パソコン、スマホ、タブレット…米国ではたくさん使っている人の方が多角的に情報を処理している
インターネットに限定しても、それを用いて情報を取得処理するのには多種類の機器を利用することができる。その利用機器の種類数と情報の処理度合いの間には何らかの関係があるのだろうか。アメリカ合衆国の民間調査機関であるPewResearchCenterが2016年12月付で発表した報告書「Information Overload」(※)から、同国の実情を確認していく。
今調査対象母集団ではインターネットを用いて情報の処理精査が可能な端末に関して、スマートフォンは7割強、タブレット型端末は5割近く、自宅におけるブロードバンド環境を使えるパソコン(PC)は7割が利用しているの認識を持っている。どれも用いていない人は16%にとどまっている。
それでは日々の生活の中で、インターネットの利用端末数と、情報取得の間にはいかなる関係があるのか。生活に関わる情報をいくつかの種類に分別し、それぞれの情報を過去一か月間に取得したか否か(インターネット経由に限らず)を尋ねた結果が次のグラフ。
一部イレギュラーが生じている、上昇度合いに違いがあるものの、大よそ「ネット情報利用端末数」と「生活に関わる情報取得率」との間には、正比例の関係が確認できる。
これはもちろん相関関係でしかなく、因果関係を説明するものではない。ネット情報利用端末を多用している、使いこなしている人ほど、多数の情報を積極的に取得しているのは事実だが、元々これらの情報を必要としない、気にしない人はネット利用端末を必要としていないだけかもしれない(つまり、仮に利用端末数が少ない、ゼロの人が多数の端末を手にしても、これまで通り情報取得には消極的なままだろうとする考え方)。他方、ネット利用端末を用いることで、好奇心がかき立てられ、多様な情報を取得して日々の生活に役立てようとする動きを示した結果、値が伸びている可能性もある。
取得した情報を有効に活用しているか否かはまた別の話ではあるが、ネット利用端末が多い人ほど、日々の生活においても多様な情報取得を行い、活かしているであろうことは容易に想像ができる。「地域社会の情報」「交通・通勤情報」「学校や教育」「資産運用」「自分の仕事関連」では、利用端末数がゼロの人と、三つすべての人との間には、激しいギャップが生じている。生活面におけるデジタルデバイドが透けて見えてくるようでもあり、社会全体のサービス向上を考察する上で大いに参考となる値には違いない。
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※Information Overload
2016年3月7日から4月4日にかけて、18歳以上のアメリカ合衆国居住者に対して電話回線経由で行われたもので、有効回答数は1520人。うち381人は固定電話、1139人は携帯電話(そのうち636人は固定電話無し)。国勢調査の結果などに基づいたウェイトバックが成されている。