部原電さんのものですからね。明神町。もうここが発電所です。

敦賀原発に近い小さな漁港
敦賀原発に近い小さな漁港

==■食料品店のご主人==

(堀)すみませんこんにちは。東京から取材に来ていまして。お話をお伺いしたいんですが。ご主人地元ですか?

(店主)奥の方に行って聞いてきなさいよ。

(堀)原発の再稼働の話ですが、国の方では進めようというところですがなかなか進まないから皆さん、やきもきしていることもあるかと思って。停止して長いですよね。影響はあるもんですか?

(店主)そりゃ生活している以上影響はあるがな。影響がないということはない。

(堀)どういう影響が大きいですか?人が減ったことでしょうか。

(店主)人が少ないというよりも、人がおらんようになったな。作業員にせよ、職員にせよ、会社員もだいぶ減ったと思うで。

(堀)商売も大変ですね?

(店主)そりゃみんな大変なもんだ。

(堀)地元としてはやはり早く動かして欲しいという声が多い?

(店主)そりゃ多いが、今の世の中をみているとどうなるかわからん。ここらの者からみたらみんなアホわやな。はっきりいって日本中。初めからこんなことが起きるのは、建てる前からわかっていることだ。

(堀)地震があったりとか?

(店主)うん。日本のこんな地震国に、こんなもの建てるのは何十年も前からわかりきったこっちゃい。それで今まで食べさせておいて、今になってあーやこーや言ったって、そんなもの通る話かな。建てば、建ったなりの地元の生活っちゅうのは変ってくるんだから。それを今になって、また昔の生活に戻れっていったってできんやんけ。

(堀)やはり、もうかなり、敦賀も昔からある原発ですからね。

(店主)敦賀だけなしに、日本中の原発そのものが建つ時にこんな危険ははじめから分かってることだった。それで、地元のものはみんな、反対したんじゃがな。

(堀)あ、そうなんですか。

(店主)何十年も昔に、建てるって時に、はじめてこういうところに原発が建つって時は地元のものはみんな反対したんじゃ。

(堀)この辺の浜も?

(店主)そんなもん皆反対しとる。ここだけじゃない、日本中それは一緒だろうが。それを建てさせておいて、今になってこんな騒ぎになっても、初めからわかっておったことだろうが。そう思わんか?

(堀)そうですね。村が割れて、町が割れて、当時は大変だったと聞いています。福島もそうだったと。

(店主)どこでもそうだがな。だけど、それは政府が決めて、県が決めて、市が決めて強制的に建てたようなもんやがな。そやけど、建った以上、やっぱそれに応じた生活をしていかないと、みんなしょうがなく過ごしてきたんだよ。そうだろ。そのためには、それは資本もいるし、資金もいるしやな、生活も変わってきてやで、それを今になって、昔に戻れっちゅうことはできんって人間は。反対するなら、40年も、50年も前の人間がみんな反対してくれりゃ、こんなことにはなっていなかったんじゃが。

(堀)ご主人はうまれもこちらですか?

(店主)うまれは違うけど。もう長い。ここだけじゃないと思うで、日本中の原発のあるところは同じだと思うで。

(堀)ちゅうぶらりんのままですもんね。

(店主)止まっているからって、そんなもう、安全かと言われたらそうでもないんじゃから、それならそれで動かしていけばいいんじゃ。止まってても、動いとっても、一緒やがな。危険度は。止まっとって安全ならいいじゃけど、一緒やろうが。

(堀)津波が来たら?

(店主)おう。一緒なら動かして。そうやろ、市の利権なり、固定資産税なりもらってやな、そうすりゃ地元の皆は多少、職人もくるし、みんな潤う。元の生活に戻ると思うんだ。止めたままなら、安全面でも、安全かといわれたらそんな変わらせんのなら。地元は苦しんでるんだから。大阪や名古屋の人たちは反対、反対といって騒いでいるけれど。それはわかるよ。福島みたいなことがあってはいかんけど、あかんけど、原発の第1号がどこでたったか知らんけど、建つ前からわかってることじゃった。今、はじまった話じゃねえんだし。今になって無責任に騒いでいる。

(堀)地元が翻弄されていますもんね。

(店主)それが言いたかったんじゃ。ここいらの電力はみんな大阪いってるんや。あの人らは、人に危険な目にあわせて、自分らはぬくぬくと生活しとったんじゃねえか。

(堀)福島と東京の関係と同じですね。

(店主)そこらの人は騒いで地元の人は苦しんでるんじゃがな。今の、事故があったあれは、福島あたりは苦しんでいる人はいるけど、原発がなかったからといって、今の生活が確保できていたかというと、そうでもないんじゃろ。地震でいったんであって、それの被害が原発に絡んできたからこういう騒ぎになったわけだけど、原発がなければないで、生活も変わっているんだと。

(堀)なかったら別の暮らしのあり方があったかもしれませんね。

(店主)なかったらなかったで別のな。原発があったがために、こういう生活になったんだからその生活派誰が保障してくれるんだ。そう思わんか?

