確定申告の季節がやってきました。

昨年からコロナきっかけで副業を始めて、初めての確定申告をするという方も多いことでしょう。

経営者やフリーランスとして何度も確定申告をしてきたという方も、コロナ禍でもらった給付金や支援金の扱いに自信がないという声をよく聞きます。

「Go To」キャンペーンの支援金やキャッシュレス・ポイント還元も、実はチリツモで一定額を超えると課税対象となることも。

“うっかり脱税”を防ぐためにも、2021年の確定申告のポイントを、しっかりチェックしておきましょう。

確定申告しないといけない人は?

開業届を出しているかどうかにかかわらず、以下に当てはまる人は確定申告が必要になります。年間所得とは「一年分の収入から経費を差し引いた金額」です。

・経営者やフリーランスの場合:年間所得が48万円以上

・会社員の場合:副業による年間所得が20万円以上

収入・経費に該当するもの

副業の収入は、2か所以上の組織から給与支払いを受けている場合はもちろん、クラウドソーシングやシェアリングエコノミーの業務委託報酬、アフィリエイト広告収入、ビットコインのような仮想通貨の売却益、外貨預金の為替差益などが含まれます。

経費としては、収入に直結する業務のために購入した備品・書籍の購入費やセミナー代、自分で製作・販売したハンドメイドグッズの材料費などが該当します。パソコンやカメラ、自転車などの購入費用や、自宅を仕事場にしている際の家賃などは、日常生活で利用した分と按分して一部を経費計上できます。

本当は誰もが確定申告した方が良い理由

年間所得が基準額を超えていなければ確定申告の義務はありませんが、申告することで報酬支払時に徴収されていた源泉所得税が還付される(返金される)可能性があります。数万円~数十万円の源泉所得税が還付されるケースも珍しくないので、基準額に満たない方でも、確定申告を試してみることをおすすめします。

また、副業をしていなくても以下に当てはまる人は、確定申告をすることで税額控除を受けることができるので、忘れずチェックしておきましょう。

・年間で合計10万円を超える医療費(病院での治療費や薬代、通院の交通費、介護関連サービスの支払いなど)の支払いがあった世帯の人

・控除対象となる住宅ローンを組んでいる人

・ふるさと納税を利用したり、寄付をしたりした人

確定申告で副業がバレる?!

たまに、勤め先に副業していることを知られたくないから確定申告が怖いという人がいますが、心配無用です。

マイナンバーによって副業が伝わるというのは都市伝説ですが、もし勤め先が副業に気付くとすれば、主な要因は住民税です。住民税は本業と副業を合わせた所得にかかるため、副業していることを知らない労務担当者が住民税の金額に違和感を感じることがあります。ただ、確定申告書の住民税の徴収方法を選択する欄で「自分で納付」を選んでおけば、副業分の住民税の納付書は自宅に届くので、勤め先が怪訝に思うことはありません。

コロナ給付金、GoTo支援金、フリマアプリの売上…どこまで課税対象?

2020年は、コロナ対策として政府から様々な給付金や助成金が出されました。大まかな原則で言えば、家計や生活に対する支援は非課税対象、事業活動に対する支援は課税対象です。

コロナ関連給付金等に対する所得税の課税について
コロナ関連給付金等に対する所得税の課税について

非課税対象の給付金・補助金

非課税対象となる生活支援策で代表的なものは、全国民に一律10万円を配った特別定額給付金です。

また、住居確保給付金、会社で休業補償されなかった労働者向けの休業手当制度(新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金)、子育て世帯向けの児童手当の追加支給、企業主導型ベビーシッター利用者支援事業の特例措置における割引券、アルバイト収入が減少した学生向けの学生支援緊急給付金、低所得のひとり親世帯への臨時特別給付金なども、非課税対象となります。もちろん、失業保険も課税されません。

課税対象の給付金・補助金

一方、課税対象となる事業支援策で代表的なものは、「中小企業に200万円、フリーランスに100万円」と話題になった持続化給付金です。これは売上減少分の補償という扱いなので、事業所得になります。(但し、給与所得者や雑所得者に対する持続化給付金は、それぞれ一時所得や雑所得となります)

同じ理由で、雇用調整助成金、家賃支援給付金、持続化補助金、自治体独自策の感染拡大防止協力金、小学校休業等対応助成金・支援金、農林漁業者への経営継続補助金、文化芸術・スポーツ活動の継続支援なども、事業所得となります。

一時所得にご注意

実は、政府施策によるお得な恩恵も、積もり積もれば課税対象となる可能性があります。「Go To」キャンペーンの割引や地域共通クーポン、キャッシュレス・ポイント還元、ふるさと納税の返礼品、マイナポイントなどは、一時所得とされています。

一時所得は、合算して50万円の特別控除枠を超えなければ気にする必要はありませんが、超えた場合は、一時所得の合計から50万円を差し引いた額の2分の1が課税対象となります。

懸賞などの賞金・賞品、競馬や競輪の払戻金、生命保険の満期保険金なども一時所得なので、思い当たる節のある方は、特別控除枠に収まっているかどうか計算しておくと安心でしょう。

フリマアプリの売上は

昨年はコロナの打撃を受けた家計を助けるため、フリマアプリの利用も広がりました。洋服や日用品を売った際の売上の扱いが気になるところですが、純粋に不用品の処分として売った場合は非課税です。

ただし、頻繁に転売して利ざやを稼ぐ「せどり」行為は、営利目的とみなされ課税対象になります。稀に、不用品処分であっても、高価な貴金属や骨董品などは譲渡所得として課税対象となる場合があります。

副業収入は、事業所得にできる?

