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テレビの長さを再確認…主要メディアの平均利用時間をさぐる

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ テレビなどのメディアの利用時間は?!(写真:アフロ)

・主要メディアではテレビの利用時間がもっとも長く、1日あたり男性では2時間23分、女性で2時間15分。

・年齢別ではどのメディアでも大よそ年上ほど利用時間は長くなる。

・男性は65歳以上でテレビの利用時間が3時間を超える。75歳以上では4時間超。

不特定多数に向けて情報を発信する機能を持つ道具をメディアと呼んでいる。新聞や雑誌、テレビやラジオなどが主なメディアだが、最近ではインターネットもまた、多くの人に情報発信を行う道具として使われ、従来のメディアの立ち位置は変化を遂げつつある。今回は総務省統計局による2016年社会生活基本調査(※)の結果を基に、従来から用いられている主要メディア、具体的には「読書(の対象となる書籍など)」「新聞・雑誌」「テレビ」「ラジオ」の利用時間の実情を確認していく。

今件調査ではマスメディアの利用について、いくつかの具体的項目に区分し、それらを主に使った時間が計測されている。今回は「読書」「新聞・雑誌」「テレビ」「ラジオ」を見ていくことにする(「新聞」と「雑誌」は元のデータでも別個区分はされていない)。なお個々の項目の具体的定義は次の通り。

●読書…恋愛物の本を読む、歴史に関する本を読む、スポーツの本を読む、携帯電話で小説を読む。

●新聞・雑誌…1.新聞を読む、朝刊を読む、コンピュータ(で)雑誌を読む、図書館で新聞を読む 2.漫画を読む 3.衣類・家具・通信販売のカタログを見る、旅行のパンフレットを読む、利用案内を読む。

●テレビ…テレビで映画を見る、子供とテレビを見る、パソコンでテレビ番組を見る、ワンセグ視聴。

●ラジオ…ラジオを聞く、有線放送を聞く、インターネットでラジオを聴く。

※テレビから録画したビデオ・DVDを見るのは「ビデオ・DVD」(今回は取り上げない)とする。

※インターネット経由の雑誌・新聞閲読、電子書籍・雑誌の購読は明記されていないものの、「携帯電話で小説を読む」「コンピュータ(で)雑誌を読む」とあり、また明確に「読書向けの書籍」「雑誌・新聞」のコンテンツであれば、インターネット経由などでの閲読も回答者は「読書」「新聞・雑誌」と見なしていると考えられる。

まずは全体的な利用時間。なお今件は「主行動としての利用時間」に限定される。いわゆる「ながら行動」として副次的に行った行為は含まれない。例えば「男性の読書時間8分」とは、土日まで含めた一週間全体、そして読む人も読まない人も合算して、一日あたり読書時間は平均8分であることを意味している。

↑ 平均主要マスメディア利用時間(分、週全体平均)(2016年、10歳以上)
↑ 平均主要マスメディア利用時間(分、週全体平均)(2016年、10歳以上)

やはりテレビの圧倒的な長さが目に留まる。新聞・雑誌は合わせても男性12分・女性10分。読書は8分・6分。ラジオに至っては2分・1分のみ。

これを年齢階層別に見たのが次のグラフ。

↑ 平均主要マスメディア利用時間(男性、年齢階層別、分、週全体平均)(2016年)(10歳以上)
↑ 平均主要マスメディア利用時間(男性、年齢階層別、分、週全体平均)(2016年)(10歳以上)
↑ 平均主要マスメディア利用時間(女性、年齢階層別、分、週全体平均)(2016年)(10歳以上)
↑ 平均主要マスメディア利用時間(女性、年齢階層別、分、週全体平均)(2016年)(10歳以上)

一部でイレギュラー的な動きがあるものの、大よそ歳を重ねるほど利用時間は増加していく。そしてテレビの圧倒的な長さはどの年齢階層でも変わるところが無い。

興味深いのはテレビの利用時間。年齢階層別に見ると一部の年齢階層では女性の方が長い場合が見受けられる。大よそ若年層では男女の差がさほど開いていないが、壮齢層以降では大きな差が生じる。

↑ 平均主要マスメディア利用時間「テレビ」(男女別、年齢階層別、分、週全体平均)(2016年)
↑ 平均主要マスメディア利用時間「テレビ」(男女別、年齢階層別、分、週全体平均)(2016年)

定年退職を迎える65歳以上になると差異は大きくなり、その差は50分にもなる。男性が女性と比べて老後の時間の多くをテレビ視聴に費やしている現実が、今件グラフから改めて確認できる次第ではある。

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※社会生活基本調査

5年おきに実施されている公的調査で、直近分となる2016年分は2010年時点の国勢調査の調査区のうち、2016年の熊本地震の影響を受けて調査が困難な一部地域を除いた、総務大臣の指定する7311調査区に対して実施された。指定調査区から選定した約8万8000世帯に居住する10歳以上の世帯員約20万人を対象としている。ただし外国の外交団やその家族、外国の軍人やその関係者、自衛隊の営舎内や艦船内の居住者、刑務所などに収容されている人、社会福祉施設や病院、療養所に入所・入院している人は対象外。2016年10月20日現在の実情について回答してもらっているが、生活時間については2016年10月15日から10月23日までの9日間のうち、調査区ごとに指定した連続する2日間についての調査となる。調査方法は調査員による調査世帯への調査票配布と回収方式。

(注)本文中の各グラフは特記事項の無い限り、記述されている資料を基に筆者が作成したものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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