他の家族の目を気にしなくてもよいため、つい散財してしまいがちな一人暮らしの人は、日常生活に必要な食料や教養娯楽品をどのようなお店から購入しているのだろうか。総務省統計局が2021年5月までに発表した全国家計構造調査(※)の結果から検証する。

次に示すのは一人暮らしの人、つまり単身世帯における男女・年齢階層別の、食料、教養娯楽方面の支出に関して、金額面から眺め見た店別のシェア。例えば食料における男性30歳未満の一般小売店は5.4%だが、これは男性30歳未満が食料の類を購入する際、食料調達用に支出した全金額のうち5.4%は、一般小売店から買っていることを意味する。なお百貨店は実質的にデパートと同じ。

なお今件調査では不自然な金額が「その他」に割り振られていることから、今回は「その他」を除いて計算をし直している。

まずは食料。

↑ 消費支出金額購入先割合(単身世帯、食料、「その他」除外、男女別・年齢階層別)(2019年)
↑ 消費支出金額購入先割合(単身世帯、食料、「その他」除外、男女別・年齢階層別)(2019年)

すべての属性でスーパー(紫色部分)が最大値を占めており、かつ年齢が上になるに連れておおよそ値が増える傾向にある。それ以外では、

・一般小売店は男性より女性の方が多用している。

・コンビニは年齢が上がると利用度合いは極端に減る。

・百貨店(=デパート→デパ地下食品街)は年齢が上になると利用度合いが増加する。女性の60歳以上ではコンビニ以上の利用を示している。同じような傾向は生協・購買にも見られる。

といった具合である。高齢者になると行動範囲が狭まり、できるだけまとまった場所での買物を好む傾向があると考えれば道理は通る。

だからこそスーパーは重宝され、歳とともにデパート(デパ地下の食品街)が多用されるようになる。色々とまとめて購入できる生協・購買も、利用頻度が高まる。コンビニも色々な商品が展開されている点では似たようなものだが、品ぞろえが中途半端で、食品では若年層向けのものが多いことが、避けられる要因と考えてよい。さらにコンビニのメリットは昼夜を問わず開店している点にあるが、高齢者の場合は日中でも自由に買い物へ出られることから、わざわざコンビニを使うまでもなく、より安価な買い物が期待できるスーパーを多用するのだろう。

続いて教養娯楽。区分を解説する「支出分類」によれば教養娯楽とは、家電製品やゲーム(コンテンツ利用料も含む)・音楽関連、ペット関連、書籍や新聞などの紙媒体、各種通信費、旅行費用、習い事などが該当する。

↑ 消費支出金額購入先割合(単身世帯、教養娯楽、「その他」除外、男女別・年齢階層別)(2019年)
↑ 消費支出金額購入先割合(単身世帯、教養娯楽、「その他」除外、男女別・年齢階層別)(2019年)

食品ではスーパーがすべての階層で最大値を見せていたが、教養娯楽では一般小売店が同じ立ち位置にある。ただし年齢階層によってはネット通販が大きな割合を示している。細かく見るとそれぞれの属性の特性が反映されているのが分かる。それらを箇条書きにすると次の通り。

・年が上になるに連れてスーパーが増えていく(女性は特に)。1か所でまとめ買いをするためか。

・量販店はおおよそ年齢が上になるに連れて利用されなくなっていく。

・ネット通販は年齢による差異が大きい。40代女性では65.2%も利用している一方で、60歳以上女性は10.2%でしかない。

単身世帯の場合、「食品はスーパー」「教養娯楽品は一般小売店やネット通販」と消費性向上の説明をすることができそうだ。

今件はあくまでも単身世帯を対象にしたもので、二人以上世帯の消費性向は別。二人以上の世帯の場合、夫婦におけるライフスタイル、子供がいる場合の購入品の傾向の違いなど単身世帯との違いから、消費先にも変化が出てくるものと思われる。とはいえ、大勢にはさほど変化はないだろう。

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※全国家計構造調査

家計における消費、所得、資産および負債の実態を総合的に把握し、世帯の所得分布および消費の水準、構造などを全国的および地域別に明らかにすることを目的としている。調査間隔は5年おきで、直近となる2019年は10月から11月にかけて実施されている。対象世帯数は全国から無作為に選定した約9万世帯。調査票は調査員から渡され、その回答は調査票に記述・調査員に提出か、電子調査票でオンライン回答をするか、郵送提出か、調査票ごとに調査世帯が選択できるようになっている。

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