給付金の説明で事業所得や一時所得という言葉が出てきましたが、所得にはいくつか種類があり、それらを合算した金額が年間所得となります。

一般的に、独立したフリーランスや経営者が事業を通じて得た収入は事業所得、会社員が勤め先から支払われる収入は給与所得です。

会社員の副業収入はどうかというと、原則として雑所得になります。(2社以上と雇用契約を結んで給与が支払われている場合は給与所得)

税務知識がある方ならば、雑所得よりも事業所得の方が節税において有利なので、副業収入を事業所得で計上したいと考えるかもしれません。事業所得であれば、給与所得など他の黒字の所得も含めて経費を差し引く損益通算をして年間所得を減らすことができますし、青色申告承認申請書を提出していればさらなる税制メリットを享受することができます。

しかし、開業届を出して個人事業主になったというだけでは、事業所得にはできません。副業収入が事業所得として税務署に認められるには、反復継続的に営んでいる業務か、利益が出て営利性があるか、片手間とは言えないほどの時間や労力をかけているか、といった基準があります。認められるハードルは相当高いので、普通の会社員が空き時間に行う副業は、雑所得で計上しておくのが無難でしょう。

感染リスクも怖くない、おうちで確定申告しよう

今年も確定申告会場では、入場整理券の配布や、密を避けた会場レイアウト、検温・消毒などの感染防止策を徹底するそうです。しかし、緊急事態宣言の延長も止むを得ないとされる状況下で、税務署に出向くのは極力避けたいものです。

電子申告が断然オススメ

そこで頼りになるのがパソコンやスマホを通じた電子申告や税務相談のサービス。毎年進化を続けており、確定申告ビギナーにとっても、かなり使い勝手の良いものになってきました。

さらに2020年分の確定申告から、電子申告と税務署での紙の申告書提出とで、青色申告特別控除額に10万円もの差が生じることになったので、電子申告が断然お得です。

過去に電子申告に挑戦して諦めたことがある人も、ぜひ今年は電子申告に挑戦してみましょう。

スマホで確定申告

事業所得があるフリーランスや経営者はまだ使えませんが、副業所得を申告する会社員や、医療費や住宅ローンの控除やふるさと納税を申告する人であれば、スマホで確定申告が可能です。必要書類を手元で参照しながら聞かれた質問に答えていくだけで、あっという間に確定申告書が作成できます。

国税庁 確定申告書等作成コーナー(スマホ版)
国税庁 確定申告書等作成コーナー(スマホ版)

さらに、マイナンバーカードがあれば、「マイナポータルAP」というアプリをインストールすることで、スマホからそのまま申告書を送信し、確定申告を完了できます。マイナンバーカードの交付申請から受け取り可能になるまで、約1か月かかるので、この機会にゲットしたい人は、お早めの申請をおすすめします。

進化するe-Tax

フリーランスや経営者が利用する国税庁のPCサイトの確定申告書等作成コーナーや電子申告・納税システムe-Taxにも、今年はUI・UXの改善を含め、様々な進化が見られます。

国税庁 確定申告書等作成コーナー(PC版)
国税庁 確定申告書等作成コーナー(PC版)

たとえば、e-Taxにはマイナンバーカードが普及するまでの暫定対応である「ID・パスワード方式」と「マイナンバーカード方式」があります。これまでは環境的にマイナンバーカード方式での申告ができない方も多かったはずですが、今年は推奨WebブラウザにGoogle ChromeとMicrosoft Edgeが加わったほか、ICカードリーダライタが無くても上述のスマホアプリ「マイナポータルAP」でマイナンバーカード方式の電子申告ができるようになりました。

国税庁サイトで作成した申告書は、e-Taxまたは印刷・郵送で提出できる
国税庁サイトで作成した申告書は、e-Taxまたは印刷・郵送で提出できる

チャットやLINEで分からないことは即解決

確定申告と聞いた瞬間に脳みそがフリーズしてしまう、そんなあなたにも、今年は心強い味方がいます。その名も、AIの税務職員の「ふたば」さん。パソコン、スマホ、タブレットから24時間話しかけられるチャットボットです。

昨年の年末調整から密かにデビューしていたふたばさん。意外と精度が高く(失礼)、手続きや必要書類に関する疑問に答えてくれたり、e-Taxの操作を教えてくれたりします。

国税庁チャットボット ふたばさん
国税庁チャットボット ふたばさん

また、国税庁のLINE公式アカウントも開設されています。友だちになると、メニュー画面からスマホ申告のページやチャットボット、解説動画、電話相談窓口にアクセスできるほか、最寄りの確定申告会場の入場整理券の事前発行もできます。

国税庁公式LINEアカウント
国税庁公式LINEアカウント

確定申告会場の感染防止対策

どうしてもデジタルを使いこなすのはちょっと…という方も、ご安心を。確定申告会場の感染防止策や、入場整理券の配布方法などについて、国税庁の感染症対策FAQに詳しい記載がありますので、気になる方はご確認ください。

確定申告の期限は4月15日まで

以上、2021年コロナ禍の確定申告のポイントをざっとまとめてみました。

今年の申告期間はコロナ対策で例年より1か月延長されて、2月16日~4月15日です。申告書の作成を始めてから、必要書類の入手に気づくこともありますので、早めの着手で余裕を持って取り組みましょう。

初めての確定申告で何が経費にできるのかよく分からないという人や、節税や時短のコツを知りたい人は、フリーランス協会で好評連載中の「行列のできる税理士相談所」シリーズや「独立・副業の手引き」もチェックしてみてください。

【この記事は、Yahoo!ニュース個人編集部とオーサーが内容に関して共同で企画し、オーサーが執筆したものです】