(堀)はしごだけ外されたと?

(店主)騒ぐのは無責任な騒ぎ方しているからわしら腹立つんだ。

(堀)具体的な対応策とか?

(店主)今の福島あたりでも、ちゃんとしてやってな、補償もちゃんとしてやってな、そしてその後のことを考えればいいんだけど。

(堀)この店はいつごろ建てたんですか?

(店主)震災のあった年。それまでは旅館をやっていた。

(堀)借金して?

(店主)そうだ。しんどいどころの騒ぎじゃない。

夏場の観光シーズンを終え、次は蟹のシーズンに
夏場の観光シーズンを終え、次は蟹のシーズンに

■原発メーカー作業員

(堀)すみません、取材をしていまして。地元ですか?

(作業員)いや、地元じゃないです。山口県から。

(堀)あっ、そうですか。原発が止まっているので地元の皆さんの声を聞きに取材で東京から来ました。働いてもう長いのですか?

(作業員)僕らは山口県から、メーカーなんで。

(堀)原発関連ですか?

(作業員)そうです。3年ぶりにきました。止まってから初めて来ました。本当は毎年点検があるんですけど。

(堀)止まっていたら仕事も減りますよね?

(作業員)ダメージありますね。特に原子力は。毎年、13ヶ月に一回はありますから。この辺も静かでしょ。

(堀)そうですね。人が全然いないから。目の前のお店も、人が全然いなくて、損害が膨らんでいるって訴えようにもどこにも訴えられず。ところで、今日はどのような仕事で?

(作業員)原電さんの仕事で。

(堀)仕事の発注は確保できているんですか?

(作業員)仕事は今は全然ないので、火力(発電)とか。各地をまわって、後は民間企業のところで受注して。

(堀)政府は原発を早く動かしたい様子ですが。どう思われていますか?

(作業員)まだ先のことでしょ。10年くらい先のことじゃないですか?断層とかもあるでしょ。まだまだ先だと思いますよ。敦賀の点検も今回終わったら当分ないでしょ。

(堀)原発再稼働の問題、決着の付け方はどうすればいいと思っていますか?

(作業員)原子力規制委員会がいいと言わないということは、やっぱりだめでしょうね。だから、とりあえずは原子力規制委員会ですよね。そこがNOというならしょうがないでしょうね。政治でどうにかなるんですか?ならないでしょ。

(堀)安倍政権は進めたいということで着々と進めていますが、安全面での対策もしなくてはいけないから、こう着状態ですよね。

(作業員)このあたりの民宿もガラガラじゃないですか。

(堀)各地の原発の現場をまわってみてどんなことを感じていますか?

(作業員)売り上げは落ちましたよね。前は、1年に1回来て、現場の作業員への指導員とかしてそれなりに儲かってましたけど。部品も毎年来ていましたからね。それと比べたらだいぶ違いますよ。

(堀)はやく動かして欲しいですか?

(作業員)それはそうですね。

(堀)原子力発電所内では安全面はどうですか?

(作業員)チェックが厳しいですね。今はこういう時期だから、事故があったら目立つので、だいぶ気を遣っていますよ。

(堀)原電の皆さんはどんな様子ですか?

(作業員)それは回したいでしょ。自分たちの生活もありますしね。

(堀)ここは3号機、4号機の建設作業も止まっていますからね。福島のような事故が起きたというのはどう受け止めていますか?

(作業員)逆に自分の地元では(原発は)まわしたくないですね。危ないんじゃないですか。お金云々じゃなくて、自分らが生活するところですから。それが無くなりますから事故があったら。嫌ですね。僕も現場いったことがありますから。福島にはないですが、近くに。南相馬とか。街は事故のあとそのままですよね。人はいないし。行きました?

(堀)行きましたよ。楢葉とか富岡とか、今も黒いフレコンバックが町のあちらこちらに積み上がっていて。事故で奪われた故郷の姿は悲しいですよ。

(作業員)そうですね。

(堀)敦賀の原発は安全ですか?

(作業員)安全ですよ。それは事故がないように。細かくやっていますから。

(堀)どれくらい点検期間が?

(作業員)今回は3ヶ月くらい。普通なら半年、5ヶ月くらいあるんですよ。でも、今は仕事が少ないので、短いです。

(堀)地元に帰りたくなりませんか?

(作業員)帰りたいですよ。

(堀)親会社の電力会社へのイメージは?

(作業員)イメージっちゅうか、ちゃんとしていますよ。まぁ、僕らは言われたままやるだけですから。

敦賀駅
敦賀駅

■地元の民宿経営者

(堀)今回の選挙のことで皆さんにお話を伺って回っているんですが?争点について、敦賀ならエネルギーかなと思っているんですが。

(民宿主人)今ね、ここは原発の話ね。ここの原発が停止しているってことで、今、ほら、まぁ結局敦賀の街というのは、原発と共存共栄だったから廃れてしまっているっちゅうことになっているんですけど。難しいな。断層の問題もあるし、難しいこともあるんですけど、安全が確認されれば再稼働ということになると、地元も敦賀の街も潤ってくるかなと思っているんですけど。

(堀)今、宙ぶらりんですからね。

(民宿主人)個人的なことで言うと、断層があるからどうにもならんと思っています。あれは学者さんの判断は覆らんと思っております。再稼働は難しいと思っています。

(堀)宙ぶらりんの状態で、急に原発はだめだって世論になって、それについて誰も補償してくれないので辛いなという声を聞いたんですけど。ご主人はお仕事は?

