お米を食べる機会は増えているのか減っているのか
・お米を食べる機会は減っていたが2014年度以降は増加に転じている。
・お米を食べる機会が減っていた主要因は炊飯の食数の減少。
・主食をとらない「食べなかった」食数は増加中。
日本人が「主食は?」と聞かれれば多くの人が答えるであろうお米。だがそのお米の消費量は減少中で、パンやめん類など多彩な食材に主食需要が分散しつつあると言われている。食生活の多様化の観点ではよい傾向ではあるが、お米の生産に携わる人、そしてお米が好きな人には気になる話に違いない。今回はJC総研が2018年4月に発表した農畜産物の消費行動に関する調査(※)の結果報告書から、お米を中心にこの数年間にわたる主食の消費性向の推移を確認する。
次に示すのは主食として1日あたりどの程度の回数、該当する食材を食べているかを答えてもらった平均値。1日3食と提示した上で一週間分・計21食の動向を尋ね、それを単純に7で割って一日あたりの平均値を算出している。平日と休日によって異なる食生活の動向は加味せず、単純な平均値となる。
いくぶんのイレギュラーはあるが、お米の食数は漸減し、その分パン類が増えて「いた」。めん類や「その他」はほぼ横ばい、そして欠食事例も増加していたことが分かる。他方、2014年度分以降はお米の食数は増加に転じ、パン類・めん類は大きく減り、欠食事例は増加を継続している。主食を摂っている人において、食生活のスタイルに変化が生じた、具体的にはパン類からお米にシフトの動きが生じているようだ。ちなみに「パン類」とは食パンや菓子パン、サンドイッチ以外にハンバーガーなども含まれている。また、内食・中食・外食の別を問わない。
このうち「米が主食」の回答事例の中身を詳しく仕切り分けしたのが次のグラフ。
米が主食の回数が減っていたのは事実だが、その中身としては内食に該当する「炊飯」が主要因だったのが分かる。要は炊飯器などでお米を炊いてご飯を調理し、それを食べる機会が減っていた。一方で加工食品(レトルト、冷凍品)や調理済みの米類(弁当、おにぎり)を購入して、自宅で食べる事例は逆に増えていた。米食の機会が減ったのは米離れと表現するよりはむしろ、炊飯の手間が原因ではなかったのかと考えられる。
もっとも2014年度以降では上記の通りパン食が減り、お米が増えているが、その主要因はやはり炊飯であることも確認できる。外食を減らした、健康やコスト面を考慮し、炊飯にウェイトを置いた結果であることが推測される。
忌避要因となりうる「炊飯の手間」から連想されるのが、食事を作る時間が割けない、面倒くさい、ダイエットのためなどの理由から、食事、特に朝食を抜く事案が増えているとの話。今回の調査結果からもそれを裏付ける値が出ている。朝食に限らず、ではあるが「食べなかった」の回答を示した結果、つまり主食を取らない値はほぼ確実に漸増している(主食はとらずに惣菜のみ口にする事例はゼロとはいえないが、あまり想定しにくい)。今件は長期のデータが取得できる主婦・単身(独身)女性・単身(独身)男性に限りグラフ化している。
1週間あたりの値で、しかも食事のタイミングは不明だが、各属性で欠食(厚生労働省の「国民健康・栄養調査」の基準のように、果物やヨーグルトも欠食扱いするのでは無く、純粋に主食を食べないことを意味する)件数は中期的には確実に増加している。その理由までは今調査では尋ねていないが、上記動向や他の調査結果と合わせ、やはり多忙さや調理の面倒くささ、そして健康志向を狙っての傾向であると考えられる。
ライフスタイルやポリシー、体質などの都合で意図的に食事、恐らくは多分に朝食を抜く人も中にはいるのだろう。しかし単に多忙や面倒くささなどの理由で抜いているのなら、健康を害する可能性はある。1日3食しっかりと食事をとってほしいものだ。
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※農畜産物の消費行動に関する調査
直近年度分は2017年12月15日から19日にかけて、全国の主婦(既婚女性)・既婚男性・単身(独身)女性・単身(独身)男性に対してインターネット経由で行われたもので、有効回答数は2162人。男女比はほぼ1対1、年齢階層別構成比は20代以下174人・30代291人・40代359人・50代338人・60代409人・70代以上591人。調査実施機関はインテージ。過去の調査もほぼ同様の条件下で行われている。
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