(民宿主人)ここら辺はみんな漁業と民宿とやっているんですけど、自分もそうですけど。

(堀)昔は原発ができたころは反対の声もあったんですか?

(民宿主人)色々ありましたが、今となってはあれですけど。難しいところですけど。安全さえ確保されれば、再稼働されても問題は全然ありませんが。安全面でいま色々でているので、僕らも・・・。

(堀)福島でも事故前は「安全だ」と言われていたのに、だまされたという声を聞きました。

(民宿主人)あれは、元々、太平洋は地震が確実に90%位起きるって確実性があったんですよね。こちら日本海側はそういう心配はまずないと思うんですけど。まぁ絶対というのはないかもしれないけど。

(堀)ご家族でもそういう話をされますか?

(民宿主人)そうですね。万が一そういうことになったら山の上に逃げるというのは話しますけど。

(堀)信頼というのはいかがですか?政府や電力会社に対しては。

(民宿主人)福島の事故の対応にしても、昔からあんな酷い地震や津波はなかった訳ですし、政府も色々いわれているけど、100%対応できるものとは思わないし、仕方ないと思いますけどね。

(堀)このまま原発が動かせない状況が続いたらどうなると思っていますか?

(民宿主人)敦賀の町はどうなるかな。雇用も、原発に相当雇用があるし、はっきりいって、地元の者も相当働いていますし、仕事がないから転勤というのも聞いています。妹の旦那が、原電に勤めておったんですけど、青森に転勤になりましたし。

(堀)稼働を停止して仕事がないということで転勤に?単身赴任ですか?

(民宿主人)単身赴任です。これからけっこう増えていくかなと思っていますけど。皆家族もバラバラになっていくかなと。原発がなくなったら、雇用、仕事がなくなって、そういうケースが増えていくと思いますよ。

(堀)元々は、原発を受け入れる理由として、家族皆が揃って暮らせるように仕事をつくるというのがありましたから、それがまたバラバラになってしまうというのは…。

(民宿主人)ですね。

(堀)総選挙では自民党優勢と言われていますが、自民党は再稼働を早く進めようとしていますね。

(民宿主人)ここの選挙区でも、民主党、社民党、共産党かな、原発反対、反対って、でも本当にできるんかと。色々問題もでてきますし。

(堀)今、政治に期待することは何ですか?

(民宿主人)別にありませんわ。ありません、ほんまに。

(堀)その心は?

(民宿主人)結局は、自民党もあれですけど、結局、どうして物事を決められんのかちゅうかな。議員数も多過ぎて、もの1つ決めるのも、なかなか決められんてのもありますし。簡単になかなか決められんね。

(堀)今、ご主人は何を求めますか?

(民宿主人)敦賀を元通りにというか、活性化っちゅうか。そういうのがね、元通りにして欲しいって。まぁ、今まで以上に良くなること、願いはそれだけですね。

(堀)そのためにはどうする必要がありますか?

(民宿主人)やっぱり原発が再稼働して、結局雇用とかがな守られなくちゃ。再稼働すればだいぶ違うと思いますよ。地元のお金も潤いますし原電との提携もあるし、人も入ってくるし、旅館も潤うし、飲み屋も人が沢山きて、楽しい雰囲気が戻ると思います。

(堀)タクシーの運転手さんもいっていました。

(民宿主人)こんな状況で、閑古鳥じゃどうしようもないから。

(堀)そういう地元の状況にも目を向けて欲しいというのがあるわけですね。

(民宿主人)だから、原発っていうのは、大阪やそこらに電力を供給してきた訳だし、それを反対、反対って。難しいな。断層の問題で、学者さんというのは考えを変えないと思いますし、1号、2号はもう実際にはあかんかなと個人的には思っています。なので、新設の3号、4号、あれさえできるようになればいいかなと思っていますけど。

(堀)ありがとうございました。

ジャーナリスト

NPO法人8bitNews代表理事/株式会社GARDEN代表。2001年NHK入局。「ニュースウォッチ9」リポーター、「Bizスポ」キャスター。2012年、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校で客員研究員。2013年、NHKを退局しNPO法人「8bitNews」代表に。2016年(株)GARDEN設立。現在、TOKYO MX「堀潤モーニングFLAG」キャスター、Amazon Music「JAM THE WORLD」、ABEMA「AbemaPrime」コメンテーター。2019年4月より早稲田大学グローバル科学知融合研究所招聘研究員。2020年3月映画「わたしは分断を許さない」公開。

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